でも、その選択が正しかったのかどうか――答えはすぐにわかりました。
結婚したとたん、豹変する夫
「俺の稼ぎでラクな生活できてんだから、ごちゃごちゃ言わずに家のこと、やってろよ! まともに家事もできない奴は用なしなんだよ!」
日々飛んでくる、そんな言葉たち。
私が「少しだけパートに出ようかな」と言えば、「なんだよそれ! 俺の稼ぎが足りないって言いたいのか!?」と声を荒らげます。まるで、私の気持ちなんて最初から存在していないかのようでした。
夫は妻を抑えつけたいだけ?
夫は、私の料理にも掃除にも、何かとケチをつけてきました。
「専業主婦なのに、ひとつもまともにできないの? そんなんじゃ、俺から離婚されても文句言えないからな」
そして会社では、「うちの嫁は俺にベタ惚れだから、離婚届出したら泣くだろうな~」なんて笑っているという話を耳にしました。
私を支配することで“愛されている”と勘違いしていたのでしょう。けれど、私はもう限界でした。
離婚届を持ってきた夫に、妻は
ある日、いつものように夫が夕食に文句をつけてきたので、私は静かに「口に合わないなら食べなくていいから」と反論しました。
すると夫は突然、記入済みの離婚届を出してきて、「嫌だったらすぐに離婚するけど?」と言って来たのです!
夫は脅しているつもりかもしれませんが、私は、思わず「やったー!!」と声に出しました。夫は目を見開き、しばらく呆然としていました。
夫の本当の気持ち
「仕事を辞めて働きに出るな、一日中家事をしてろって言うし。料理も掃除も毎日文句を言われて……私の気持ち、考えたことある?」
「毎日あなたにばかにされ続けて、ずっと離婚したいと思ってたんだよね」
そう伝えると、夫は動揺しながら、「……ごめん、そこまで追い詰めてしまっていたんだな」と謝りました。本当に離婚したいと思っていたわけではない様子。
「俺、男は女を養ってこそ一人前だって思い込んでた。お前を支配していれば、ずっと一緒にいられるって……ばかだったよ。悪いところは直すから、離婚は考え直してくれ」
私は黙って話を聞きながら、小さくうなずきました。
「なにかあったら、私はすぐにこの離婚届を出すから」
夫は深くうなずきました。
「わかった。信頼される人間になるから。少しずつでも、また信じてもらえるように努力する」
新しい関係のはじまり
それからの夫は、変わりました。家事にも口を出さなくなり、「ありがとう」「助かるよ」と言ってくれるようになりました。休日は一緒に掃除をしたり、買い物に行くなど家のことを一緒にやってくれるように。
私も少しずつ、心の壁をほどいていきました。その数カ月後、妊娠が判明し、今は家族が増えるのを夫婦でとても楽しみにしています。
一度壊れかけた夫婦関係ですが、今は信頼関係を取り戻せてきたと感じています。お互いを支配・依存するのではなく、尊重し合える家族になれるといいなと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。