「底辺会社、辞めまーすw」新人からの突然の宣言
その新人は、入社初日から僕を見下したような態度をとっていました。指示を出しても「それ、タイパ悪くないっすか?」と鼻で笑い、スマホをいじってばかり。
ある日の昼休み、彼がニヤニヤしながら僕のデスクにやってきました。
「リーダー、これ見てくださいよ」
彼が突き出してきたスマホの画面には、ネット銀行の入金通知が表示されていました。
「副業で100万稼いじゃいましたw この会社、給料安すぎません?こんな底辺会社に居続けるの、時間の無駄なんで。はい、これ、辞表っす」
彼は同僚や先輩たちが見守る中、見せつけるように辞表を叩きつけました。
「副業でサクッと100万稼いだ」と豪語する彼に、周囲は呆然。
僕は「わかった。引き止めはしないよ」とだけ伝え、受理しました。
彼は「じゃ、お疲れっしたー!」と、意気揚々とオフィスを去っていきました。
鳴り止まない「100件の着信」
彼が辞めてから一週間ほど経った頃です。仕事中に僕のスマホが激しく震え始めました。画面を見ると、なんと辞めたはずの新人からの着信です。
会議中だったので無視していましたが、その後も5分おきにスマホが光ります。通知欄を確認すると、着信履歴はあっという間に「100件」を超えていました。
隣にいた同僚も「え、新人君から? 辞めたのになんで?」と驚いた様子。あまりの執念に、何か事件でもあったのかと、休憩時間に折り返してみることにしました。
電話に出るなり、聞こえてきたのは彼の悲鳴のような声でした。
「リーダー!助けてください!100万円、全部なくなっちゃったんです!それどころか、もっとヤバいことになって……!」
副業の正体と、自業自得の結末
必死に泣きつく彼の話を整理すると、驚きの事実が判明しました。
彼が「副業」だと言っていたのは、SNSで見つけた怪しい投資案件。一時的に画面上の数字が増えたのを「稼いだ」と勘違いし、有頂天になって辞表を出したそうです。
しかし、いざ出金しようとしたらサイトが閉鎖。「元本保証」と言われて注ぎ込んだ貯金もすべて消え、さらに「紹介料」欲しさに手を出した別の案件で、多額の違約金を請求されているというのです。
「会社に戻らせてください! 100万どころか、今月の飯代もないんです!」
地面に這いつくばるような声で懇願されましたが、僕は冷静に答えました。
「君、自分の意思で『底辺会社』って言って辞めたんだよね? 会社はもう、君の欠員を補充するために新しい人を採用する動向だよ」
自業自得とはまさにこのこと。彼はその後も何度も電話をしてきましたが、僕は静かに着信拒否の設定をしました。
後日、彼がSNSで「騙された」と騒いでいるのを見かけましたが、周囲からは「あれだけイキってたのに」と冷ややかな目で見られていました。僕は今、新しい真面目な部下とともに、落ち着いた環境で仕事に励んでいます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。