前回に引き続き、2019年10月からの消費税の税率アップに対しての内容です。今回は住宅の購入は税率アップ前が良いかアップ後が良いかについて、2018年10月現在の状況に基づいてお伝えします。
1.消費税増税の対象かどうかの判断は契約日または引き渡し日で判断
自動車購入に際しての消費税率が8%か10%かの判断は、自動車の登録日が2019年9月30日以前か以後かで分かれますが、住宅でも以下の状況で判断します。
①原則として、住宅の引き渡しが2019年9月30日までに完了すれば、消費税は8%となります。引き渡しが2019年10月1日以降の場合は消費税が10%となります。
②例外として、注文住宅に限り、請負契約が2019年3月31日までに完了していれば、引き渡し時期に関わらず消費税は8%となります。
なお、中古住宅の個人間の売買や土地には消費税は掛かりません。2019年に住宅を購入する場合は、上記の条件を念頭にする必要がありますが、その他の優遇措置もあるため、消費税増税=負担増と考えず、費用総額で考えるようにしましょう。
2.住宅購入に付随する諸経費にも消費税増税の影響が
戸建て・マンション、新築・中古を問わず建物価格には原則消費税が掛かりますが、その他付随するものにも消費税が掛かるものは増税の影響を受けます。主なものは以下のとおりです。
①住宅ローン諸費用
事務手数料、保証料、登記に伴う司法書士への手数料など
②引越料金
引越業者の利用料金、レンタカー利用料金など
③家財・設備等
家電、家具、インテリアなど
3.消費税10%と同時に住宅取得の制度が変わる予定
住宅購入について消費税率アップをそのまま負担増にしないために、いくつかの優遇制度が予定されています。状況によっては税率アップ後の方が優遇が大きく負担が少ない場合もあるので、制度が使えるか検討するとよいでしょう。2018年10月時点では、以下の2点が消費税増税時に優遇措置を拡大する予定です。
①すまい給付金の増額
収入が一定以下(扶養人数等で額が異なります)で住宅を購入して申請すると支給される給付金ですが、収入基準の緩和と支給額が増額(最大30万円⇒50万円)されます。
②住宅取得等資金に掛かる非課税措置の拡大
父母・祖父母等から住宅取得資金を贈与された場合の非課税の範囲が700万円から2500万円までに拡大されます。耐震・省エネ等性能の高い住宅はさらに500万円の非課税枠が加算されます。
4.中古や建売であれば、価格調整になる可能性も
前回の消費税増税時に住宅や他の高額商品でも起こった状況ですが、消費税増税直後は単純に消費税増税分を値段に転嫁しない場合があります。値上げして急に売れなくなるよりは、消費税増税前とあまり値段を変えずに販売を促すことも考えられます。
消費税増税前だからと言って、売り手側の口上に乗らずに、冷静な判断で住宅購入を決めるようにしましょう。逆に注文住宅やリフォーム等で業者が決まっているものの価格調整は起こりにくいので、決まっている場合は消費税が増税される前に手続きを済ませましょう。
消費税増税と言って慌てて決断するのではなく、税率アップ後の恩恵を受けられるかも考慮したうえで、住宅が本当に必要かどうか、家計に支障がないかも合わせて判断するようにしてください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。