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妊娠中、運動はしていいの?妊婦さんにおすすめのストレッチはコレ!

この記事では妊娠中の運動について、医師監修のもと解説します。妊娠中に適度な運動を行うことは、心肺機能や筋力、体力の維持ができるため、妊娠中を快適に過ごすことに役立てることができます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師天神尚子 先生
産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長

日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
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ヨガのイメージ

 

妊娠経過が順調であれば、妊娠中に運動することは、妊娠・出産・産後の体力づくりに役立ちます。今回は、全く運動習慣がない妊婦さん、運動する時間がない妊婦さんに知ってほしい妊娠中の運動についてお話します。

 

妊娠中は運動してもいい?

妊娠中に適度な運動を行うことは、心肺機能や筋力、体力の維持ができるため、妊娠中を快適に過ごすことに役立てることができます。また、妊娠中から体力を養うことで、産後の赤ちゃんのいる生活に、疲れにくい身体を準備することができます。

 

妊娠中の運動

好ましい運動:ウォーキング、水泳、エアロビクス、ヨガ


好ましくない運動:柔道、剣道、空手、ホッケー、ボクシング、レスリング、サッカー、バスケットボール


危険な運動:体操競技、乗馬、重量挙げ、スキー(雪・水上)、スケート、ハンググライダー、スキューバダイビング

 

運動には、筋肉の柔軟性を高めるストレッチ、筋力を高める筋力トレーニング、持久力をつける有酸素運動があります。妊娠中の運動は、ストレッチと有酸素運動が有効です。この2種類は、妊娠前に運動習慣がなかった女性でも、簡単なレベルから日常に取り入れやすいでしょう。ストレッチは、身体の部位を意識して曲げ伸ばしすることで、血行を促します。筋肉の硬い状態と緩めた状態を体感することで、脱力した状態やリラックスした状態を身体で感じることにも役立ちます。代表的なものはヨガです。ただし、妊娠中は、高温多湿の環境での運動は避けたほうがいいので、ホットヨガは好ましくありません。お腹の張りを引き起こす可能性があることから、室内外にかかわらず、高温多湿の環境での運動はしないように気をつけましょう。


また、普段何気なく行っている首や肩を回す動作、両腕をあげて背伸びをする動作でも、筋肉の伸び縮みを意識して行うことで十分なストレッチ効果は得られます。有酸素運動は、酸素を使い筋肉を動かすエネルギー源である脂肪を燃焼させる運動です。代表的なものとして、ウォーキング、水泳、エアロビクスがあります。


一方で、筋力トレーニングは無酸素運動に分類されるため、基本的に妊娠中の運動として望ましくありません。無酸素運動は、瞬発的に大きい力を発揮する時に、酸素を使わないで筋肉を動かすためのエネルギー源に糖を利用する運動です。代表的なものとして、筋力トレーニング、短距離走、ウエイトリフティングなどで、一時的に息を止めて、踏ん張ることが求められるような運動です。筋力トレーニングのような無酸素運動は、妊婦さんには不向きですが、息を止めず、踏ん張ることが必要としない筋力トレーニングであれば筋力の緊張を高めるのに有効です。妊婦さんを対象とする筋力トレーニングをする場合は、必ず主治医やインストラクターの指示に従い、無理のない程度に行いましょう。

 

妊娠前から運動習慣がある場合は、基本的には中止する必要はありませんが、妊娠前よりも運動量の制限が必要です。運動を続けていても妊娠経過を順調に過ごせているのか、常に意識して取り組みましょう。全力を使う競技性の高いスポーツや、腹部に圧迫や振動が加わるもの、急に動いたりジャンプするなどの瞬発性の求められるもの、転びやすく外傷を受けやすいもの、相手と接触するスポーツなどは妊娠中には避けましょう。

 

妊婦さんが運動する際に注意すること

妊娠中に運動をしてよい条件は、妊娠16週以降で正常な妊娠経過であること、妊婦健診で医師、助産師から運動を禁止されていないことです。

 

妊娠中に、以下のような疾患や症状がある妊婦さんは、運動をしてはいけません。


・重篤な心疾患
・呼吸器疾患
・切迫流産
・切迫早産
・妊娠中期に子宮口が開いているまたは子宮頸管が短いとの診断を受けた
・前期破水
・性器出血
・前置胎盤(胎盤が子宮の入り口に覆いかぶさっている)
・低置胎盤(胎盤が子宮の入り口の近くにある)
・重症妊娠高血圧症候群
・胎児の発育がゆっくり(胎内発育不全)
・多胎
・過去に3回以上の自然流産、早産の経験がある

 

妊娠中に、以下のような疾患や症状がある妊婦さんは、運動をする場合には、慎重に実施しましょう。


・軽症妊娠高血圧症候群
・貧血または他の血液疾患
・コントロールが不良な状態の甲状腺疾患
・コントロールが不良な状態の糖尿病
・動悸または不整脈
・妊娠後期の骨盤位(赤ちゃんの頭がお母さんの頭の方を向いている状態)
・極度な肥満
・極度なやせ
・過去に早産した経験がある
・過去に子宮内発育遅延の経験がある
・妊娠中に性器出血したことがある
・極端に室内での作業が多く、全く運動する機会がない生活習慣


妊娠中の運動については、医師や助産師、運動指導をするトレーナーから専門的な指導と助言を受けましょう。特に、高血圧、糖尿病、肥満などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動については、主治医と相談して、十分に注意して行いましょう。

 

妊婦さんにおすすめのストレッチ

全く運動習慣がない妊婦さん、運動する時間がない妊婦さんにおすすめの運動を3つ紹介します。どの動きをするときも、呼吸は止めないで、自然な呼吸を続けながら行いましょう。また、運動を日頃の習慣にするために、「○○を○回○セット」と決めず、思い立ったらやってみる、1日1分でもいいからやってみるという気持ちでスタートしてください。

 

胸部と背部のストレッチ

①肩甲骨を中央に寄せながら、両腕を斜め後ろに開く。
②背中を丸めるように両腕をお腹の前で交差させる。


上記①②の動作を繰り返して、胸部と背部が心地よく伸びている感覚があればよい。

 

ストレッチのイメージ

 

おしり~太ももの裏側のストレッチ

①あぐらで座り、右足だけ伸ばす。上半身を前へ倒したときに、太ももとお腹がぶつからない位置に足を置く。右足をまっすぐ伸ばすのが難しければ、膝を曲げてもよい。
②左右の座骨に均等に体重をのせ、右手は右足の外側に置き、上半身を前方へ倒す。
おしり~太ももの裏側が心地よく伸びている感覚があればよい。


上記①②を繰り返したら、左足も同じように行いましょう。

ストレッチのイメージ

 

骨盤底筋のエクササイズ

①足を肩幅よりやや広く開き、つま先をやや外側に向けて立つ。手は楽な位置(腰、足の付け根など)に置く。
②膝を外に向けたままゆっくり腰をおとす。
③ゆっくりと元の位置へ戻る。


上記①②③を繰り返す。ふらつく場合は、椅子など支えになるものにつかまって行いましょう。

 

ストレッチのイメージ

 

運動はいつまで続けて良い?

妊娠経過が順調であれば、とくに制限はありません。ただし、妊婦健診や運動を行う前後に、メディカルチェックを受けて異常がないことを確認しましょう。産院や妊婦対象のプログラムを行う施設の場合、運動する前後にお母さんの血圧や心拍数、胎児心拍数などを測定するメディカルチェックを受けて異常がなければ、継続してよいでしょう。個人で運動を行う場合は、お母さんの心拍数は150回/分以下、ややラクに感じる程度を1回につき長くても60分以内で終えるようにしましょう。胎児がストレスを感じた場合、胎動が減少することがあります。妊娠中期(16~27週)以降は、運動終了後の30分間で1~2回以上の胎動が出現すれば正常と判断してよいでしょう。もし、胎動が少ないような気がするときは、早めに産婦人科へ受診しましょう。

 

まとめ

妊娠経過が順調であれば、適度な運動は健康的な妊娠生活や産後の生活に役立ちます。妊娠・出産・産後はつながっているひとつのサイクルです。妊娠中から、1日1分でも良いので意識的に運動する習慣をつけてみましょう。

 


参考:

・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2017
・日本臨床スポーツ医学会「日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 13 Suppl. 2005(妊婦スポーツの安全管理基準)
・『妊娠中の運動ハンドブック』(著者:ジェームズ・クラップ 訳:目崎登 他  発行:大修館書店 2000年初版)
・『マタニティ・エクササイズ・マニュアル』(監修:進 純郎 発行:社団法人全国保健センター連合会 2010年初版)
・『マタニティ・エクササイズ・マニュアル』(監修:藤田麻里 発行:社団法人全国保健センター連合会)

 

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