誰もいないテーブルにおやつを置き…
長女が会話らしい会話をできるようになったのは、3歳手前のころです。それまで、単語と周りがわからない言葉をつなげて話していることはありましたが、何を言っているのかはっきりとは聞き取れない状態でした。
そんな長女が3歳になりたくさん話せるようになったため、私はうれしくて仕方ありませんでした。しかし、会話しているとなぜか不思議なことを言い始めるのです。わが家は夫と5歳の長男、3歳の長女、1歳の次女の5人家族。ところが、「家族みんなで6人」「おじさんもごはん食べたいかも」と言います……。最初は聞き違いかと思いましたが、明らかに家族にはいない“おじさん”を意識した発言が多いことに気づきました。
ある日、長女が椅子に座っておやつを食べている際に「おじさんもいる?」と隣を見ながらニコニコしています。隣にはもちろん誰もいません。背筋が凍るような思いで見ていると、長女はおやつを半分にしてあたかも誰かいるかのようにテーブルに置いたのでした。思い返してみると、それまでにも家族全員分のコップを持ってくるようにお願いした際も、長女は常に6人分持ってきていました。そして私がお皿を5枚用意した際は、はっきりと話せないながらも足りない! と怒っていたのです。私はそのことを思い出してゾッとしました。この家に私の知らない誰かがいる……? でもすぐ近くに本当に誰かがいるなら、怖くて長女に聞けない……。それからというもの、私は“おじさん”には触れないように娘の話を逸らすことに専念。不思議な発言や行動は半年ほど続きましたが、3歳半になるころには自然としなくなりました。
子どものころは、大人が見えない何かが見えると聞きますが、肝を冷やした数カ月間でした。おじさんの話をしなくなった現在、覚えているのか長女に確認をしたいと思うこともありますが、怖くて聞けないまま。しかし、何の災いもないことを考えると、悪い“おじさん”ではなかったのかもしれません。それどころか、もしかすると長女にとっては大切な家族の一員だったのかも。長女のことを守ってくれていたのだと思うことにしました。
著者:今野麻紀/30代・ライター。夫と6歳長男・4歳長女・2歳次女の5人家族。看護師からライターに転職し、楽しく働いている。デスクワークにより運動不足が加速中。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年2月)
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