先日、子どもたちを迎えに来た義妹は、義弟ではない別の男の人の車に乗ってやってきました。2人の距離はとても近く、友人より一歩進んだ関係のように見えたのです。
そのことを持ち出して、「育児の協力だけならいいけど、浮気の協力は絶対にできない」「私のお産も近いし、もう甥っ子たちは預かれないわ」と言ったところ、義妹は「なーんだ、見られちゃったんだ!」とあっけらかんとした態度。
「お義姉さんが見たとおりよ!彼は私の恋人!」「彼氏がいるからこそ、家族の大切さがわかるっていうか……むしろ家族円満で暮らすためにはこういう息抜きが必要だと思うの!」と義妹。私には一切理解できませんでした。
それでも「お兄ちゃんには秘密だからね!」と私に口止めしてきた義妹。私の夫と義妹は大変仲の良いきょうだいなので、絶対に知られたくないのでしょう。
とはいえ、これ以上甥っ子たちを預けられてはたまりません。そう思って、私は義妹の所業を夫に報告したのですが……?
義妹の肩を持つ夫
「おいおい、急に変なこと言い出すなよ」「まさかあいつがそんなことをするわけないだろう?」と、私の話を信じる素振りも見せなかった夫。
「あいつは昔から男女関係なく友だちが多いんだ。仮に男と出かけていたとしてもただの友だちだろ」「俺の妹が浮気なんてするわけないだろうが!」
「でも、本人に問い詰めたら浮気を認めたわよ?」と言うと、夫はわざとらしく大きなため息をつきました。
「いくら甥っ子たちの世話が大変で断りたいからって、妹のことを悪く言うのはどうかと思うぞ」「あいつは若いのに毎日育児と家事をがんばってるんだから、たまの息抜きくらい協力してやれよ」と、どこまでも義妹の肩を持つのです。
悪者扱いされて腹が立った私は、「あなたが味方になってくれないならもういいわ!」「私がなんとかしてみせるから!!」と言って、部屋に引きこもりました。
自分が悪いと思い込んでいた義弟
その後すぐ、私は義妹の夫、つまり義弟に連絡を取りました。
「いきなりごめんね、ちょっとあなたの奥さんのことで話があるんだけど……」と切り出すと、ちょうど遅めの昼休憩だと言うので、そのまま会話を続けることに。
「前からもう子どもたちの面倒を見るのは無理だって断ってたんだけど、うちに預けるのが浮気デートのためだってわかってね」「そのために子どもを見るなんてこと、絶対にしたくないの」「だから二度とわが家に子どもたちを連れてこないで」
「まさかお義姉さんにまでご迷惑をかけていたなんて……」「ご迷惑をおかけして申し訳ございません!」と、謝ってくれた義弟。しかし、次の言葉に私は自分の耳を疑いました。
「周りに迷惑をかけるくらいなら、浮気なんてやめろって言っておきます」「この度は本当に申し訳ございませんでした!」
義弟は義妹の浮気のことを知っていたのです!
「本当は浮気なんてやめてほしいんですけど……僕が何を言ってもやめてくれないんです」「最初はもちろん怒りましたよ!でも、『私にだって息抜きは必要なの』『そもそも浮気させるようなあんたが悪い』って開き直られて……」
以前、義妹は友だちに子どもたちを預けていたそう。しかも、かなり無理やり預けていたそうで、トラブルになったと義弟は話してくれました。
「思い切って、義兄さんにも相談したんですが、『妹が浮気するわけないだろ』って耳も貸してくれなくて……」「『むしろ嫁を疑うなんて情けない旦那だ』って怒られちゃって……」「それから、妻が浮気をしているのは僕のせいだって思うようになって……実際に、育児や家事はほとんどできていませんし……」
だんだんとか細くなっていく義弟の声。このままではいけないと思い、私は「いやいや、あなたは何も悪くないでしょう!」と言いました。
「お仕事でしっかり稼いで家族を支えてるし、親戚で集まったときはその場の子どもたちみんなの面倒を見てくれているじゃない」「普段からどれだけ子どもの世話をしてるかよくわかるもの」「だから自分が悪いだなんて思いこまないで!どう考えても悪いのは浮気をして、家族を裏切ってる義妹のほうだよ!」
「自分が悪いんだ」と思い込んでいた義弟は、いつの間にか義妹に反論する気力すら失っていたそう。しかし、私の言葉を聞いて、「もう一度妻と向き合ってみます」と力強く言ってくれました。
浮気旅行先で一家全員大集合
1カ月後――。
出産予定日まであと数日。ずいぶんと膨らんだおなかを撫でながら、ふと窓から庭を見てみると……なんと甥っ子2人がわが家の庭で遊んでいるではありませんか。
慌てて義妹に連絡すると、「あ、ようやく気付いた?」「今回も子どもたちの世話をよろしくね!」と義妹。そんなことを言われても、出産間近で甥っ子たちの面倒を見るのは大変だと言うのに……。
「無理って言われても私も無理~!だってもう旅行先に着いちゃったし!」と義妹。
「今回は初めてのお泊まりデートなの!だから子どもたちは一晩預かってね~!」
「お兄ちゃんには浮気旅行は内緒で♡ま、私が浮気するなんて絶対信じないだろうしw」
「そうなのよね。だから私…」
「え?」
実は、今日から夫の会社は社員旅行。しかも行き先は義妹と同じ場所、そして宿泊先も義妹と一緒なのです!何も知らない義妹にそのことを伝えました。
すると、「な、なんですって……!?」と驚く義妹に、「さすがにこんなの偶然では起きないよ」と返事をしたのは義弟でした。
義弟と私は手を組み、浮気中の義妹とうちの夫が鉢合わせするように仕組んだのです。そんな義弟は「出張に行くから」と嘘をついて家を出てきたそうですが、今はわが家で甥っ子たちの相手をしてくれています。
「『この旅館すごくいいんだって』って言ったら見事に食いついてくれたね」「僕の嘘の出張に合わせて旅行に行ってくれてありがとう。今から僕もそっちへ向かうよ」と義弟。
「なんでよ!私の浮気のことも知ってるくせに、今更なんなのよ!なんでこんな私をはめるようなことをするのよ!」と怒る義妹に、「もう浮気を見て見ぬふりするのはやめたいからだよ」「離婚しよう」と、義弟は淡々と告げていました。
「義姉さんのおかげでようやく正気に戻ったよ」「僕なりにがんばってるのに毎日怒るわ、浮気されるわ……もう僕も限界なんだ」「こんなの家族とは言えないよ」と言い切った義弟。
義弟が本気で離婚を考えていることが伝わったのか、義妹は焦ったように「私、離婚なんて考えてなくて」「浮気は本当にただの遊びでしかないの!」と言い出しました。
しかし、義弟は「話はすべて旅館で聞くよ」と一蹴。「ゆっくり話し合おうね」と義妹に言いました。私が「話し合いの間、子どもたちはわが家でみておきます」と伝えると、義弟は私にお礼を言いながらわが家を後にしました。
その後――。
義弟の到着前に、義妹とうちの夫は旅館で見事に鉢合わせ。夫は本当に義妹が浮気をしているなんて思っていなかったようで、かなりショックを受けていました。社員旅行から帰宅直後、玄関で「お前のことを信じなかった俺が悪かった!本当にすまない!」と謝ってくれました。
義弟と義妹は話し合いの末、離婚。子どもたちは全員義弟と暮らし、義妹は毎月養育費を支払うことに。ちなみに、浮気相手は義妹と別れ、義弟に慰謝料を払ったとのことでした。
そんな慌ただしい数日間を終え、私は無事に赤ちゃんを出産。義弟は「浮気相手からの慰謝料で奮発しちゃいました!」と豪華な出産祝いをくれました。夫も「俺が父親として子どもと妻を支えなければ!」「ちゃんと仕事も育児も家事もするから、絶対に浮気には走らないでくれ!」と言って毎日がんばってくれています。
【取材時期:2025年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。