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なぜか僕にだけ冷たい上司の彼女。その裏に隠されていた「15年前の約束」とは?

直属の上司である彼女に、いつものように怒られた帰り道。僕は自分がなぜここまで彼女に厳しくされるのか、ずっと疑問に思っていました。だけど、ある出張で起こった出来事で、すべての理由が明らかになりました。まさか、彼女が“あのときのお姉さん”だったなんて。

僕だけにやけに厳しい上司

僕は24歳。商社で営業として働いています。そんな僕の上司はとても厳しい人です。ミスをすると容赦なく叱られ、その度合いは同僚たちから「お前にだけは特に厳しいよな」と言われてしまうほど。思えば、営業部に配属された日から、上司の女性からは当たりが強かったように思います。配属初日のことは今でも鮮明に覚えていて……。

 

「営業部に配属となりました。社会人としてはまだまだ未熟ですが、早く戦力になれるよう頑張ります!」

 

そんな挨拶のあと、「よろしくね」と前に出てきたのが彼女でした。すごい美人だ……と、思わず見惚れてしまい、僕は言葉に詰まってしまいました。

 

すると彼女は「……なにか、言うことない?」とひと言。ハッとして「あっ……これからどうぞ、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」と慌てて口にしましたが、彼女の目は冷たかったのを覚えています。そしてなんと、彼女が僕の教育係を務めることに。その日から、彼女によるスパルタ指導が始まりました。

 

でも、他の社員にはやさしい彼女。たとえば、同僚から「納期に間に合いそうにない」と相談を受けていた際は、「私が取引先に掛け合うから」と笑顔でフォローしていたのです。僕にだけやけに厳しいことに、正直モヤモヤしていました。

 

上司から思わぬひと言

ある日、体調を崩した同僚の代わりに、急きょ上司の出張に同行することになりました。新幹線の中で分厚い資料を渡され、「全部読み込んで。どんな質問にも答えられるようにして」と言われたときは、正直絶望しました。

 

けれど、商談の場では彼女が中心となって進めてくれて、僕もなんとか補佐することができました。無事に終わったあと、飲み屋で乾杯したビールの味は格別でした。

 

「頑張ってたね。ちゃんと質問にも答えられていたし」

 

なんと初めて彼女が僕を褒めてくれたのです。その言葉がうれしくて、「ほんとですか!?」と思わず聞き返してしまいました。すると彼女は「でもやっぱり最悪」とひと言。

 

「え……どうしてですか!?」と答える僕に対して、「だって、あなた……ちっとも私のこと、思い出してくれないんだもん」

 

彼女のそのひと言で、僕は頭が真っ白になりました。何がなんだかわからず戸惑っていた中で、ふと彼女の顔を見ると、僕が小学生のころの思い出がフラッシュバックして……。

 

忘れていた“約束”の記憶

あれは僕が小学生のころ。中学生くらいの女の子が公園で泣いているのを見かけました。「お姉さん、大丈夫?」と声をかけると、「うっ、うぅっ……ありがとう」と泣きながら彼女は答えました。

 

そして「ねぇ、私の話聞いてくれる?」という問いかけに、僕が小さくうなずくと、彼女は自分の左腕を見せてくれました。そこには花のような形の痣があったのです。

 

「クラスの子にね、この痣を気持ち悪いって言われたの……」

 

正直、僕はなぜそんなことを言われるのかが理解できませんでした。だってその痣は、まるで花の模様みたいで、僕にはとてもきれいに見えたからです。

 

「え?なんで?花みたいな形できれいなのに」「そんなイヤなこと言うやつのことなんて、気にしなくていいよ!」と、僕なりに素直な気持ちを伝えると、彼女の目からはまた涙が。すると……。

 

「君、やさしいね。君となら結婚してもいいかな」

 

あまりにも突然の言葉に、僕は思わず「え、結婚!?」と声を上げてしまいました。心臓がドキドキして、顔が熱くなったのを今でも思い出します。彼女がふざけて言ったのかどうかはわからないですが、僕としてはうれしい気持ちでもありました。

 

そして、「うん。いいよ!お姉さん、僕もうれしい!」そう答えると、彼女は僕の小指に自分の小指を絡めてニコっと笑い、「それじゃ約束ね」と言ったのです。

 

……そう、そのときの女の子こそ、今僕の目の前にいる上司だったのです。小学生のときの出来事ということで自分の記憶の奥底に眠ってしまっていました。

 

15年越しの想い

「あのころよりきれいになっていて……気づきませんでした」

 

そう伝えると、彼女は急に謝ってきました。

 

「あなたにキツく当たってたのは、寂しさと悔しさがあったからなの。やさしくしたいのに、目が合うたびに“どうして覚えていないの”という気持ちが、ぐるぐると渦を巻いてしまって……」

 

そしてビールを口にした彼女から「もう、思い出してくれた?あの約束も?」と言われ、突然頬にキスをされたのです。

 

その後、宿泊先のビジネスホテルの部屋に戻っても、僕の胸の高鳴りは収まりませんでした。あのときはお互い子どもでした。そんな中での「結婚の約束」を彼女はずっと覚えていて、真剣に信じていたなんて……。

 

「……かわいすぎるだろ」

 

気づけば、そんな言葉が自然と口からこぼれていました。

 

気づけば彼女のことばかり考えていて

翌朝、ホテルのロビーで顔を合わせた際、僕たちの間にはとても気まずい空気が……。それは、帰宅のための新幹線の中でも変わらずでした。そんな空気に耐え切れず、僕が何か話そうと考えていると、彼女の方が「昨日……」と口を開きました。

 

やばい、昨日のことを話すつもりだ。とドキッとしてしまった僕は、慌てて「お、お茶買ってきますね!」と席を立ってしまいました。そして新幹線のトイレの前でひとり、深呼吸しながら心の中では「あぁぁあああ!!ダメだ……普通にできないっ」と叫んでいました。

 

結局、終点まで沈黙が続き……駅で会話がないまま別れようとした際です。彼女が小さな声で「ごめんなさい」と言ったのです。

 

それから彼女の態度は少し変わりました。前みたいに厳しい口調では接してこないのです。同僚からは「課長、最近お前にやさしいな」「良かったな」と言われましたが、僕の中では少し寂しくも感じ、複雑な気持ちになってしまいました。

 

そしてこのとき以降、彼女が他の男性社員と外出するのを見て、「いいなぁ……僕も彼女と一緒に行きたい」とつい独り言を口にしてしまったり、仕事について「何かお手伝いできることはありませんか?」と声をかけても「大丈夫。お疲れ様」と言われ寂しいと感じてしまったり……。自然と彼女のことばかり考えてしまうように。「あのときの約束通り、結婚してほしい」と言ったら、彼女はどう返事をしてくれるのか……そんなことを考えてしまうことも増えました。

 

気づけば、彼女への気持ちを抑えられないようになっていたのです。

 

15年越しの約束を果たすとき

そしてある日の仕事終わり、思い切って彼女を食事に誘いました。居酒屋の個室に2人きり。緊張しながら僕は切り出しました。

 

「約束、覚えていますよね?」

 

彼女は「え、約束って……」と戸惑った顔に。

 

「15年前の約束です」と、僕はまっすぐ彼女の目を見て伝えました。すると彼女は少し笑って、「覚えてないのは、あなたのほうでしょ?」と返すので僕は言いました。

 

「覚えていますよ……だから、その約束を守ってほしいんです。僕と、結婚してください」

 

僕の言葉に彼女は驚いた表情を見せ……「……酔ってるの?」と言うので、「酔ってません。本気で言ってます」と返しました。

 

「あなたが惚れさせたんですよ。責任、取ってください」

 

その言葉に、彼女は目を潤ませながら、小さくつぶやきました。

 

「責任……とっちゃっていいの? 約束、果たしてもいいの?」

 

僕は力強く頷いて、「もちろん、いいですよ」とやさしく答えました。すると彼女は、ぽつりと心の奥を明かすように「私……嫌われたんだと思ってた。でも、やっぱり諦められなかった」と言ったのです。

 

「僕も……あなたのことが大好きです」

 

気づけば、僕たちは自然と顔を近づけ、そっと唇を重ねていました。

 

そのとき、タイミングを見計らったように「ご注文お決まりですかー?」と店員さんが。僕たちは慌てて体を離し、照れ笑いを浮かべながら、メニューを手に取ったのでした。

 

交際スタート。そして今

あれから、僕たちは交際を始めました。会社では相変わらず冷静な彼女ですが、プライベートでは全然違う表情を見せてくれます。待ち合わせ場所に着いた僕が彼女を見て「かわいいね」と言うと、「え、ほんとに……?」と照れくさそうに笑う彼女。

 

苦手だと思っていた上司が、こんなふうに僕のことを想ってくれていたなんて。今は、そんな彼女とラブラブな関係で、毎日が幸せで仕方ありません。

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

 

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