シワとは一体何?
皮膚がよれて元に戻らない状態
ひと口にシワと言っても、シワがある場所や原因によって改善法はさまざまなのだとか。まずはシワについて、整理してみましょう。
「シワは表面的に見えるものなので、なんといっても一番の原因は表皮と真皮の劣化。表皮は血管などもない皮膚の一番上にある層です。真皮には神経や毛細血管、コラーゲン繊維などがあります。
表皮の代謝が悪くなると、皮膚がだんだん薄くなってしまいます。真皮もコラーゲン繊維が壊れて小さくなります。コラーゲン繊維が小さくなることで、繊維の中のヒアルロン酸やエラスチンも減ってしまいハリが失われてしまいます。
ハリがなくなり、薄くなってしまった皮膚がよれた状態がシワなのです」(中村先生)
つまり、シワというのは皮膚の衰えによってできるものなんですね。
「その表皮、真皮が顔の表情筋の上にあると表情ジワになります。いわゆる目尻の笑いジワとかおでこや眉間のシワですね。
子どもがギャーッと笑っても、シワは残らずすぐに元に戻りますよね。しかし、年齢を重ねるとシワが寄った皮膚の戻りが悪くなって、だんだんと皮膚に癖が付いてシワになってしまうんです。
筋肉の上になければ小ジワやちりめんジワになります。骨が変形したり、脂肪が萎縮したりすることで頬や顎などのたるみジワができたりもします。
根本をたどれば表皮と真皮の劣化なのですが、そこからどうなっているのかで治療が変わります」(中村先生)
シワを改善するには
まずは表皮と真皮から
治療はヒアルロン酸やコラーゲンなどの成分を含んだ注射で補う方法と、レーザーによる方法などさまざま。現在、レーザー治療の中でも話題になっているのがHIFU(ハイフ)という施術なのだとか。
「どんなシワでも表皮と真皮の劣化が原因の1つになっています。まずはそこを治療するということで、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの成分を含んだ注射を打ったりします。
そして、HIFU(ハイフ)というものは、この表皮と真皮に対する治療として有効なものです。
機械で超音波を当て、そこで発生する熱で内側から皮膚を引き締める施術になるので、多少は痛みがあります。イメージとしては、一瞬パチッと熱くなる感じです。輪ゴムで弾かれる感覚とも似ていますね」(中村先生)
HIFUには医療用とエステ用がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
「比べものにならないくらい違いますね。
医療用のHIFUは、必要であれば表皮から6mmくらいまで超音波で加熱できます。また、必要に応じて温度も65〜75度くらいまで上げられます。
エステ用では、まずやけどをしてはいけないので、41〜42度くらいの温度での施術になります。超音波も1〜2mmくらいしか当たらず、真皮には届くものの十分な変化は期待できません。
医療用のもので施術した場合、皮膚の奥が軽いやけど状態になるので赤みが出たりすることはあります。頻度も3カ月〜半年に1回の施術で構いませんが、施術による変化が肌の状態が皮膚の老化に追いつかなくなったら別の治療を検討すべきでしょう」(中村先生)
HIFU以外のシワ改善
糸リフトや注射が有効!
「小ジワには細胞を修復する働きのあるプラセンタ注射をおこないます。
また、表情ジワの治療にはボトックス注射を用います。
ボトックス注射はボツリヌストキシンという毒素が主成分の注射です。毒素と聞くと不安に思うかもしれませんが、治療用に薄めてあるので安全性は確保されています。
副作用は赤みや腫れ、内出血などです。ボトックス注射では筋肉をまひさせるので、違和感を感じることもあります。
3〜5カ月に1度の注射が、理想的な状態を長くキープするために望ましいです」(中村先生)
糸リフトはどのようなシワへの治療法なのでしょうか?
「糸リフトはたるみジワへの治療法です。小さなとげがついた糸を髪の生え際付近から挿入して皮膚を引き上げます。
引き上げると皮膚が余ってしまうことがありますので、糸を入れる場所を調整し、頭や首のほうへ余った皮膚を流す必要があります。そういった見た目の整え方は医師の腕次第です。
糸リフトをした後は自分の中で少し違和感を感じるくらいで、相手が見てわかるくらい表情が変わるようなことはありません。ただ、糸の強さや種類によっては一時的に口が開きにくくなるなど、ちょっとした変化が出ることがあります。
40〜50代の方だと平均で場所はさまざまですが片方に4〜5本、左右合わせて10本くらい糸を入れる方が多いですね」(中村先生)
糸リフトの糸には溶けるものと溶けないものがありますよね。
「溶けない糸によるリフトアップは、長くても2年ほど状態が保たれます。溶ける糸の場合は1年前後ですが、持続期間が短い分、その時々の顔の状態に合わせて糸を入れ直すことが可能です。
もちろん、溶けない糸でも何度も糸を入れることはできますが、基本的に糸は取り出さないので顔の中に残ったままということになります。役割を終えた糸が何本もある中で、もし顔にけがをしてしまったら雑菌の温床になることだってあります。
じゃあ糸を取りましょう、となれば顔の皮膚を少し切って糸があるであろう場所を探って、探し出さなければなりません。
溶けない糸でも十分なリフトアップが期待できますが、長い目で見ると、私は溶ける糸のほうが適していると考えています」(中村先生)
まとめ
糸リフトやボトックス注射は1本から施術を受けることができるのだそう。シワが気になるという方は、美容医療の力を借りてシワ改善をしてみることを検討してはいかがでしょうか?
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
※妊娠中はホルモンバランスの影響で皮膚が敏感になり、肌トラブルが起こりやすい状態になっています。また、体の変化も激しい期間なので治療は控えましょう。
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監修/中村 光伸先生
光伸メディカルクリニック院長。医学博士。整形外科医の知見から骨の仕組み、体の動かし方を活かした骨のトレーニングを提唱する骨の専門医。骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき」を考案。若々しい体を取り戻す「リバースエイジング」の専門家としてメディアにも多数出演。著書に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』『ひざたたき 世界一かんたんな健康法』(アスコム)。