詳しく事情を聞いてみると、「会社、ブラック過ぎて辞めちゃったんだよね~」「何が向いてるのかもまだわかんないけど、でももう雇われは嫌だな~って思って!」と無計画な彼女。
「素人が一人で考えるより、最初からプロに相談して的確なアドバイスをもらったほうが近道だよね?」と言われ、私は不安な気持ちを抱えながらも同級生に婚約者を紹介したのですが……?
ビジネスパートナー
1週間後、同級生の起業相談の日――。
どうやら、彼と同級生は仕事の話をしているうちに意気投合したようでした。「これから週1で相談に乗ることになったし、ビジネスパートナーになることになったから!」「お前の友だちだし、特別価格で引き受けることにしたよ」と彼から言われ、私はびっくり。友だちだからって贔屓なんてしなくていいのに……とモヤモヤしました。
それからというもの、彼と同級生は週1で起業相談として会う関係に。彼は「ビジネスパートナーとしての親睦を深めるためだ!」と言って、彼女とごはんを食べてくるようになりました。
そして、同級生は同級生で、週1の起業相談時以外にも彼を呼び出すように。それも、私と彼のデートの日を見計らったように、タイミングよく彼に連絡を入れてくるのです。
起業相談開始から3カ月後――。
その日もまた、同級生は私の婚約者を急に呼び出していました。そのあとで、「ごめんね~?」と電話をかけてきたので、私は2人の関係を問いただすことに。
「私、あなたたちの浮気には気づいているんだからね」と言うと、「じゃあ話が早いわ!」と返してきた同級生。
「早速だけど、彼と別れてくれない?」「あんたが気づいたとおり、私と彼は付き合ってるし、めちゃくちゃ愛し合ってるの」「ビジネスパートナーから本当の愛のパートナーになるから、あんたはさっさと身を引いてくれる?」
彼への情もとうに冷めきっていた私。「3カ月も起業相談に乗ってるのにまだ事業が決まらないうえ、2人して私を裏切るなんてね……」「それじゃあどうぞお幸せに」とだけ言って、私はあっさりと婚約破棄に応じたのでした。
結婚式の招待状
それから2カ月後――。
「ねぇねぇ、私たちの結婚式の招待状、受け取ってくれた?」と、例の同級生から連絡が。略奪した相手である私に招待状を送るなんて、なんて非常識なのだろう……と思いながらも「本当に結婚するんだね……」とだけ返事をしました。
「一応あんたも結婚式に招待したからw」
「略奪相手の私と彼の幸せを見たら、婚約破棄のショックも吹っ切れるわよ!w」
「楽しみだな~♡」
「は?」
私が快諾したためか、彼女は少々拍子抜けしたようでした。そして、私はご祝儀を分厚く分厚くするために、結婚式までにある準備を進めることにしたのです……。
分厚い祝儀袋の中身
そして、結婚式当日――。
結婚式が終わったあと、新婦である同級生から弾んだ声で電話がかかってきました。
「みんなの前で略奪暴露でもするかと思って警戒してたんだけど、普通に祝ってくれるなんてね~!」「ご祝儀も分厚いし、あんた結構いいやつじゃない!」とご機嫌な彼女。
「そりゃ、気合い入れて用意したもの」「ぜひ2人で開けてみてね」「彼が私との婚約中に作った借金の書類、全部入れておいたから!」
実は、元婚約者の経営コンサルタント業は大赤字。収入がないうえに、付き合いや飲み会では見栄を張って全員分払い、火の車になっていたのです。そして、困った彼は私の名義で勝手にあちこちから借金をするように……。
彼と結婚するつもりでいた私は、利子が膨らむ前にすべて肩代わりして返済。婚約破棄してから私はすぐに彼に返済を要求しましたが、彼は私の連絡をすべて無視しして、踏み倒そうとしていたのです。
「ご祝儀って2人の新生活の門出をお祝いするものでしょ?」「だから、私なりに考えて、これからの結婚生活に役立つものを詰め込んだの」「彼の会社がどんなものか、そして彼がどんな人か……よく知っておいてほしかったから!」
その後――。
同級生が彼を問い詰めたところ、さらなる借金が発覚。事情を知った彼の両親が、私が肩代わりした分は返してくれました。温厚なご両親は、「借金を全部返し終わるまで、息子夫妻にはうちの敷居は跨がせない」と大激怒していましたが……。
まとまったお金を取り戻した私は、仕事の長期休暇を利用して海外旅行へ。今回大変な思いをしたけれど、異国の地に来たことで、世界の広さを実感。おかげで元彼への未練はなくなりました。休暇を終えて帰国した今は、前を向いて仕事に励んでいます。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。