聞く耳持たずの嫁
その日も孫は、無理やり行かされるダンス教室が嫌で、私の家に逃げ込んできました。孫は運動よりも、本を読んだり勉強したりするほうが好きなのです。
今日こそは、と息子の嫁に電話で直談判。「あの子とちゃんと話し合った? 本人が好きなことを聞いてあげてちょうだい」と伝えると……。
「お義母さん、今はイケている子はダンスが踊れて当たり前。本の虫みたいな陰キャが娘だなんて気持ちが悪い。これはあの子のためなんです、将来いじめられないように。あなたの息子がいない間、育児は私のワンオペなんだから、私の教育方針に口を出さないでくれますか?」と言い張るのです。
私は、自分の娘のことをこんなふうに言う彼女に怒りを覚えましたが、1年前から単身赴任の息子が育児を彼女に任せきりにしているのも事実。そこで一度は引いたのですが……。
真夜中のSOS
そんなある日。真夜中を過ぎたころに孫から突然電話がかかってきました。「おばあちゃん、こんな時間にごめんね。頭が痛くて、気持ちも悪くて。もう何回も吐いちゃって……」とのこと。
聞けば母親は「ちょっと出かける」と言って不在だとか。こんな夜中に? と疑問に思いながらも、孫のところに急行した私。高熱を出していたため、急いで病院に連れていきました。その間、何度も母親に電話をかけ、ようやく返信がありました。
「お義母さん、今何時だと思ってるんですか」
「家族とはいえ非常識ですよ」
「非常識なのはどっち?」
「子どもが病院にいるのに」
怒りで震える指をなんとか抑えながら、私は返事を打ち込みました。しばらくして、嫁から着信が。「何の話ですか? 冗談はやめ……」と言うので、私はピシャリと宣言しました。「あなた、高熱の孫を置いて誰と会っていたの? 息子には今回のこと、すでに伝えてあります。孫が不倫現場やメッセージのやりとりを写真に撮っていたのよ。言い逃れは却下」
電話口では、「ちょっとの間なら留守番をさせても問題ないと思った」と、慌てふためいた彼女の声が聞こえてきましたが、私は意志を固めました。
「孫は私が預かる。息子もこちらへ向かっているので、今後のことは夫婦で話しなさい」
それは愛情?
その後に発覚した事実には、私も息子もあきれてものが言えませんでした。嫁の不倫相手は例のダンス教室の講師。たびたび不倫相手に会っていたのですから、 息子が離婚を選ぶのは当然です。
おまけに、実の娘に対してずっと容姿を卑下するような言葉を吐き続けていた様子。彼女は、「自分は読者モデルどまりだったけど、あの子には明るくてかわいい人気者になって、楽しい人生を送ってほしかった」と説明しましたが、それは愛情ではなくエゴ。ただの理想の押し付けです。
孫も、母親とは一緒に暮らしたくないと決意。私の家に住み始め、息子も単身赴任をやめて帰ってくることになりました。傷ついた孫の心が癒えるには時間がかかると思いますが、私や息子がそばで支えながら、本当のあの子を見つめて愛情をたくさん与えていきたいです。
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孫娘に自分の理想ばかりを押し付けていた息子の嫁。愛情とエゴを取り違えてはダメですよね。おばあちゃんが孫のピンチに間に合って本当によかったです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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