妊婦体験をしている動画をアップしていたのは、YouTubeチャンネル『RESCUE HOUSE』です。元消防士という男性が、妊娠した体を体験してみたところ……。
妊婦さんのここが過酷!
妊婦の体の重さを実際に体験したのは、レスキューの訓練で鍛えぬいた男性。体験する前は、「しんどいとは思わないはず」とのことでした。
今回の妊婦体験では1日妊婦体験セットを装着して外出したり、日常的な動作を実際にやってみたり、その上、擬似的なつわりも体験していました。
その結果、「とても過酷だった」「もう二度と体験したくない」 という感想を述べています。
しかしこれはさまざまな動作をした結果のこと。両親学級などで短い時間装着しただけでは、この動画の冒頭と同じように「意外といける」「たしかに不便ではあるがそれほど!?」と思うかもしれません。それでは妊婦体験は逆効果になってしまいます。
「意外とラク」と言うけれど…
妊婦の体を体験するのはとても大切なことです。しかし忘れないでほしいのは、男性が大変な思いをするのは体験用の装備をつけているその短期間だけ。妊娠中の女性は、24時間、寝ているときでさえその状態で過ごしているのです。
また、靴下を履く、落ちたものを拾うなどの動作をしてみたとしても、日常の動作はそれだけではありません。その体でデスクワークを8時間したら? 買い物に出かけたら? と想像してみてほしいと思います。
また、妊婦体験用の装備はあくまで疑似妊婦です。おなかの重みを肩で支えることができるので、厳密な妊娠している体とは異なっています。実際の妊婦さんは、重いおなかを腰で支えており、大きくなった子宮や赤ちゃんに内臓を圧迫される苦しさもあります。多くのママがつわりやおなかの張り、腰痛、眠気、メンタルの不調などを感じるなか、おなかの中で赤ちゃんを育てているのです。
何より「おなかの中に命がある」というプレッシャーを感じながらママは日々を過ごしています。万が一転んだとしても、自分が少しけがをするだけで済む妊婦体験とは根本的に違うのだということを忘れてはなりません。
『RESCUE HOUSE』の動画の中では、体が重く大変だったことはもちろん、一緒にいる相手がサポートしてくれないことに憤りを感じたと話していました。必要なのは「寄り添う」こと。妊娠を代わることはできないけれど、寄り添うことは誰にでもできます。
寄り添える人が1人でも増えることを願うばかりです。