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「自分の親の介護は自分で」思い通りにいかなかった結婚時の約束。義母の介護でストレスがたまった妻は

私の知人が50代前半のころに体験したお話です。知人は結婚当初から「自分の親の介護は自分で責任を持っておこなう」と、夫と約束していたそう。「お互いが自分の親の介護に責任を持つのであれば、義両親の介護を心配しなくて良くて画期的!」と思っていたものの、いざ介護が必要な状況になるとうまくいかなくて……?

 

将来訪れる両親の介護問題を見据えて結婚

知人は、2人姉妹の末っ子。姉は県外に嫁ぎ、両親の近くに残るのは自分だけという状況の中、結婚を決めた相手も姉ひとりの末っ子長男でした。それぞれの実家は同じ市内でしたが、将来自分で両親の世話を見る必要があったこともあり、「自分の親の介護は自分で責任を持ってやろう」と夫と約束。

 

子宝にも恵まれ、お互いの実家からおよそ中間に家を建てました。知人はフルタイムで働いていたこともあり、実家の両親に子どもの世話を頼みながら、共働きで家族を支えていました。

 

そしていざ親の介護が必要に…

知人が50代前半になったころ、80代後半の実父に認知症の症状が現れ始めます。元気な実母が実父の介護をしていたものの、実母自身も80代。老老介護が心配で、知人は頻繁に面倒を見にいくことに。車の運転ができない実母のために、病院や買い物へも連れていきましたが、知人の夫は積極的に協力するような姿勢はありません。しかし、知人は結婚したときの「自分の親は自分で」という取り決めを守ろうと思い、仕事や家事・育児で忙しい中でも、夫に頼らずすべてをひとりでこなしていたのです。

 

その後、実父の認知症が重くなり、母親による介護に限界が見えてきたため、特別養護老人ホーム(特養)へ入所。特養入所後にも週に1度、母と一緒に訪問していましたが、夫が見舞いに来ることはごくまれです。入所から1年ほどで父親が他界。母親は、多少気落ちしていたものの、介護に疲れていたこともあり、父親亡き後は少し吹っ切れた様子。元来の気丈な母親に戻り、知人の心配も少し軽くなったようでした。

 

 

そして義母の介護がスタート

一方、義父は介護する間もなく80代半ばで他界。義父亡き後、90歳を目前とした義母を1人にしておくのは心配ということで、ひと足早く定年退職を迎えた60代の義姉夫婦が義母と同居することに。実の娘が世話をしているとはいえ、義母の性格もあり、「こんな面倒をかけるなら、自分が早く死ねばいい……」と文句ばかり。そんな状況に耐えかねた義姉が、「今度はあなたが母を見て」と夫へ頼んできたのです。

 

長年義姉に苦労をかけてきたこともあり、夫は知人への相談もそこそこに、自宅へ義母を引き取ることを決めてしまいます。とはいえ、知人とすると「自分の親は自分で見る」という取り決めだったし、義母を自宅に引き取るにしても介護や生活のお世話は責任を持っておこなってくれるもの、と思っていました。しかし、自宅に引き取るとなると実際は違っていたようです。

 

義母が行っているデイケアの準備や着替え、トイレのお世話は夫が対応していましたが、洗濯や食事の世話は普段おこなっている知人の担当。咀嚼力や嚥下機能が低下してきた義母のために介護食を調べて作り、食卓に並べていたのですが、「おいしくない」と食べてもらえないこともしばしばです。

 

次第に「嫁さんは、私の世話をイヤイヤやっている。嫁さんには財産を渡したくない!」と八つ当たりされるように。「自分の親のときにはまったく協力してくれなかった夫の親を世話しているのに、なんでこんなことを言われなければならないんだ」とストレスが大きくなっていきました。

 

最終的に、耐えられなくなった知人は夫に懇願。「あなたの親の食事の世話もしているのに、どうしてそんなことを言われなければならないの?」「そんなこと言われるのであれば、もう面倒を見たくない」と夫に訴えました。手が焼ける義母に困っていた夫も特養入所を決め、今となっては知人もストレスの少ない日々を過ごしているようです。

 

まとめ

親の介護は厄介な問題かもしれません。結婚前の「お互い自分の親は自分で見る」という取り決めは画期的とも思えます。しかし、やはり実際にやってみないとわからないこともたくさんあります。結婚前に、親の介護に関わる家事についても分担すべきだったのか、実際の介護についてお互い柔軟に考えればよかったのか……。夫婦によっても正解が異なる「親の介護問題」だからこそ、お互いによく話し合う必要があるのだなと感じたエピソードでした。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

 

著者:倉本 有希/30代女性・ライター。マイペースで楽観的な夫とひょうきんで味のある2021年生まれの女の子、甘えん坊でうるさい黒猫の3人1匹家族。フリーランスのため、子どもを寝かしつけた後に夜な夜な仕事をしている。最近のストレス発散は100均で爆買い。

イラスト/山口がたこ

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年10月)

 

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