泥酔する新郎
高砂席へあいさつにきた同僚たちと盛り上がった夫は、飲みすぎてしまいべろんべろんに! 私がすこし強くしかってグラスを奪うと……。今まで聞いたことがないような怒鳴り声を上げて、私をにらんだのです。
すると会場は静まり返り、義両親は青ざめ周囲にいる人たちは慌てだしました。そんな状況がまったく見えていない夫は、突然司会者のマイクを奪うと、とんでもないことを言い始めたのです。「これは財産目当ての結婚で、お金を持っている人なら誰でも良かった」と……。そして、次期社長の座を譲り受けるのも目的で、そうなった暁には大好きなギャンブルがし放題だ! 」と喜んでいるのです。それを聞いた披露宴の参加者たちは、みんなドン引きでした。
慌てて止めようとする義両親をよそに、ギャンブルで作った借金を抱えていると自分の秘密を暴露! そして、返済に困って、母親のブランドバックを売り飛ばしたことも白状しました。酒癖の悪さもさることながら、実はとんでもない本性の持ち主だったのです。
言い訳なんて通用しない!
心配した父は私の肩に手をかけ、「帰ろうか」と一言。私は父の言葉にうなづきました。その後は、母がすべて取り仕切ってくれました。夫からマイクをぶん取った母は、わざわざ足を運んでくださった方々にお礼と謝罪を述べ、私たちの離婚を発表。ご祝儀をお返しし、みなさんにお引取りいただいたのです。
翌日、夫は真っ青な顔をして、謝罪のためにわが家を訪れました。玄関で土下座をしながら、言い訳をしてきた夫。お酒に飲まれてしまって、本心ではないことを言ってしまったと……。
その後夫は、式場のキャンセル代を支払うため、さらに借金が増えたらしく、もう首が回らない状態だと言います。「もう酒は飲まないから、離婚しないでくれ、助けてくれ」とすがってきましたが、容赦しませんでした。後日、私は慰謝料を請求するつもりです。
割り切って、次に前進!
式以降気まずい思いを会社でするようになった彼は、ほどなくして自主的に会社を辞めたと風の便りに聞きました。たくさんの借金を抱えて、今はどこで何をするやら……。
一方私は、今までと同じように仕事に打ち込んでいます。取引先とは多少の気まずさがありますが、ビジネスだと割り切ってお付き合いしています。
父はまだ、私に対して後ろめたい気持ちがあるようです。取引先から勧められたお見合いだったので、それをセッティングしてしまった自分の罪の重さに耐えかね、いつまでも気にしている様子。
けれど、ポジティブな私は、もうそんなこと気にしていません。実はあれからすぐ、運命の出会いに恵まれました。今私はとても幸せです!
◇ ◇ ◇
出会うときは出会ってしまうもの。それが縁というものでしょう。今度こそ、幸せになってほしいですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。