「飯は俺の気分で選べるように毎食3パターン作れ」「節約を徹底しろ!家具や家電なんて安いものでいい!」と、私にわがままばかりを言ってくる夫。本人は亭主関白気取りなのですが、勘違いも甚だしいところです。
日ごろから私に高圧的な態度な夫は、ある日、酒代をもう少し減らしてほしいと言ったところ、「お前のせいでせっかくのいい気分が台無しだ!」「もう今日は家に帰らないからな!」と言い出したのです……。
夫が逃げ込んだ先
夫が家に帰らなくなって2日――。
義姉から「実は弟は今、うちにいるの」「夫婦喧嘩にはこういう距離の取り方も大事でしょ?うちは別に大丈夫だから、気にしないでね」と電話をもらって安心した私。
しかし、義姉は「弟から聞いたんだけど……ちょっとあなた、ひどすぎない?」と言ってきたのです。
「あなたは大黒柱の弟を雑に扱っているそうじゃない」「うちは専業主婦で夫が大黒柱だから状況は違うかもしれないけど、それでも夫婦がお互いにリスペクトの心を持つことは大切よ」「私、あなたがそんな人だと思わなくて……正直がっかりしたわ」
たしかにうちは共働き。しかし、私の手取りは60万、夫の手取りは15万円です。わが家の大黒柱は私なのです。そして夫は高圧的でわがままばかり……。
そのことを伝えると、「えっ!?手取り15万?でも、弟は新卒からずっと同じ会社で働いてるでしょ?」「順調に出世してれば、今は役職にだってついているはずなんだけど」と義姉。
実は、夫は「同期に追い抜かれていくのがいやだ」「この会社に未来はない」と言い訳をして、数年前に勝手に転職していました。今はある会社の営業をしているのですが、報酬は完全歩合制。しかし、夫は一度も契約を取れたことがなく、給料は最低保証の15万円しかもらえていないのです。
「お義姉さんの言うとおり、夫婦はお互い支え合っていくものだと私も思っています」「だけど、生活費の大半を私が出しているこの状況で、夫は威張り散らして私に命令するだけ」「そんな夫のことを私はリスペクトできません」
はっきりと私が言うと、義姉は少し考えこんでから「……ごめんなさい、弟の話を一方的に信じてしまって」「今度の休日、そちらにうかがってもいいかしら?ちゃんとあなたのお話を聞きたいわ」と言ってくれました。
反省しない夫
2週間後――。
ようやく夫から連絡が来ました。「旦那様を雑に扱ったことを、しっかり反省しただろうな?」「俺のいない家で、俺の偉大さと大切さがさぞかし身に染みたことだろう!」と言われ、私はため息。
「姉さんのいい嫁っぷりを見てると、いかにお前が最低な嫁かがよくわかるよ」「今度はお前のほうが姉ちゃんの家に世話になるといいんじゃないか?」「姉ちゃんはいつもどんなときも旦那を立てるし、いい嫁とはなんたるかを学べるぞ」
義兄はしっかりと稼いできているそうですし、怒鳴り散らしたり、命令ばかりするような人ではありません。実際に義姉は義兄をリスペクトしているのでしょう。私が義姉の真似をしたら、私たち夫婦はすぐさま共倒れになってしまいます。
「そろそろ俺という旦那さまのありがたみがわかったよな?」
「謝るなら帰ってやってもいいぞ。寛大な俺に感謝しろよw」
「結構でーす!」
「え?」
休みの日に義姉に来てもらい、実情を打ち明けた私。義姉は「馬鹿な弟……こんなにお嫁さんに負担をかけて……!」と激怒。そして、「離婚する準備が終わるまで、いくらでも弟は預かっておくから!」と言ってくれたのです。
その後すぐに、私は部屋を解約する手続きをしました。私の名義で借りていたので、手続きはとてもスムーズに終わりました。
「あなたとは離婚よ、離婚届を送るからサインしてお義姉さんに渡してちょうだい」「部屋は今月いっぱいで解約するし、返送されても受け取れないから」と言うと、夫は「りっ、離婚っ!?」「解約っ!?」と驚いていました。
しかし、すぐさまいつもの調子を取り戻し、「ふざけるな!俺は離婚も部屋の解約も認めないからな!」と大威張りの夫。私は再度、「離婚届にサインしてお義姉さんに渡して」「部屋の解約手続きも住んでるから、もう帰ってこないで」と繰り返してやり取りを終えました。
亭主関白気取りの夫の末路
翌日――。
「おい、お前はどこにいるんだ!」「次の家はどこなんだよ!?」と連絡をよこしてきた元夫。
「あなたの次の家なんて知りません」「私は私の新居で今日から新しい生活を始めるの」「今朝お義姉さんから離婚届も受け取って、提出してきたわよ」と言うと、元夫の勢いはなくなってしまいました。
「俺、離婚なんて嫌だよ……」「姉ちゃんが怖くてサインしただけなんだ……」「がんばって契約取って、稼いでくるから!だから今日また新しく婚姻届を出しに行こう!」
しかし、私はもともと元夫に稼ぎを求めていたわけではありません。私の稼ぎをわが物顔で使い、高圧的でわがままばかりな元夫とは夫婦生活を続けられないと判断したまでです。
「姉ちゃんにもお願いしたけど、『嫁の1人も幸せにできない情けない弟と同居する気はない』って説教されたんだ……」「もう行くあてがないんだ、お前と復縁するしかないんだよ」と言う元夫に、私は「私のありがたみを噛み締めて、1人で生きていってくれる?」「これからは自分1人の力でなんとかしていってね」とだけ告げて電話を切りました。
その後――。
義姉によると、元夫は会社の寮に入ったようです。「がんばって昇進すれば私と復縁できるはず!」と言って日々がんばっているようですが、私は再構築するつもりは一切ありません。
一方、自分の好きなごはんを作って食べ、好きなテレビや映画を観放題の生活を手に入れた私。家具家電、インテリアも安さではなく、私の好みで選びました。ようやく節約に追われない、快適な生活を手に入れられたので、しばらくは1人で楽しく過ごそうと思います。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。