父の急逝と義母の暴走
ある日、隣県に住む母から電話がありました。母の口から出た言葉は「父が事故で……」と父の死を知らせるものでした。
動揺する私を横に、夫も義母も父の葬儀に参列するどころか慰めの言葉すらなし。しかも、葬儀の最中にマナーモードの私のスマホを鳴らし続けるのは義母からの着信でした。葬儀を終え電話をかけ直すと「遺産はいくらだった? 嫁の財産は私たち家族のものですからね!」と信じられない言葉が飛び出しました。義母は悲しみに寄り添うどころか、最初に口にしたのが遺産の話……。それが義実家の本性でした。スピーカーにして会話をしていたのですが、なんと義母の電話から夫の声で「そうだそうだ! 多額の遺産は俺と母さんで使い道を考えてやろう!」と言う声が聞こえてきたのです。
夫の裏切りにあ然とした私は、隣にいる母と顔を見合わせ「わかりました」と答えました。すると義母は「遺産の使い道は私たちが考えてあげるってことでよろしく♪」と言い電話を切るのでした。義実家の発言に激怒した母は、義母と夫が何かやらかすと思いこっそり探偵を雇い調査を開始。するとすぐに「高級車や高額な家具など大きな買い物とかをし始めている様子が始まりました!」と探偵から封筒を渡されました。その中には、義母が業者と密かに会話する写真が含まれていて、その冷酷さに戦慄が走りました……。
義母&夫の罠と母の逆襲
私が自宅へ戻ったのは、父の葬儀が終わって1カ月が経ったころでした。義実家の裏切りに心の整理もつかないまま、自宅の玄関を開けると夫が腕を組んで不満げに待ち構えていました。
義母は、ようやく遺産を手に入れられると思ったのでしょう。「遅かったわね」とにっこり笑いながら迎え、私は怒りと悲しみを胸に深呼吸しました。 義母は早速、新調した家具の写真を広げ「ほら、遺産がたっぷり入るからリフォームしたの」と得意げに説明。夫も「せっかくだし新車も買ったぞ」と声をはずませていました。 私は言葉を飲み込みつつ、「お義母さん、遺産を前提に散財するなんて……」と静かに抗議しました。
しかし義母は「悲しんでばかりもいられないでしょ♪」と取り合わず、夫も「母さんの言う通りにすれば間違いない」と義母の肩を持つのです。その瞬間、私は覚悟を決めました。私は「妻をやめさせていただきます!」 と言い夫にサイン済みの離婚届を渡しました。
離婚宣言と新たな一歩
意表を突くひと言にあ然とする夫と義母。私は夫に向かって「あなたは私の父の葬儀にすら来ないし、遺産の話ばかり! だから離婚するのよ」と言い放ちました。私の毅然とし態度に慌てる夫。そして私は最後に「最後に遺産の行方だけ教えてあげる! 私は父の遺産を一銭も受け取っていないの。すべての遺産を相続したのは母なの」と教えてあげました。
遺産が自分たちのものになったと思い込んでいた義母と夫は顔面蒼白!「リフォーム代はどうなるのよ!?」「新車はどうするんだよ……」と慌てふためくふたり。呆れた私は「これから多額の借金を背負うことになるんですよ? 息子は私が育てるので借金返済頑張ってください」とひと言。観念したのか、夫は離婚届に判を押し、無事離婚が成立! その瞬間、夫の顔色が真っ青になるのを見て、私は少しだけ心が晴れました。
その後、私は息子を連れ実家へ戻りました。3人で助け合いながら、幸せに暮らしています。
◇ ◇ ◇
裏切りに直面したときこそ、言葉ではなく具体的な行動がものを言います。自らの尊厳と大切な家族を守るために一歩を踏み出し、闘い続けたその姿勢が、新たな人生の扉を開く鍵となるのです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。