「早めに実家に戻って出産に備えたほうがいい」と言われて、妊娠5カ月で里帰りした私。両親は共働きなので、ひとり実家でのんびりと過ごしていました。
そこへ、連絡をしてきたのは大親友。地元の小学校からの付き合いで、大学入学のときに一緒に上京し、普段は電車で数駅の距離に住んでいます。そんな彼女が何やらとても焦っているようで……?
親友が街で目にした夫の姿
「ねぇ、今、地元に帰ってるんだよね!?こっちにいないんだよね!?」と突然質問してきた親友。
「う、うん、ちょっと早いけど今月頭から地元に帰ってきてるよ」と答えた私。
「旦那さんってお姉さんか妹さんっているの?あと、5歳ぐらいの姪っ子ちゃんとか」
「夫は一人っ子だし、うちには甥っ子も姪っ子もいないわ」
「一体どうしたの?」
「落ち着いて聞いてね……実は……」
親友は続けました。
「さっきあなたの旦那さんを見かけたの」「それでその……知らない女の人と一緒にいたんだよね」
親友は私への出産祝いを探しに、赤ちゃん用品店へ行ったのだそう。そこで、夫と見知らぬ女性、そして5歳くらいの女の子を見かけたというのです。
「女性のほうとは腕を組んでいて……もう片方の手で、その5歳くらいの女の子と手をつないでたの」「その子は、あなたの旦那さんのことを『パパ』って呼んでたんだよね」
「妊娠中にこんなこと伝えるの、ダメだと思ったけど……。やっぱり見過ごすこともできなくて……」「信じられないかもしれないけど、私はこの目で見たの」と申し訳なさそうに話す親友。
そして、親友は「あなたに無理はさせられないから、私のほうでも少し探ってみる」「もしまた何かあったら連絡してもいい?」と言ってくれたのです。
妻の居ぬ間に夫が招き入れた偽家族
そして、数カ月後――。
私は無事に元気な男の子を出産。「絶対に立ち会う!」と意気込んでいた夫は、急に仕事が入ったと言って、病院には来てくれませんでした。
出産を終えたことを伝えるため、電話をかけると「立ち会えなくて本当にごめん!でも無事に出産が終わってよかったよ」「早く2人に会いたいなぁ~!」と夫。
「あぁ~、初めての自分の子どもって、やっぱり緊張するよな」「でも早く抱っこしてやりたいぜ♡」と言う夫に「初めてじゃないくせに」と返すと、すっとんきょうな声で「え?」と言いました。
「さっきから初めてアピール、露骨すぎるよ」「それと、息子の誕生を喜んでくれるのはうれしいけど、私しばらくそっちに帰らないから」「っていうか、もしかしたら二度と帰らないかも」と言うと、「お、おい、急に何を言い出すんだよ!?」と夫。
「私が言いたいこと、本当はわかってるでしょ?」「あなたの子どもはこれで2人目……まさかほかに家庭があるなんて、知らなかったよ」
宣言通り、親友は私のために夫の浮気の証拠をかき集めてくれていたのです。親友の調査によると、夫は私と結婚してすぐに浮気開始。しかもその浮気相手を妊娠させていたのです。
さらに許せないのは、私が里帰りしている間にその浮気相手と子どもをわが家に招き入れていたこと。私の体のことを思って里帰り出産を勧めてくれたんだと思っていたのに……。
「あ、いや、あの、違うんだよ」「これはその、仕方がなくてさ」「俺にとって一番大事なのは、お前と生まれたばかりの息子なんだ!」と必死に取り繕おうとする夫。
その態度に私はカチンと来て、「はぁ?その一番大事な人を傷つけておいて、よくもまぁそんなことが言えるわね!」「今ここで覚悟を決めたわ、やっぱり私、離婚する!」と宣言しました。
「えっ!?子どもが生まれたばかりなのに!?」と驚く夫。私だって、こんなときに離婚なんてしたくありません。子どもには父親の存在も大事だと聞いていたので、少し時間を置いたら夫のもとに帰ろうと考えていました。しかし、素直に謝るわけでもないわ、訳のわからない言い訳ばかり並べるわで、こんな男と一緒に子育てをするほうが無理だと思ったのです。
「そんな、待ってくれよ!俺は離婚なんてしたくないよ!」とこの期に及んで、泣きついてきた夫。
「別に、あんたは離婚しても問題ないでしょ」「もう次の奥さんと子どもがいるんだから」とだけ言って、私は電話を切りました。
その後――。
私の体調が落ち着いてから、互いの両親を同席させたうえで、夫と離婚の話し合いを行いました。その場には夫の浮気相手も同席。私は2人に慰謝料を請求。さらに、財産分与や養育費などは、すべて私の希望の金額で支払われることになりました。
元義両親は元夫のしたことを知るやいなや激怒。略奪成功で浮かれていた浮気相手が「これからは私が嫁です!本当の初孫ともどもかわいがってください!」とあいさつしたときには、完全に無視していました。話し合いが終わったあと、元義両親は元夫たちに絶縁を言い渡したそうです。
私は両親のもとで、シングルマザーとして息子を育てることに。親友も転職を機に、地元へ戻ってくるそうです。今は息子と親友を会わせる日が楽しみで仕方ありません。
【取材時期:2025年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。