夫が他界し…
私が夫の危篤を伝え何度もメッセージを送ったにもかかわらず、一度も実家に顔を出さず、葬式にも参加しなかった息子。勝手に結婚したようでお相手の紹介もありません。
「どうして会いに来なかったの?」と何度もメッセージで問い詰めると、「忙しかったからさ~」とようやく返答がありました。しかし、夫がどれだけ苦労して私たちを養ってくれたのかを伝えても、「親が子を育てるのは当然の義務」と無責任な態度を取っています。
挙句に、「だいたい俺がこんなふうに育ったのだって、親のせいだろ? 育て方が悪かったんじゃないか。俺のことを責める前に、育児に失敗した自分らを責めろよ」と言う始末。
「さては、俺や嫁に介護を押し付けようとしたな? そうはいくか。嫁は読者モデルもしていて超多忙。死に際の老親の面倒なんて見させられなかったし、葬儀の日だってイベントがあったんだよ」
半年後
こうして、何度言っても夫の墓参りも嫁の紹介もせずに帰ってこなかった息子が、半年がたったころに突然連絡をよこしてきました。「母さん……。俺さ、地元に帰る。っていうか実家に戻るから! 喜んでくれるよな?」と言うのです。
「母さん1人じゃ心細いだろ?」
「こういうときこそ息子を頼ってくれ!」
「私に息子はいないけど…」
「え?」
あきれ果てた私は冷たく返信しました。「昔は息子がいたけど、まったく親を大事にしないし葬式にも来ない。そんなの親子とは言えないでしょ」と答えると、息子は慌てて電話をかけてきました。「悪かった。実はあのころ嫁と喧嘩が絶えなくて。顔は良いけど最悪な女だった。結婚後も遊んでばかりで、結局男を作って数日前に出ていったんだ……」
「それはご愁傷様。でもあなたが選んだ相手よね。それに、どうしてあんなに嫌がっていた実家に戻りたがるわけ? 何か裏があるんでしょ?」。私は、ピシャリと言い放ちました。
泣きつかれたけれど…
すると息子は泣きついてきました。「実は、元嫁との間に子どもがいてさ。デキ婚だったんだ……」
なるほど、実家に戻って、私に子どもの面倒を私に丸投げするつもりだったようです。
「実の孫じゃん。孫がいたら楽しくなるだろ? 母さんのボケ防止にもつながるかもよ?」などと、この期に及んで悪びれもせずに口にする息子に、私の決意は固まりました。
「余計なお世話。私は父さんの介護で腰を痛めて、小さい孫の育児やあんたの分の家事をこなす余裕はないよ。父さんの遺産や私の年金が目当てならそれもムダ。闘病と介護でほとんど残っていないし、薄情な元息子には頼れなさそうだから、自分の老後に取っておくわ。ひとりで何とかしなさい。親が子を育てるのは当然の義務なんでしょ」
その後、息子は行政に相談に行き、子どもを里子に出すことに。自分で育てられない後悔と、親を大切にできなかった後悔の2つを背負ったのです。
その後、折に触れて謝罪の手紙が来るようになりました。すぐに許せば甘やかすことになると思い、まだ返事はしていません。このことを胸に息子が改心し、孫を引き取れるようになったら、再会の場を設けたいと心を鬼にして遠くから見守っています。
--------------
親不孝者で無責任な息子は、大きな後悔を2つ抱える結末に。しかしまだやり直す余地はあるのかもしれません。これからしっかり心を入れ替えて、いつか和解できるといいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!