【スーパーのアジ】水産流通の卸売商社が教える「おすすめの選び方」
今回、「おいしいアジ"おすすめの選び方"」を教えてくれたのは、広島県福山市地方卸売市場内にある株式会社クラハシさん!
魚市場を運営する「市場事業」のほか、水産加工品・冷凍食品などを総合的に取り扱う「商事事業」の2つの柱に展開する、総合卸売商社です。
・「こういうアジはおいしい!」その特徴は?
・スーパーでよりおいしいアジを選ぶコツはなんですか?
・アジが旬の時期のおすすめの食べ方を教えてください
最高においしいアジを食べるためのチェックポイントをがっつり説明していただきました。
順番に解説していきます!
「こういうアジはおいしい!」という特徴を教えてください!
クラハシ担当者:スーパーに出回りやすい、日本近海で漁獲される生鮮のマアジについて解説しますね。
結論、旬の夏頃のマアジはハズレも少なく、おいしく召し上がれる個体が多いです。
マアジの旬(美味しい時期)は一般に夏頃とされていますが、本当に美味しいのは産卵期前のものです。
あくまでも目安ですが、産卵期は九州沿岸では1~11月と長く、西日本太平洋岸で1~5月、関東近海で5~7月、東北太平洋岸で7月頃などと、海域によりかなり異なりますが、夏頃のものは比較的外れが少ないとお考えいただければ良いでしょう。
マアジには「回遊型」と「瀬付き型」がいる
また、マアジには「回遊型」と「瀬付き型」がいるとされています。
■スマートな体形で黒みがかった背中の「回遊型」
画像提供:株式会社クラハシ
回遊型はその名の通り外洋を回遊し続けていますので、背中はやや黒みがかった色で、体形はスマートで、脂の乗りは期待出来ません。
遠洋で漁獲されることも多いため、お店に並ぶまで少し時間がかかることもあります。
■身質が柔らかめで脂ノリがよい「瀬付き型」
画像提供:株式会社クラハシ
一方で「瀬付き型」は、大きな回遊をせず餌場である岩礁などに居つくタイプです。回遊型と比べると丸っこく、身質も柔らかめで、脂が乗りやすい特徴があります。
体色が黄金色を呈することもあり、黄金アジなどとも呼ばれることがあります。
比較的、漁港近くに漁場があるため、鮮度の良い状態で物流できることがメリットです。
付加価値を高めるために丁寧に選別されることが多く、ブランド化も進んでおり、関あじ(大分県)、旬(とき)あじ(長崎県)、どんちっちアジ(島根県)、岬アジ(愛知県)などが有名です。
ブランドアジは少しお高いですが、出荷前に産地で基準のチェックがあるので、まずハズレはありませんので、どの個体を選んでもおいしく召し上がれるといえるでしょう。
ライター たすく:同じアジでも2種類いたとは、知りませんでした!旬が夏頃のマアジにはハズレが少ないというのは素敵ですね!
スーパーでよりおいしいアジを選ぶコツ
・眼に透明感があり、体全体にツヤがある
・体形が丸々しており、頭が小さく見える
・できるだけ近い産地のもの(輸送時間が短いもの)
・エラが鮮やかな紅色である(確認できれば)
・お刺身にするのであれば、出来るだけ活〆(頭周辺に切り込みして、血抜きされているもの)
・調理済みであれば、身に透明感があり血合いの色が出来るだけ鮮やかな紅色
避けた方がいい!残念アジ
・ドリップの色が茶色い(紅色のものは比較的鮮度が良いが、量が多いものは避けましょう)
・肛門から内臓が飛び出している
ライター たすく:おいしいお魚を選ぶコツはある程度共通しているチェックポイントがあるのですね!
「アジ」表記でも実は種類たくさん!
クラハシ担当者:ただ、マアジにそっくりな別のアジの種類も流通しているので、ちょっと注意が必要ですね。
・マルアジ:脂は少なく、あっさり味。刺身や揚げ物向きで安価。
・ムロアジ:南の海に多く、秋冬は脂が乗るが、鮮度落ちが早い。
・アカアジ:尾が赤く、冬は脂が乗るが、鮮度落ちが早い。
・モロ:漁獲は少なく、冬は脂が乗るが、主にクサヤ用。
・クサヤアジ:伊豆諸島で獲れ、主にクサヤ用。初夏は刺身にも。
・ニシマアジ:北大西洋産で脂が乗るが、冷凍時のにおいに注意が必要。
・ニュージーランドマアジ:ニュージーランド産で脂がなく、加熱で身が固くなる。
これらの種は特に干物などに加工された場合は、単に「アジ」として表記・流通することが許されていますので、気になる場合は産地などを確認いただくとよいでしょう。
最高においしく食べる♪スーパーのアジ「おすすめの食べ方」
アジの開きやアジフライの他に、おすすめの食べ方を教えてもらいましょう。
クラハシ担当者:アジは本当に様々な食べ方を楽しめるんですよね。200g以上のサイズで鮮度が良い物であれば、何をしてもおいしいです。
旬のアジは旨味が強いので、ムニエルやソテーといったバターなどでしっかり塩味を付ける料理よりは、シンプルな食べ方が良いでしょう。
小さなものは、エラと内臓を取り出し、南蛮漬けにすれば丸ごと食べることが出来ます。
「なめろう」も有名です。味噌の種類や量はお好みで調整していただければ、酒の肴はもちろん、ご飯のおかずとしても最適です。
少し鮮度が落ちたものであれば、包丁で叩いてすり身のようにして揚物やお吸い物の具にすると良いでしょう。この場合はショウガなどの薬味を加え、酒などで味付けすれば、生臭さはある程度取り除くことができます。
まだまだたくさん♪旬のアジの楽しみ方
ちょっと変わったところでは、煮魚やアクアパッツァもおすすめです。
人差し指より小さなものは、丸ごと唐揚げなどにしてもおいしいです。骨が気になる場合は、南蛮漬けなどにすると良いでしょう。
ゼンゴ(側線の尾に近い部分にある棘のような硬い鱗)が気になる場合は面倒でも取り除いてください。
また、内臓をつけたまま揚げ物にすると、腹部が破裂して油が跳ねやすくなりますので、調理の際には注意が必要です。
アジと相性の良い食材はありますか?
クラハシ担当者:調理方法によって下記の食材との相性もいいですよ。
※大根のけん=大根を千切りにしたもの。大根のつま。
色々とお好みで楽しんでみてください。
ライター たすく:「何をしてもおいしい」というのは素晴らしいですね♪アジ何匹あっても足りなさそうですよ!
卸売商社が直伝!「スーパーのアジ"おすすめの選び方"」試して♪
今回の記事では、魚市場を運営する水産流通の卸売商社「株式会社クラハシ」さんに「おいしいアジの特徴と"おすすめの選び方"」について解説してもらいました!
選び方はもちろん、アジの種類がこんなにたくさんあったことに驚きでした。ぜひスーパーでアジを選ぶ際の参考にしてみてくださいね!
※記事執筆時(2025年3月)の情報です。
※店舗や時期によって在庫状況は異なります。