定職にもつかず、仕事に意欲がない夫。しかし、購買意欲は高いのです。毎月、相当額のクレジットカードの利用明細が届きます。
今までも何度もお金の使い方について、注意してきましたが、夫の散財グセはなおりませんでした。しかし、子どもができた今は、これからお金がかかる将来のためにどうにかしてもらわないといけないのですが、惚れた弱みに付け込まれ、夫は信じられないほどのワガママを……。
妊娠して母性が覚醒、魔法が解けた私
私の妊娠がわかると、夫は予想以上に冷たい態度を見せました。
「産みたいなら産んでもいいけど、俺、父親はやらないから!」
「家事も育児もごめんだからな? 俺はパスで! 1抜け〜」
夫からのこの言葉で、私の中で何かがはじけたのです。
「大丈夫。魔法は解けたから」
もう他人になろう。私は離婚を決意しました。
「は?? 魔法?」
夫は冗談だと思ったようですが、私の決意は揺るぎません。片思いを成就させ、やっとかなえた大好きな人との結婚。それをあっさり捨てるのかと、夫は私に尋ねてきましたが……。
離婚を決意した今の私は、後悔の気持ちでいっぱいです。ようやく、自分が間違っていたことに気づきました。夫のどこがそんなに好きだったのか、恋の魔法にかかっていた今までの自分が恥ずかしいとさえ思ってしまいます。片思いをして、追いかけて、好きになってもらいたいと願っていたことは、もはや黒歴史です。
夫は、私が妊娠してホルモンバランスを崩し、めちゃくちゃなことを言っていると思っている様子。いつもの私だったら、こんなことを言うはずがないと言います。
確かに、母親となった今の私は、子どもを守りたいという本能で動いているのかもしれません。ろくに働かず散財ばかりして、育児をしない宣言までする父親がいたら、子どもは不幸になってしまう……。
離婚しなければならないという思いに駆られた私。迷っている暇も、ためらう気持ちもまったくありませんでした。
盲目の恋から冷め、守るべきもの
完全に魔法から解けた私は、自分でも気持ちの変化に驚くほど、以前とはもう別人です。今までは夫に冷遇されても、腹が立つどころか、好きな人に嫌われたくないという思いから、夫の機嫌をうかがい夫のために生きてきた私。定職につかず寄生されていても、私が働いて支えればいいと思っていたのです。
「私が頑張れば、2人で幸せになれる」と考えていましたが、今は、何であんなに夫のことが好きだったのか、まったくわかりません。妊娠して、私たち2人の将来ではなく、子どもの将来のことを考えるようになったことで、ようやく夫が不要だと気付いたのです。
守るべきものができると、人は強くなるとよく言いますが、本当にその通り。夫に離婚を考え直すつもりがないことを伝えて、私は家を出ました。
2人の口座(実質、私しかお金を入れていなかった口座)から、マンションの家賃も光熱費も、夫が好き勝手に使っていたクレジットカードの請求も引き落とされています。私が出て行くということは、2人の口座にお金を入れる人がいなくなるということ。夫には、これらすべてを支払える収入がありません。
夫は「見捨てないでくれ! 出て行くな!」と泣きついてきましたが、私にはもう夫への愛情は1ミリも残っていませんでした。
さらに、これから夫には、毎月養育費を支払ってもらう予定です。子どもの将来のために、きっちり支払ってもらうつもりです。夫にお金があるかどうかに関わらず、養育費の支払い義務はあります。
ろくでなしヒモ夫の末路
「自分の生活費もままならないのに、養育費なんて支払えるわけがない……」と夫が納得しないため、私は弁護士に依頼し、弁護士を通して夫と話し合うことに。その結果、離婚が成立し、養育費ももらえることになりました。
その後、夫は真面目に働かざるを得なくなり、養育費の支払いのため働きづめの毎日を送っているようです。事情を知ったご両親からも見捨てられてしまったようで、自分の力でなんとか生活しているのだとか……。
一方私は、実家に戻り無事に娘を出産。今は両親の手を借りながら幸せに暮らしています。育休が明けたら今まで以上に、仕事に励んで娘と2人で暮らせるようお金を貯めたいと思っています。
◇ ◇ ◇
守るべきものができると、本当に人は強くなるのですね。「母は強し」ともよく言いますが、妊娠がわかったときの迅速な判断は、きっとこの先の母娘の幸せにつながることでしょう。大変なことも多いかと思いますが、苦労も楽しみながら、たくましく、大切な娘さんとご両親と、幸せな生活を送っていけるといいですね。
【取材時期:2025年5月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。