歴史ある建物でいただく郷土料理
滋賀県の北東部にある長浜は、東京から新幹線で約2時間40分、名古屋や大阪からは約1時間で行ける人気の観光スポットです。
長浜駅から5分ほど歩くと、江戸時代から明治時代の建物を活かしたレトロなショップやレストラン、カフェが並んでいます。
今回訪れた「翼果楼(よかろう)」はテレビや雑誌、ガイドブックに何度も登場している有名店。
築200年の呉服屋さんを利用した店内には、レトロな家具や骨董品が置かれていてなんだか落ち着く雰囲気です。窓際の席に座ると、緑が茂る庭園を見ながら食事を楽しめますよ。
娘への愛から生まれた「焼鯖そうめん」
焼鯖そうめんのルーツは、この辺りに昔から伝わる風習が関係しているんだとか。
滋賀県・湖北(琵琶湖の東北部)には、春になると農家に嫁いだ娘に焼鯖を届ける「五月見舞い」という風習があります。
この焼鯖とそうめんを炊き合わせたものが、郷土料理として定着。
「海に面していない県なのになんで鯖?」と気になった方もいるかもしれません。実はその昔、日本海でとれた鯖を都である京都へ運ぶときに滋賀県を通っていたそうです。
そんな背景から、長浜では焼鯖そうめんを提供するお店が多く、スーパーのお総菜コーナーにも売られています。
鯖のうまみが染み込んだ絶品そうめん
焼鯖そうめんはおかずの立ち位置らしく、ごはんやお寿司と合わせて食べるのが定番なのだそう。
ちょっと奮発して、焼鯖寿司がセットになった「鯖街道 焼鯖寿司付(2,000円 税込)」を注文しました。
綺麗にまとめられたそうめんの上には、テリッテリの焼鯖が鎮座。そうめんといえばキーンと冷たいイメージですが、ほんのり温かくてつゆもありません。
圧巻のビジュアルに驚きつつ食べてみると……麺1本1本に焼鯖のうまみが染み込んでいて、ホッとする味。
見た目的に味が濃いのかと思いきや、ちょうどよい塩梅です。
鯖は串を刺して焼いた後に甘辛い醤油で2日間かけて煮込んでいるらしく、骨までやわらかくてホロッホロ。
醤油は長浜市にある明治2年創業の「鍋庄商店」のものが使われています。
ちなみにそうめんは、300年の歴史を持つ奈良県三輪の高級ひね細麺。素材への強いこだわりが感じられますね。
薬味でピリッと味変
ある程度食べ進めたら、卓上にある2つの薬味で味変を楽しみましょう。
辛味と香りが強い、国産ぶどう山椒100%の「山椒」と、マイルドな辛味としっかりとしたゆずの風味が楽しめる「ゆず七味」が置いてあります。
甘辛く濃厚なそうめんに薬味を合わせると、ピリッとした刺激と爽やかな風味が加わり、おいしさが2倍いや、3倍に。最後まで飽きることなく味わえます。
さっぱりいける「焼鯖寿司」
酢で締めてこんがり焼いた、鯖の押し寿司「焼鯖寿司」も滋賀県の名物です。
脂がのったジューシーな鯖と、スッキリとした酸味の酢飯が相性ぴったり。生姜と大葉の爽やかな風味が効いていて、さっぱり食べられます。
上品な味わいの「お吸い物」、琵琶湖でとれるスジエビを大豆と一緒に甘辛く煮た「えび豆煮」もついていて、ちょうどいい満足感。
せっかく訪れるなら、ご当地の味を一度に楽しめるセットを頼むのがおすすめです。
長浜行ったら絶対食べて!
肉厚の焼鯖をドーンとのせた豪快な焼鯖そうめん。見た目の迫力とは裏腹に繊細で素朴なおいしさです。長浜を訪れたらぜひ食べてみてくださいね。
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