これは左遷?異動辞令に彼女は…
営業職で働いている僕には、同じ会社の別の部署に、学生時代から約10年交際した恋人がいました。彼女とは同じ高校、大学に通い、大学生になった際に彼女が告白してくれ交際をスタート。同じ会社に入社し、それぞれ仕事を頑張っていました。同じ会社ということもあって、仕事の悩みを相談できる彼女の存在はとても心強かったです。
そして交際が10年になるころ、世間から見れば「待たせ過ぎ」と言われてしまうかもしれませんが、彼女に結婚について切り出そうと考えていました。
そんなとき、なんと僕に地方の支店への異動辞令が。彼女に結婚を告げようと思っていた矢先だったので、戸惑ってしまった僕。結婚は? 遠距離になってしまう? 彼女にどう伝えるか悩みながら、その日の仕事を終えようとしたとき、珍しく彼女が僕の部署に顔を出してきました。
普段、会社では業務内容的にさほど関わりがあるわけではなかったため、「僕を迎えにきてくれたのかな」とうれしく思っていたのですが……。
彼女の隣には、営業部の僕の後輩の姿が。後輩は、彼女の肩を堂々と抱き寄せています。どういうことかと状況が呑み込めない僕に、「地方に異動になったんだって? 左遷じゃんw じゃあ、これからはひとり、地方で頑張ってね」と言う彼女。
そして僕は衝撃の事実を知らされることとなったのです。なんと彼女と後輩は、付き合うことにした――と。意味がわかりませんでしたが、僕が異動になることを知った彼女は、後輩に乗り換えたようでした。そして、約10年続いた僕らの関係は、あっけなく終わってしまったのでした。
なぜか僕を気にかけてくれる女性
半年後。僕は地方の支店で働いていました。ひたすら仕事に没頭し、恋愛のことは頭から追い出すようにしていましたが……やはり、心のどこかでは引きずっていました。
そんな僕を、異動してきてからやたら気にかけてくれる人物が。それは、この支店で働くA子さん。この日は休みだったA子さんは、昼休みに会社にやってきて、「お昼ごはん、食べにいきましょ?」と声をかけてくれました。
……なぜ、僕のことをここまで気にかけてくれるのだろう。そう思いながら、会社近くのお店で昼食をテイクアウトし、公園でベンチに座り食事をすることに。
すると、突然、彼女からこう言われたのです。「私と、結婚して」と。
あまりにも急なことに僕は混乱しました。けれど、約10年交際した恋人をイケてる後輩に取られ、僕は地方へ異動。そんな僕を哀れみ、冗談を言って励ましてくれようとしたのでしょう。その気づかいだけでうれしかったです。そして、「気をつかわなくていいですよ。『結婚したい』なんて冗談で言ってはダメです」。そう伝えると、彼女は「冗談なんかで言ったりしない、本気で言ったの」と顔を赤らめて微笑みます。
そして彼女から「私、あなたのこと、全部知ってるから」「2人きりのときは、名前で呼んでね」と言われ、この日彼女は帰宅していきました。
彼女のことを思い出した
全部知っているとは、一体どういう意味だろうか……。その後も彼女からは積極的に声をかけられるなどのアピールが続き、気づけばA子さんのことばかり考えてしまっていた僕。
そして改めて彼女の名前を繰り返しているとき、とても重大なことを思い出しました。
彼女の名前は……僕が高校生のころに通っていた空手教室で出会った子と同じ名前。実はその子からは、過去に告白された経験がありました。そのときすでに元カノと交際しており、また年下であったことから断っていましたが、その際に「私は絶対にあきらめないから」と泣きながら言っていたことを思い出したのです。
それはやはり正解でした。大人になったことで見た目が変わり、またかなり昔のことだったのですっかり忘れていましたが、正真正銘、あのとき告白してくれた女性だったのです。
思い出したことを伝えると、彼女は涙を流して「フラれてもあきらめられなかった」と胸の内を明かしてくれました。僕への思いは初恋だったということも。同じ会社へはたまたま入社したようで、さまざまな支店を渡り仕事をしていたとのこと。彼女がちょうどいた支店に偶然、僕が異動となったようでした。
異動となった直後、憔悴していた僕を元気づけようと、食事に誘ってくれたり、声をかけてくれたりしていたと教えてくれました、
僕を思い続けていた彼女のことをまさか忘れていたなんて、とても失礼なことをしてしまったと感じましたが、彼女の真摯な思いに、僕は胸を打たれてしまいました。
再び告白してくれて…
そして、あとから知って衝撃だったことがあります。それは、A子さんが社長の娘だったということ。彼女はそのことを会社では隠し、武者修行としてさまざまな支店を回って仕事をしていたようでした。さらに、彼女は「周りからは“左遷”なんて言われていたようだけど、期待されてこの支店に選ばれたんだよ」と言ってくれたのです。
その後、なんと彼女からまた告白をされ……。僕は彼女の告白を受け入れることに。ずっと僕のことを思っていてくれ、落ち込んだときもそばで励ましてくれた。もう一度、恋を信じさせてくれた彼女に、感謝の気持ちでいっぱいです。僕たちは結婚も視野に入れ、交際を続けています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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