パニ子は出産を控えた主婦。おなかの子どもは女の子とわかっていて、名前ももう決めています♪ 義母・クニ子との関係も良好で、大きなおなかのパニ子を労ってたくさんサポートしてくれます。嫁姑の争いなんて無縁と思っていたのですが……。
「名前は私に決めさせて!」
ある日、クニ子とカフェでランチをしていたパニ子。突然クニ子が信じられない提案をしてきます。
「べビちゃんの名前は私に決めさせて! これは決定ね!」
一瞬唖然としたパニ子でしたが、名前は夫のサクヤとすでに決めています。「この子は私たちの初めての子どもなので、名前はサクヤさんと決めます」とキッパリ断りました。
シュンとしているクニ子を見ると申し訳ない気持ちになるものの、これだけは譲れません。
その日の夜、パニ子はサクヤにクニ子の申し出について相談しました。
サクヤは「母さんがもう一度ゴリ押ししてきたら、俺が断るから安心して!」と、パニ子の味方。ひと安心したものの、サクヤは母親を前にすると意見をころっと変えてしまう、いわゆる八方美人……。出生届を出すまで油断できません。
勝手に名前を決めてきた夫と義母
それから数日後、パニ子は無事に女の子を出産! ホッとしたパニ子は、疲れて眠ってしまいました。目を覚ますと、そこにはサクヤとクニ子が座っています。
わが子に会えた感動で目が潤んでいるサクヤを見て、パニ子は再び感動の気持ちが蘇ってきました。
「そうだ、パニ子。名前決まったよ!」とサクヤ。名前ならだいぶ前から夫婦で相談して『パニ美』と決めていたはず。それを義母に発表するのかと思いきや、サクヤが手に持っていた命名書には見知らぬ名前が書かれていました。
「名前は……『クク』だよ!!」
「ステキな名前でしょ? 私と息子から1文字ずつとったのよ」とクニ子。
どうやらサクヤの『ク』とクニ子の『ク』が由来になっているよう。
あまりにひどい展開に、出産の疲れも感動も一瞬にして吹き飛んでしまったのです。
出過ぎた申し出は断固拒否
しかしパニ子も負けてはいられません。「サクヤ! 私たちはずっと、この子をパニ美って呼んでたじゃない! 名前、決めてたよね?」
オドオドするサクヤ。パニ子の嫌な予感は的中していました。
パニ美をかわいがってくれるのは嬉しいけれど、パニ子への相談なしに名前を勝手につけられる筋合いはありません。「この子はサクヤと私の子で、お義母さんの子ではありません!」と強気な姿勢を崩しませんでした。
「もし、どうしても譲らないと言うのなら、私にも覚悟があるわ。離婚ね!」そう腹を括ったパニ子。
ここまで優柔不断な夫と図々しい姑とはやっていく自信がありません。
義母も夫も教育あるのみ
パニ子の覚悟を感じたのか、
「孫に会えないなんて絶対にイヤ!!」
「俺が浅はかだった……ごめんなさい」
と折れた2人は、必死で謝ってきます。
何度も頭を下げるサクヤと義母を見て少し悩むも、決定的な嫌がらせを受けたわけでもないし、サクヤはこれから教育できるかなと睨んだパニ子。
義母には今後一切夫婦のことに口出ししないことを約束させました。サクヤのことは、これからみっちりと鍛えていく予定です。
義母と夫の名前を一字ずつとった名前をつけてきたときはど肝を抜かれたけれど、結果的に言いたいことを言い合える関係になれたのは結果オーライ♪ これから力を合わせてパニ美を育てていこうと思うのでした。
孫のかわいさゆえ、暴走してしまった義母。勝手に名前をつけるのは許し難いことですが、向き合ったことで、これまでより良い関係性を築くことができました。ときと場合によっては、本音でぶつかりあうことも大切ですね。