私が介護を始めて1年。最近の母は、入退院を繰り返すようになり、だいぶ体力も衰えてきています。それを知った夫は、「お義母さんも、いよいよかもなぁ〜」と、デリカシーのない発言。母と1日でも長く過ごしたい私に、そんなことを言うなんてひどすぎます……。
この1年、私はできるだけのことをしてきたつもりですが、夫は介護のせいで家事をおろそかにしていると言います。早く介護が終わってほしいと思っていると言われ、とてもショックでした。母に早く亡くなってほしいと言われているようで、許せませんでした。
同居と義父母の介護は決定事項
夫は自分の親に介護が必要になったとしても、同じように考えると言いました。「早く終わってほしい。できれば介護の必要なく、早く遺産を相続したい」と思うのだそう。あまりにひどい考えに私は絶句しました……。
それから1カ月も経たないうちに、私の母はこの世を去りました。すると、葬儀後、夫はとんでもないことを言い出したのです。
「お義母さんの介護お疲れさん!」
「次はうちの両親も頼むわ!」
「嫌なら離婚な」
そして、義実家での同居も決定事項だと言います。長男の嫁なんだから、同居も面倒を見ることも必須、あきらめろと……。遺産をもらうために、同居して面倒を見て恩を売っておくためだそうです。
「え、もしかして知らないの?」
私は義父母にもとてもよくしてもらっていて、感謝しています。同居や必要になったときの介護も嫌ではありません。しかし、少し前に義父母から同居する予定だと話を聞いていて……。
義父母は、ずっと気にかけてくれていた次男である義弟に家を継がせると決めたようなのです。夫にはほとんど財産を残さないつもりだからと、私のことを心配して事前に私に話してくれていたのです。そのため、困ったときは夫を通さず直接、私を支援するつもりだからなんでも相談してほしいと言ってくれました。
夫に失望したのは私だけでなく…?
事実を知った夫は抗議したようですが、義父母の決意は変わりませんでした。兄弟2人に同じように期待をかけていたけれど、親孝行もせず、親の存在を面倒がっていた夫には失望したようです。
金銭トラブルや警察にお世話になるなど、今まで親不孝ばかりしてきた夫。特にお金には汚く、たまに帰省したかと思えば義母の財布からお金を抜いたり、義父が大切にしている置き物を勝手に売ったり……。義父が入院したときには、体のことは一切心配せず、保険金の話ばかりしていたそうです。
夫に失望したのは、義父母だけではありません。私も失望しています。母の葬儀が終わったら、家を出ようと考えていました。
私が離婚届を突きつけると、夫の口から出たのは、私の母の遺産を期待する言葉でした。離婚を言い渡されて、真っ先に出てくる言葉がお金のこととは……。残念ながら、親から相続したものは財産分与の対象外なので、夫に入るお金はありません。
お金に汚い夫の末路
実は、浪費癖のある夫は私に隠れて借金をしています。これからお金に苦労することになるかもしれませんが、私が夫に同情することはありません。
そして私たちは離婚しました。母の遺産が夫の手に渡らないと知ると、離婚に反対してきましたが、そんな人とやり直す気になるわけがありません。私と離婚して、義父母からの援助も見込めない状況になり、今はどこでどんな生活をしているのかわかりませんが、今回の件で改心してくれるといいなと思っています。
私は、実家を相続し、そこに住みながらひとりの時間を楽しんでいます。
◇ ◇ ◇
母を亡くし深く傷ついているときに、デリカシーのない言葉を浴びせられた妻の気持ちを考えると胸が痛みますね。義父母からも妻からも見捨てられて当然です。もちろんお金は大切ですが、家族に対してもお金のために恩を売るという冷酷な考え方に、絶望する妻や義父母の気持ちがよくわかります。妻にも義父母にも、この先幸せに暮らしてほしいですね。
【取材時期:2025年2月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。