母の急逝と夫の背中
ある日、私の兄から「母が亡くなった」という突然の電話があり、夫と一緒に急いで実家に戻りました。私の父は、私が結婚してすぐに事故で亡くなり、そして義両親もすでに他界しています。なので、母は私と夫にとって親と呼べる最後の人でもありました。
実家に到着し、私が戸惑っていると夫は「俺はいいから! お義母さんに会っておいで」と言い母の顔も見ずに、スマホばかりを気にしてその場から離れて行ったのです。
そのひと言を聞いた瞬間、私は言葉を失いました。親戚が涙をこぼす中、1人スマホを手放さない夫に、怒りと悲しみに押しつぶされそうに……。「大事なときに寄り添ってくれないなんて……この先、一緒にいる意味はあるのかな?」と自問するのでした。
葬儀当日に夫が失踪!?
その後、夫は母の顔を見ることもなく「やることがないから、先に家に帰るね」と言い残し帰宅したのです。夫の対応にショックを受けつつ、私は葬儀の日まで母のそばにいたいと思い、夫とは離れ実家に泊まっていました。
母の葬儀の日。あと1時間で葬儀が始まるという時間になったのですが、夫の姿はありません。すると、夫から着信があり慌てて電話に出ると「今ね、同僚と温泉でリフレッシュ中! 葬式のあの雰囲気苦手なんだよ!」と信じられない発言が! 続けて「そんなに落ち込むなって! 写真を送るから元気出してよ!」と言うのです。電話の向こうでは楽しそうには同僚の声が……。その直後、一方的に電話を切られてしまったのです。夫の同僚とは家族ぐるみのお付き合いをしていたので、夫と同僚のひどい裏切りに胸が苦しくなりました。
その直後、私は夫から送られてきた写真を見て、怒りが頂点に達しました。母の葬儀当日に、温泉だなんて……。それは私と母への裏切り以外の何物でもありません。葬儀が進む中、「母の最期の時間を何だと思っているの?」と怒りと悲しみが込み上げ、この思いは私の中である決意へと変わったのです。
探偵が暴いた不倫の証拠
実は、母が亡くなる前に私は「夫がスマホばかりで私の話を聞いてくれなくて……。離婚を考えてるの」と相談していたのです。夫の行動が怪しいと感じた母は探偵事務所に連絡し、証拠集めを依頼してくれていたのです。
葬儀が終わり数日後、母が生前に手配してくれていた“最後のプレゼント”とも言える完璧な証拠が私の手元に届いたのです。そこには温泉宿ではしゃぐ夫と同僚、そして2人の女性の写真が。なんと同僚も不倫をしていたことが判明! 母が愛情を込めて仕掛けてくれたこの罠は、私を裏切りから守り、真実を明らかにするための揺るぎない武器となったのです。
自宅に戻った私は、同僚の奥さんと一緒に不倫の証拠と離婚届を夫の前に突きつけました。逃げ場のない夫と同僚は震える手で離婚届にサインをするのでした。
離婚成立後、新たな人生を手にした私は、母の遺影を見ながら「ありがとう、お母さん」と母の偉大さを感じる日々を送っています。
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大切な人が悲しみにくれているときに寄り添わず裏切るなんて、言語道断です。裏切りは必ずバレます。誠実な行動こそが、未来を輝かせる鍵となります。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。