両親の葬儀後、私がさまざまな対応に追われている隙に、実家で何かを探していたらしい姉。姉は父の書斎で遺言書を見つけ、勝手に開けてしまったようで……?
父の遺言書の内容
「お父さん、結構前から遺言書を用意していたみたいで!」「『遺産相続のときはどうかこの家だけは売らないでくれ』『妻との大事な思い出のある家だから、相続して大事にしてくれ』って書いてあったんだよね」と姉。
両親の葬儀が終わったばかりだというのに……。お金のことしか言わない姉に、私は少なからずショックを受けていました。
「遺産についてなんだけど、現金は私、実家はあんたってことで分けようと思うの」「私は入籍してこれから結婚式が控えてたり、何かと現金必要だからさ!」「それに、あんたは貰い手がなさそうだし、いっそのこと実家に帰っちゃえば?家賃浮くじゃない!」
一方的な決めつけをされ、さすがの私も「ちゃんと2人で話し合おうよ!」「大きな金額だからこそ、ここはちゃんと話さないと!」と言ったのですが、姉は聞く耳を持たず……。
私がこの家で一番偉くなったから私の言うことを黙って聞けという意味不明な理屈を言い出したので、納得はいかないものの、理不尽すぎて反論する気力も失ってしまった私。「もういいよ。お姉ちゃんの言った通りでいいよ……」と言うと、「あんなボロ家だけじゃさすがにかわいそうだから、実家にあるものはセットであげるよ」と姉。
結局、私は姉の言うとおりに一人暮らしの家を引き払い、実家に戻ることにしたのでした。
姉の大誤算
葬儀から2週間後――。
「ねぇねぇ、実家に通帳とかなかった?」と連絡をよこしてきた姉。実家に戻ってきた私も一通り家の中を調べましたが、通帳なんてありませんでした。
「そんな……じゃあ、本当に遺産はあれだけってこと!?」「想像より全然少なかったんだけど!」「何億かはあると思ってたのに……それがたったの1,000万しか残ってないなんて!」
1,000万円もあれば十分だと思うのですが、姉は不満な様子。「遺産が入ると思って、車買ったり、ハイブランドバッグ買い占めたりしてたのに……」と言われ、私はずっこけそうになりました。
「お母さんとお父さんが亡くなったばかりなのに、よくそんなことができるね」と言うと、「切り替え上手って言ってちょうだい!」と姉。
そして姉は、「とりあえず、あんた実家を売りなさいよ」「土地代を2人で半分こするなら文句ないでしょ?」と言ってきたのです。
しかし、父の遺言書には「実家は手離すな」とありました。だから私は「お父さんの遺志もあるから実家は売るつもりないし、万が一売ることになったとしてもお姉ちゃんにはお金は渡さないよ」ときっぱり告げました。
「そんな非常識なこと言わないでよ!妹のくせに!」と言ってきた姉に、私も負けじと言い返します。
「非常識はどっちよ?両親から何千万も借りておいて!」「引っ越しで荷物を整理していたら、借用書が出てきたのよ!お姉ちゃん、お父さんたちから何千万も借りてたんだってね?」
私に痛いところを突かれたのでしょう、姉は「もういい、あんなボロ実家、古い平屋で恥ずかしかったのよね」「売りに出さないなら興味ないし、あんたの好きにすれば?」「その代わり、二度と借用書の話はするんじゃないわよ!」と理不尽な態度で怒りをぶつけてきました。
「……わかった、じゃあお姉ちゃんもこれからは絶対に遺産の話はしないでね」「預金はお姉ちゃん、実家と実家にあるものはすべて私のもの、それでいいよね?」
そういった私に、食い気味に「はいはい、それでいいわよ!」「お金が手に入らないなら、もうどうでもいいわ」と言ってきた姉。
「遺産の分配は、私が現金1千万、あんたは実家で確定ね」
「あんなボロ家、売ってもたいした金額にならないけどねw」
「わかった、本当にいいのね?」
「は?」
私の反応に驚く姉に、私は続けて言いました。
「じゃあ、家の金庫にあった宝石たちは私のものだね!」
諦めの悪い姉を一喝した人物
実家の整理中に、階段下の物置にも入った私。きれい好きな両親が管理していた部屋なのに、なんだか乱雑に多くのものが置かれている印象があり、私は不自然さを覚えました。念のために奥まで進むと……そこに初めて見る大きな金庫が。
そして、父の書斎にあった鍵を使ってその金庫を開けてみると――中にはたくさんの宝石と金塊がぎっしりと詰め込まれていたのです。
「そんな!ずるいわよ!」「宝石も金塊も公平に分け合いましょうよ!」とこの期に及んで諦めの悪い姉。しかし、これは私が相続したもの。姉に譲る気はありません。
「お父さんの直筆の手紙も一緒に入ってたよ」「『この家を相続し、大事に暮らしてくれる人にこの財産を託します』って」「これも家のものだから、私のものだよね?」
その後――。
姉は何度も実家に来ては遺産の再分配を要求してきました。しかし、ある日近所に住む大叔母に「葬儀のあれこれも妹に押しつけてたくせに、馬鹿なこと言ってんじゃないよ!」と一喝され、逃げ帰ったそう。相当怖かったのか、それ以降姉から連絡が来ることはありませんでした。
大叔母の助言もあり、私は実家を離れることに。両親が大事にしていた実家は管理人を雇って大切に維持しながら、姉が簡単には来られない遠くの地へ引っ越すことに決めました。誰も知り合いがいないところでの新生活は不安なこともありますが、これからも両親のように真っ当な生き方を続けていきたいと思っています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。