『私が保育園などで行っている離乳食教室には、第二子以降を育てているママも積極的に参加してくれています!その中には、第一子の離乳食に若干の後悔の思いもあるようなんです。』
石田先生は、管理栄養士であり、離乳食教室の講師として経験を積んできた「離乳食の専門家」です。そのうえ、小学生3児のママでもあります。
離乳食は赤ちゃんが食べてしまえばそれで良い、というものでは無かった。この結果を実体験してしまったママ達の悲鳴を、ベテラン管理栄養士の石田美枝さんはこれまでたくさん聞いてきました。
<プロフィール>
管理栄養士 石田美枝
小学生6年、3年、1年の3児の母。学校給食の栄養士を13年務める中で離乳食から幼児食の重要性を痛感。保育園、産婦人科、市区町村の離乳食教室講師を勤め、現在クックパッドダイエットトレーナーを主力とするスーパー管理栄養士
『赤ちゃんが5ヶ月ごろになるとミルクから離乳食への切り替えの準備を始めます。』
ママ達は、産婦人科や市区町村主催の離乳食教室、離乳食の本、インターネットや友達などから情報を収集し、離乳食に備えていきます。しかし、どこにも離乳食がなぜ必要か!はあまり語られていません。
石田美枝さんに、離乳食がなぜ必要か!を聞いてみました。
離乳食にはこんな目的があります
① 赤ちゃんが食べ物を正しく消化するための、口(舌)を動かすトレーニング
② たくさんの味覚を獲得することで、「おいしい」の経験値を積むトレーニング
この2つが大変重要です。
栄養補給の手段としてだけで離乳食をスタートしてしまうと、思った通りに進まないなど多くの壁にぶつかってしまいます。もう少し先のゴールをイメージすることで離乳食の不安が格段に減ります。
離乳食を作ることの情報ばかりが広がっているが、どうやったら「正しく消化」させ「味の種類」を与えることができるのか、という情報をママ達に伝えていきたいと石田さんは考えています。
『食体験が十分にできないまま小学校に上がってきた子どもは、給食の時間が苦痛な時間になってしまいます。』
『ママの食べ物の嗜好で子供の食志向も方向性が決まってしまいます。“ふつう”と思うママの感覚が子供の食体験に大きく影響を与えているのです。』
石田さんが13年間に渡って給食の現場に携わり、たくさんの事例を見てきたからこその結論です。
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たとえば、お肉が嫌いで食べられないという子でも、詳しく話をきいてみると、ハンバーグは食べられることがあるそうです。お肉の味が嫌いだったのではなく、上手にかみ切れないから嫌だったのかも…。隠し包丁を入れてあげるだけでびっくりするくらい美味しそうに食べていた子どもも。
学校給食に携わっていたころは、調理員さんと野菜の切り方でもめたこともありました。教室まで行ってその子の食べ方を見てみると野菜嫌いという子も、野菜のサイズをスプーンに3つのせられる程度の大きさにしたら難なく食べることができました。大きい野菜を咀嚼することができなかったことが原因でした。
子供の好き嫌いの原因はさまざまな要因があります。味や食材が嫌いなのではなく、食材をうまく咀嚼できない事に原因がある場合もあるのです。
「離乳食は赤ちゃんが喜んで食べればオッケー」だとしても、言葉や歩き方を覚えていくのと同じようにできなかったことができるようになるまでサポートしていく覚悟も必要です。離乳食の役割を理解しつつ、子どもの食卓が豊かになるように離乳食の進め方について考えていきたいですね。
次回は、「おいしい」の経験値を積むトレーニング」の離乳食の進め方についてです。
(TEXT:クックパッドベビー 編集部 安田)