「名前は私に決めさせて!」
出産を控えていたある日、義母とカフェでランチをしていた私。突然、義母が信じられない提案をしてきます。
「ベビちゃんの名前は私に決めさせて! これは決定ね!」
一瞬あぜんとした私でしたが、名前は夫とすでに決めています。「この子は私たちの初めての子どもなので、名前は夫婦で決めたいと思います」とキッパリ断りました。
シュンとしている義母を見ると申し訳ない気持ちになるものの、これだけは譲れません。
その日の夜、私は夫に義母の申し出について相談しました。
夫は「母さんがもう一度ゴリ押ししてきたら、俺が断るから安心して!」と、私の味方。ひと安心したものの、夫は母親を前にすると意見をころっと変えてしまう、いわゆる八方美人……。出生届を出すまで油断できません。
勝手に名前を決めてきた夫と義母
それから数日後、私は無事に女の子を出産! ホッとした私は、疲れて眠ってしまいました。目を覚ますと、そこには夫と義母が座っています。
わが子に会えた感動で目が潤んでいる夫を見て、私は再び感動の気持ちが蘇ってきました。
すると急に「そうだ、名前決まったよ!」と言い出す夫。名前ならだいぶ前から夫婦で相談して『A美』と決めていたはず。それを義母に発表するのかと思いきや、夫が手に持っていた命名書には見知らぬ名前が書かれていました。
「名前は……『B子』だよ!!」
「ステキな名前でしょ? 私と息子から1文字ずつとったのよ」と義母。
「え……どういうこと……?」
あまりにひどい展開に、私は出産の疲れも感動も一瞬にして吹き飛んでしまったのです。
出過ぎた申し出は断固拒否
しかし私も負けてはいられません。
「私たちはずっと、この子をA美って呼んでたじゃない! 名前、決めてたよね?」
オドオドする夫。私の嫌な予感は的中していました。
孫をかわいがってくれるのはうれしいけれど、私への相談なしに名前を勝手につけられる筋合いはありません。
「この子は夫と私の子で、お義母さんの子ではありません!」と強気な姿勢を崩しませんでした。
「もし、どうしても譲らないと言うのなら、私にも覚悟があるわ。離婚ね!」
そう伝えて、腹をくくった私。
ここまで優柔不断な夫と図々しい義母とはやっていく自信がありません。
義母も夫も教育あるのみ
私の覚悟を感じたのか、
「孫に会えないなんて絶対にイヤ!!」
「俺が浅はかだった……ごめんなさい」
と折れた2人は、必死で謝ってきます。
何度も頭を下げる夫と義母を見て少し悩むも、決定的な嫌がらせを受けたわけでもないし、夫はこれから教育できるかなと考え直した私。
義母には今後一切、夫婦のことに口出ししないことを約束してもらいました。夫のことは、これからみっちりと鍛えていく予定です。
義母と夫の名前を一字ずつとった名前を提案されたときは度肝を抜かれたけれど、結果的に言いたいことを言い合える関係になれたので結果オーライ♪ これから力を合わせて娘を育てていこうと思うのでした。
孫のかわいさゆえ、暴走してしまった義母。勝手に名前をつけるのは許し難いことですが、向き合ったことで、これまでより良い関係性を築くことができました。時と場合によっては、本音でぶつかりあうことも大切ですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。