でも現実は、想像とは少し違っていました。
共働きなのに「家事も育児もしない」夫
夫は、家事も育児もまったくやってくれません。
「家事も育児も、女の仕事だろ? 俺は関係ねぇ!」と当然のように言い放ちます。
私も仕事をしているので手いっぱいになることもあります。「家のことは、少しくらいやってよ」と言うと、「うるせーな! 俺は仕事で疲れてんだよ! 家にいる時くらい休ませろ」と、怒鳴ることも。
夫が怒鳴ると息子が怖がってしまうので、私は次第に夫に反論できなくなりました。夫は家でだらだらと過ごし、「掃除が行き届いていない」「おかずが少ない、さぼるな」などと文句をつけてきます。
それでも私は、家族のためと思いながら、ぐっとこらえていたのです。
病気は自己責任!?
ある日、息子が風邪をひき、私もその風邪をもらってしまい高熱が出てしまいました。フラフラになりながら夫に伝えると、返ってきたのは冷たい一言。
「子どもから風邪をもらうとか、体調管理できてない証拠じゃん!」
「結果は全部『自己責任』なんだよ。俺に移すなよ」
そう言って、夫は逃げるように自室にこもってしまいました。
ぐったりする息子と高熱の私に、心配する言葉ひとつありません。このとき私は「もう、我慢しない」と心に決めました。
「自己責任」って言ったよね?
数週間後、夫が青ざめた顔で帰ってきました。
「俺、リストラ対象になったかもしれない……」
私は静かに言いました。
「結果はすべて自己責任、なんでしょ?」
「妻と息子が病気で倒れたとき、助けてくれなかったね。共働きなのに育児も家事もしない、思いやりのかけらもない夫なんて、家族でいる必要ないよね」
私がこれまでの不満を夫にすべて伝え、息子を連れて実家に帰ることを告げました。荷造りを始めると、夫は慌てて「お願い、話を聞いて。俺、本当にばかだった。謝りたい」と言い、ぽつぽつと話し始めました。
「仕事がうまくいかなくて、ずっと会社のことで頭がいっぱいで……。お前に当たることで、なんとか自分を保ってたんだ。でも、それは間違ってた。俺は、支えてもらうばかりで、何も返せてなかった。今は変わりたいと心から思ってる」
夫の本心を知った妻の決断は
夫が涙を流すところを初めて見ました。私は荷造りする手を止め、夫に伝えました。
「正直、すぐには信じられない。でも、変わろうとしているなら、出て行くのは一旦やめる。でも、次はないよ」
それから夫は、少しずつ変わっていきました。
息子のおむつ替えをしたり、一緒に遊んだり、寝る前に読み聞かせをしてくれるようになりました。食事のあとには食器を洗うなど、家事も積極的にしてくれるように。結局、夫はリストラされることなく、毎日忙しく仕事へ行き、帰ってきたら疲れていても私の話に耳を傾けてくれるようになりました。
夫婦だからといって、自分の都合で相手に八つ当たりしていいわけがありません。これからはきちんと思いを伝え合いながら、寄り添いながら生きていこうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。