「仕事に結婚記念日なんて関係あるわけないだろ!」「そもそも俺は記念日だから何か作れって命令したか?お前が勝手に作っただけだろ」「そんなの作る暇があったら、洗濯でも掃除でもしてろ」と言う夫。
「わがまま言ってごめんなさい……」とすぐに謝った私。「でも最近、帰りも遅いし、土日も出勤だから……少し、さみしかったの……」と私が言うと、夫は「いい年したババァが気持ち悪いこと言ってんじゃねーぞ」と鼻であざ笑ったのです。
夫との電話を切ったあと、夫と私共通の友人から連絡がありました。車で夫の会社の前を通ったが、会社の建物が火事にあっているというのです。友人は炎が見えたため心配で連絡してくれたのです。
火元は夫の会社
慌てて、再び夫に電話をかけた私。何度かけてもつながりません。それでも電話をかけ続けていると、ようやく夫が電話に出てくれました。
「今どこ!?大丈夫なの!?」と言うと、夫は「はぁ?さっきからなんだよ、うるせーな」「仕事中だって言っただろうが!邪魔するな!」と怒り、切られてしまいました。
「えっ……会社は大丈夫なの?」「え、えっと、あの、仕事してるんだよね?」と私はパニックになりながらメッセージを送りました。「だから何回も言うけど、仕事中だって!」「なんか疑ってるのか!?」と激昂する夫。
「仕事中に連絡なんかしてくるな!うっとおしい!」
「いま会議中で忙しいんだよ!」
「火事なのに?」
「え…?」
夫が嘘をついていると気付いた私は、夫にかまをかけたのです。しかしその後、言葉に詰まったのか、夫から返信はありませんでした。最後に私から「火事でも仕事を続けるなんて、さすがだわ!」と嫌味を送っておきました。
態度をあらためた夫
1時間後――。
夫から「今から帰るよ……」「えっと、晩ごはんってまだあるか……?」と連絡がありました。
「えっ?もう会議終わったの?ずいぶん早かったね!」「火事の中での会議、大変だったでしょう?」
私の言葉に夫はたじろいだ様子で「火事に気付いて、消火されるまでは場所が会社からカフェに変更になって……」「も、もうみんな帰ったし、俺も帰るから!」と言ってきました。
「あ、あと、今後なんだけど、火事の影響で会社は今使えなくて」「緊急で在宅勤務に切り替わることになったんだよね」「でも、いきなり四六時中一緒だとお前もストレスたまるだろうから、みんなで話し合ってレンタルオフィス借りることにしたんだ!」と夫。
「えっ、私のこと心配してくれてるの?久々にやさしくしてくれてうれしい~!」と明るく言った私。すると、夫もホッとしたのか「というわけで、俺はこれからも日中には家にいないから!」「でも、仕事してるだけだから安心してくれ!」といつもの調子で返してきました。
そこで、私は「じゃあ、そのレンタルオフィスの住所、教えてくれる?」「そこに慰謝料請求の書類、送るからさ」と言ったのです。
火遊びの末路
夫から帰宅の連絡があるまでの間に、私は夫婦共用のパソコンの中身をチェックしていました。普段、私があまりパソコンを触らないので、夫も油断していたよう。不用心にもメッセージアプリまで同期させていたので、浮気の証拠を集めるのは拍子抜けするくらいにたやすいことでした。
夫の浮気相手は去年入ってきた若い社員。おそらく、夫はレンタルオフィスを借りると嘘をついて、浮気相手の家に入り浸るつもりだったのでしょう。
私は結婚が決まったときに、夫に「家庭に入ってくれ」と言われてキャリアを諦めたのです。それなのに、夫の態度はだんだんと横柄になり、私を見下すように。そこに浮気までされたら、情なんて残りません。
「というわけで、私はもう出て行くね」「本当に最悪の結婚記念日になったよ!」
その後――。
私は弁護士を通じて、夫と無事に離婚。さっさと別れたかったので、慰謝料も最低限の金額しか請求しませんでした。
しかし、しばらくして元夫から「助けてくれ!」と連絡が。「火事の原因調査の結果、俺のタバコの不始末だって言われたんだ!」「このままだと高額な賠償金を請求される!」と元夫。
元夫の会社は敷地内全面禁煙だったはず。しかし、元夫は浮気相手と会社裏で密会がてらタバコを吸っていたのだそう。
「このままじゃ一文無しになる……」「住むところもないんだ、どうか俺を見捨てないでくれ……」と言われましたが、同情の余地はありません。
それから、元夫から連絡が来ることはなくなりました。元夫が今、どこで何をしているかすらわかりません。一方の私は、久々の独身生活を謳歌しています。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。