入園後、娘はとても楽しく過ごしていて、幼稚園選び自体に後悔はありません。ママ友もたくさんできて、私も楽しく過ごしていたのですが、年長になって同じクラスになったママの中にちょっと癖が強いママがいて、それが今の悩みでもあります。
厄介な超セレブママ
私を悩ませているママ・スズコさんは、旦那さんが会社経営をしている超セレブママ。いつも、旦那さんの会社で働く夫を持つママたちを引き連れていて、幼稚園ではちょっと目立つ存在です。
子ども同士は仲良しなので、あまり波風は立てたくないと思っていますが、パートをしている私に対して「貧乏人は大変ね」とか「私たちの格まで下げないで」とか、言いたい放題。私から言わせてもらえば、幼稚園の送迎に全身ブランドものを着ているほうが普通じゃないと思うのですが。
スズコさんたちは皆揃って小学校受験をするようなので、卒園まであとちょっとの辛抱……。そう思って、何を言われてもスルーを決め込んでいました。しかし、残念ながら何もなく平和に卒園……とはなりませんでした。
毎年恒例の卒園旅行
ある日、珍しく祖父から電話がかかってきました。どうやら、スズコさんが私のことをあれこれ園長に愚痴っていたようで、心配した園長から電話をもらったとのこと。祖父は自分が勧めたことで申し訳なく思ったのか、ひどく落ち込んでいましたが、幼稚園自体には大満足していて、娘も楽しく通っていると言うと安心していました。
その後、「スズコさんにはちゃんとお仕置きするから」と言い、電話を切られてしまったのです……。一体何をするつもりなのでしょうか。
その答えがわかったのは、毎年恒例になっている年長組の親子で行く卒園旅行でした。今回、幹事をしたのはスズコさんとその取り巻き。行き先は、セレブ幼稚園らしく超がつくほどの高級旅館です。スズコさんいわく「夫が仕事でお世話になっている人がオーナーをしている旅館で、特別価格で宿泊できるのよ」とのこと。参加者のママたちから感謝されて、スズコさんも気分がよさそう。
でも、私への嫌味は忘れません……。「いくらうちの夫のおかげで安く宿泊させてもらえるって言ってもねぇ……。貧乏人が高級旅館に泊まれるの?」と、取り巻きたちとクスクス笑っています。いつもならイラッとするところですが、私はとある事実を知って卒園旅行に来たので、涼しい顔で立っていました。
高級旅館のオーナーは…?
旅館に到着すると、スズコさんが先陣を切って受付に向かいます。しかし、受付にいた女性は、他の従業員を引き連れて私の前へ。そして……。
「お帰りなさいませ。お嬢様」と言いながら、深々とお辞儀をしました。それを見て、スズコさんも取り巻きたちも「……は?」と意味がわからないようだったので、この旅館のオーナーは私の祖父だということを教えてあげました。つまり、スズコさんの旦那さんがお世話になっているというのは、紛れもなく私の祖父。
実は、孫とひ孫をいじめるヤツの顔が見たいと祖父が園長に頼み込んで、特別価格で宿泊するように仕向けたというワケです。「うちの孫とひ孫を貧乏人扱いしたスズコさんは、どちらかな?」そう言いながら祖父が出てくると、スズコさんも取り巻きたちもみるみるうちに顔面蒼白……。どうやら、旦那さんからオーナーにはくれぐれも失礼がないようにと言われていたみたいです。口々に「用事を思い出した」と言って、みんなで一斉に帰って行きました……。おかげで、私は仲良しのママ友とゆっくり旅行を満喫。いい思い出になりました!
その後、スズコさんたちは幼稚園でもすっかりおとなしくなり、私にも絡んでくることはなく、そのまま卒園の日を迎えることに。たくさん遊び、たくさん学び、娘にとっても最高の幼稚園生活になりました。そんな環境を整えてくれた祖父母には、感謝の気持ちでいっぱいです。
◇ ◇ ◇
高級なものを身に着けていないから貧乏かといえば、決してそうとは限らないですよね。何にお金をかけるかは、人それぞれ。いくらお金に余裕があっても、人をけなすような人にはなりたくないですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。