じつは行方知れずの義姉が残した借金を、夫が肩代わりしているのです。最初は義父が支払っていたのですが、年老いた親に負担はかけられないと思った夫が、進んで肩代わりしました。
今回は義父の病気のことがあるので、義姉に連絡を取らないわけにはいかなくなりました。電話をしても、出ることはない義姉。メッセージを送っても、返信はありません。でも、読んでいるようだということはわかりました。
戻ってきた義姉
私の母は弁護士で、借金回収のために義姉の捜索を頼んでいます。どうやら近くにいるらしいということまではわかったのですが、明確な所在まではまだわかっていません。そんな中、義姉が突然帰宅。みんなを驚かせました。
さらにもっと驚いたのは、義姉がお金を持ち逃げしたこと! 義父の手術代をしまっておいたのですが、トイレに行くといいながら家を物色。その後、さっさと持って逃げたのです。どこに住んでいるかも言わず、借金の肩代わりなんて頼んでいないと言い、盗みまでするなんて……。
本人に電話をしてお金を返してくれるように話すことにしました。義姉はあっさりお金を取ったことを認めましたが、義父は元来丈夫な人だから、病気なんて大したことがないのだろうと勝手に推測。これから海外旅行に行くからと言って、一方的に電話は切られました。
パニック!
10日後に帰国し、お見舞いに行くからと言っていた義姉。珍しく、約束通り病院に現れました。そのとき私は、仕事終わりに病院に立ち寄り、義父の部屋を片付けているところでした。
義姉が病室の状況を見た瞬間、一気に顔がこわばりました。喪服を着た私に詰めより、義父はどうしたのかと尋ねます。「義父はもうとっくに……」そう私が口にしたとたん義姉は絶叫。「義父は今ごろ悲しんでいるでしょう。よく手術費用を持ち逃げできましたね」と私が責めると、自分のせいで義父が手術できなかったと義姉は早とちり。義父が亡くなったと、勝手に思い込んだようです。
私は、何一つ変なことは言っていません。そして、私はセレモニースタッフとして冠婚葬祭の仕事しているのですが、今日は仕事が長引いてしまい仕方なく喪服を着ていたのです。病院に喪服は……と思い、コートで隠していたのですが、部屋の掃除のため脱いだところを見られたのです。ただ、私の母から手術費用を借り手術を受けた義父はもうとっくに退院の段取りをしていて、義姉の持ち逃げを悲しんでいる、その事実だけを告げようとしていたのです。手術を受けて元気になった義父は、先生とこれからのことを別室で話し合っています。話し合いが終わった義父が病室に戻ってくると、義姉は腰を抜かしました。
自分の責任は自分で取る
その後、私の母同席のもと、義姉の悪行についての話し合いが行われました。どうやら義父が借金を肩代わりしていたのは、義姉が義実家を担保にして借金をしたからだったようです。義父が返済しなければ、家を取られてしまうところでした。義姉は、今回の海外旅行でも賭け事で大損しさらに借金が増えた様子。しかも、一緒に行ったのは不倫相手だったらしいので、また大変なことになりそうです。
母ににらまれて借りてきた猫のようになった義姉は、おとなしく賠償や返済期限に関する書類にサインしました。そして、この際義姉にはいろいろと清算してもらおうと思った私たちは、行動を起こしたのです。
母には、義姉の返済をきちんとチェックしてもらっています。義父と私たち夫婦は義姉と縁を切ったので、もう直接会うことはありません。私たちが返済したお金や盗まれた手術代が返ってくれば、問題はないのです。これからも、私たちは3人で仲良く暮らしていこうと思います。
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大人は自分で責任を取る。それは常識的なことに思われますが、それを守れない人がいるのも現実です。人をあてにして生きていると、自分自身の価値を下げるだけでなく、周囲の信頼も失うことになります。自分で人生を選び、動かしていく楽しさを感じたければ、無責任なことはしないことです。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。