その同級生とは、小学校から高校まで一緒でした。いわゆる腐れ縁です。しかし、彼女はいつも私の好きな人や彼氏を略奪していました。
大学生や社会人になってからもつらい思いをしたくないと思った私は、あえて県外の大学に進学。そのまま同級生とは疎遠になりました。
そんな同級生が高校卒業以来初めて、同窓会に姿を見せたのです。しかも、「あなたに会いたかったの!」と言って近づいてきて……?
大嫌いな同級生
彼女が近づいてきたのを見て、あからさまに嫌な顔をしてしまった私。しかし、同級生は「久しぶり~!」と話しかけてきました。
「あなたが来るとわかっていたら、来なかったのに……」とつぶやくと、「え!もしかして過去の話をまだ根に持ってるの!?」と驚く彼女。
彼女のせいで私の学生時代はめちゃくちゃになったのです。
小学生のときに、クラスで人気の男子と一緒に買い物に行った出来事を皮切りに、彼女は私に嫌がらせを始めました。「私が彼のこと好きだったのを知りながら一緒に買い物に行くなんて、それは立派な裏切りじゃない!」と言い出したのです。その男子とは家が近く、親同士の仲が良かっただけなのですが……。
中学・高校では私のあることないことをまわりに吹聴し、私をヤバい奴に仕立て上げました。私に彼氏ができるたびに、それはひどくなりました。彼氏から別れを切り出されればいいほうで、突然ブロックされることもしばしば。そして、私の彼氏だった人の隣にはいつの間にか彼女が居座っているのです。学生時代はその繰り返しでした。
小学校から一緒の同級生たちは、私の味方になってくれました。高校の同窓会も、私の味方でいてくれた友人が幹事を務めているから毎年来ているようなものです。
「あなたのせいで、恋愛恐怖症になったし、人と関わるのが怖くなったの」とはっきりと伝えると、彼女は「私に奪われるようなあんたの魅力のなさが悪いんでしょ!」「私を悪者にしないで!」と反論。見かねた幹事が私と彼女を引き離してくれたので、私はそのまま会場を後にしました。
その日の深夜――。
幹事の子から「今日はごめんね」「彼女、直前になって『出席する』って言い出して……あなたに伝える時間がなかったの……」と連絡が。
結局、幹事はべろんべろんになった彼女を家まで送っていったそう。いい年して、そんなになるまでお酒を飲むなんて……と私は呆れてしまいました。
「送っていくときに、あなたのことをしつこく聞かれたから気をつけてね」「左薬指の指輪を見たみたい、結婚相手や住所とか根掘り葉掘り質問されたの」「よからぬことを企んでいるような気がして……だからお願い、どうか気をつけて」
同級生の略奪宣言
同窓会から1カ月後――。
「なんで結婚したこと、私に教えてくれなかったの?」「水くさいじゃない!」と連絡をしてきた例の同級生。
「今までだって、あなたが好きになった男は、私がしっかり調べてきたじゃない?もちろん友人として」と言う彼女に、私はげんなり。彼女は私に嫌がらせをするためだけに、情報収集をしていたのです。
「まぁ、結構苦労したんだけど、今回もしっかり調べてあげたわ」という彼女の言葉に、私は思わず耳を疑いました。
「学生時代から歴代の彼氏を奪ってごめんw」
「今度は旦那さんを奪っちゃった♡何度もホントごめんw」
「おめでとう…!」
「は?」
驚く彼女に、「おめでとう!」「確かに結婚していたけれど、同窓会の直後に離婚したの」と伝えた私。
「は?何それ……聞いていないんだけど!」「あんたから久しぶりに奪えたと思ったのに!」と彼女は怒り出しました。しかし、すぐに「まぁいいわ、別の目標もあるし」と言い出したのです。
気になった私はその目標について尋ねてみました。すると、「私のサポート力で彼を社長にしてみせる!」と彼女。
たしかに、元義父は会社社長でした。私と元夫は職場結婚だったのですが、結婚後、元夫はその職場をやめ、実家の会社に一般社員として転職したのです。
「あんたと結婚してるときには出世もできなかったし、社長なんて夢のまた夢だったって彼は愚痴ってたわ」「だからあんたができなかったことを、私が達成してあげる」「社長夫人にまで上り詰めてやるんだから!」
さらに、彼女は「慰謝料払う覚悟で略奪したつもりだったけど、もう離婚してるから払わなくていいわけでしょ?」「私って本当に運がいいわ、遠慮なく彼と結婚できるんだもの!」と続けました。
「あんたが逃した幸せを、私が代わりに最大限吸い尽くしておいてあげるわね!」「幸せな様子はその都度報告してあげる!」と言う彼女に、もはや私はため息しか出ませんでした。
貧乏くじを引いたのは…
2週間後――。
「なんで教えてくれなかったのよ!」「私、彼と結婚しちゃったじゃない!」とまたも例の同級生から連絡が。
「彼の父親の会社が大赤字で、ものすごい額の借金を抱えてるなんて!」「借金があったら、私の理想の社長夫人にはなれないじゃない!」
私はそのことを知ったうえで、元夫と結婚しました。その当時、元夫は「実家の会社は畳んで債務整理をする」「俺も父親も一般職で働いて行く」と言っていたからです。
しかし、結婚後しばらくして、元夫は何の相談もなく私と同じ職場を退職。そして、実家の会社に転職したのです。沈みかけの泥船に乗るようなものだと言って、私は必死に止めたのですが、そのころにはもう元夫は私の話を聞いてくれなくなっていました。
そして、元夫は「金さえあれば文句ないんだろ!」と言って、一攫千金狙いで賭け事をするように。家のお金に手をつけてから、私の私物を売ってお金をつくるようになるまでに時間はそうかかりませんでした。義実家の会社も赤字を膨らませる一方だったので、私は離婚を切り出したのです。
「しかもいつの間にか会社の社員にさせられてるし、『一緒に借金返してV字回復させよう!』ってお義父さんたちからは言われるし!」「家だって安くてぼろいアパートだし!」「私だってこんな泥船に乗りたくない!」と泣き喚く彼女。
「彼を社長にするんでしょう?」「道のりは長いかもしれないけど、私より幸せになるためにがんばってね!」と言って、私はそのまま彼女の連絡先をブロックしました。
その後――。
私と連絡が取れなくなった彼女は、焦ったのかほかの同級生にも連絡していました。
同窓会の幹事のところにもつい最近連絡が来たそうです。幹事によると、彼女は未だにあの泥船から逃げ出せていないそう。義実家の会社は倒産し、現在は取り立てにおびえながら、バイトをいくつも掛け持ちしてなんとか食いつないでいるようです。
元夫と例の同級生、両方との悪縁を同時に切ることができて、本当に私はラッキーだったと思います。学生時代につらい思いをたくさんした分、これからは幸せな人生を歩んでいきたいです。
【取材時期:2024年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。