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警報級の大雨の中、お墓で亡くなった父の納骨…無事に終えられるの!?【体験談】

私の実家は車でも電車でも片道10時間はかかる距離。1人いる兄は隣の県に住んでおり、80代の父母は2人暮らしでした。しかし、1年ほどの入院生活を経て、父が亡くなりました。どうにか葬儀を終え、次は四十九日の法要を迎えることに。葬儀から1カ月余りの間、兄と母と連絡を取り合いながら準備万端のはずでしたが、当日、思いもよらない事態となりました。

まずは墓掃除と納骨の段取りを確認

私が実家に着いたのは、四十九日法要の2日前。まずは、お墓掃除へ行きました。石板に父の名前を彫ってもらう石材業者に、あらかじめ納骨のための準備もお願いしてありました。納骨の際の入り口は香炉台の下にあり、すでに業者による準備が済んでいました。

 

実は私は、お墓の中へどうやってお骨を納めるか? ということについて、これまであまり深く考えたことはありませんでした。私が嫁いだ先では、一人ひとり骨壺に入れてお墓の中に納めるのが一般的なスタイルで、お墓の裏側に扉があります。実家もそんな感じかなと漠然と思っていたのですが、実家のお墓に扉はありませんでした。なおかつ、お寺の住職から聞くと、この地方では、お骨は骨壺ではなく布袋に入れてお墓の中に納めるとのこと。納骨室の地面は土のままで、布袋に入ったお骨は時間をかけて自然に土にかえる仕組みだと言います。地方によって違いがあるものだなと知りました。

 

お墓掃除を終え、母を気遣いながら、法要に来られる親戚のリストの確認、法要をおこなう仏間を中心とした家の掃除などに追われました。しかし、気になったのは天気予報です。季節はずれの台風が進路を変えてまさに直撃の様子で、法要の日は大雨の予報となっていました。

 

まさかの大雨予報に、住職は平然と

法要前日の夕方、兄夫婦が到着しました。そのころにはときどき突風が吹き荒れるようになり、テレビではさかんに「明日は警報級の大雨が予想されます。みなさんご注意ください」と呼びかけていました。「法要に来ていただく親戚の方には高齢の方もいるから、この天気は心配だよね」と兄も思案している様子でした。母は父の遺影を睨みながら、「みなさんに迷惑かけて申し訳ない。お父さんたら、こんなときに困らせてくれなくてもいいのに」と、決して父の意図したことではないとわかりつつ、愚痴をこぼしていました。

 

徐々に風の勢いが増してきて、家族の間では、あんまりの悪天候だから、親戚はなし、家族だけで法要をして、納骨は天気の良い後日にするしかないよねと話しました。思案の末、兄がお寺に電話をかけました。「大雨のようですが……」。すると、住職からは予想外の回答が返ってきたようで、電話口の兄に戸惑いが見えました。「え? あ、はい……。そんなもんですかね? ええ、では、はい。お願いします」。

 

電話を切ると、兄は私たちのほうに向き直り、「とにかく納骨まで予定通りおこなうって。大雪や大雨、台風など、今までもいろいろな天気の下で納骨をしてきたってさ。四十九日の天気はご縁、故人との巡り合わせだから受け入れるものだって」と言いました。

 

 

滝のような雨の中で

兄と私はその晩手分けして、参列予定の方一人ひとりに、「天気が悪いので、決してご無理はなさらないでください。でももし納骨まで参列される場合は、ひどい雨の中の納骨になりますので、カッパや長靴などご着用ください」と、電話連絡を入れました。

 

当日は朝から大雨。それにも関わらず、参加予定の方は全員来られました。仏間での法要を終え、住職が「このあと納骨となりますが、こういう天気が亡くなられた方との思い出になるものです」とキッパリ。雨具をそろえてお墓に行くことになりました。

 

バケツをひっくり返したような雨が降る中、お墓の前でお経があがりました。お墓の前の道は川のように水が流れ、長靴がなく、黒パンプスを履いていた私の足首から下はジャバジャバと流水の中でした。住職は準備万端、袈裟(けさ)の下にがっしりとした長靴です。お寺の大きな傘の下で、骨壺から布袋に遺骨がザザッと移し替えられ、手早く納骨が進みました。

 

そこで参列者一人ひとり焼香するのですが、ろうそくから線香に移した火が雨に打たれてたちどころに消えてしまいます。それでも、次々にお墓の前に進み出てお参りし、過酷な状況の中ながら、どうにか納骨を終えました。

 

まとめ

法要の準備を万端に整えたと思っても、当日は天気という不確定な要素が影響します。今回は過酷な状況下での納骨となりましたが、とりあえず誰もケガをすることなく、無事に終えられ、ホッとしました。お弁当をお渡ししながら「こんなひどい天気の中、今日は本当にありがとうございました」と頭を下げると、みなさん笑顔で、「大変でしたね。でも無事納骨ができてよかったですね」と労ってくださいました。住職の言葉通り、亡くなった父との縁を大切に思われていると感じ、温かな気持ちになりました。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

 

著者:玉森弥生/30代女性・主婦。

イラスト:sawawa

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年12月)

 

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シニアカレンダー編集部

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