なんでダメなの?常温解凍の落とし穴
お肉を常温に置くと、表面から先に溶け始めますよね。中心部までしっかり溶けたころには、表面温度が上がってしまいます。
食中毒菌は20℃以上の暖かい場所が大好き。見た目は普通でも、菌がどんどん増殖中かもしれないんです。想像するだけでゾッとしませんか?
しかも、うまみ成分を含む赤い液体(ドリップ)がダラダラ流出。せっかくのお肉が、パサパサで味気なくなってしまいます。
「このお肉、なんか美味しくない」と感じたことがある人は、もしかすると解凍方法が原因かもしれません。
常温解凍でドリップが出やすくなる理由
冷凍肉にドリップはつきもの。どれだけ丁寧に解凍したとしても多少は出てしまいます。
なんで常温解凍するとドリップの量が増えるのか、気になりませんか?
そもそもお肉のたんぱく質は、本来なら水分をしっかりと蓄えておける優秀な「貯水タンク」のような働きをしています。
ところが、常温解凍ではこのタンクが壊れてしまうんです。
実は、お肉の中には「たんぱく質を分解する酵素」がひそんでいて、10〜40℃になると動きが活発になり、たんぱく質がどんどん分解されて、水分をつかまえておけなくなってしまいます。
「途中までレンジ、あとは常温」も要注意
「レンジで半分だけ解凍して、あとは常温に放置すれば節電になるかも」と思ったことはありませんか?
実は、これもNG。電子レンジは加熱ムラができやすく、一部が中途半端に温まっている可能性があります。
その状態で長時間常温に置くと、食中毒菌が増えてしまうかもしれません。
節電のつもりが、体調を崩す原因につながる場合もあるので避けてくださいね。
解凍ムラが気になるときは?
お肉を冷凍するときは、なるべく薄く平らにしておくのがポイント。そうしておけば、解凍スピードが早くてムラが出にくくなります。
ただ、どれだけ薄くしても、電子レンジで解凍する場合はムラが起きやすいのが難点。一部は火が通って中はカチコチなんてことがよくあります。
解凍ムラをちょっとでも抑えたいなら、加熱途中で上下をひっくり返しましょう。
それでも確実に均一にするのは難しいので、包丁で切れるくらいのかたさ(半解凍)で止めて、そのまま調理してしまうのもおすすめです。
結局どうするのが正解?
理想は冷蔵庫でじっくり解凍。冷蔵庫なら2~5℃をキープできるので、菌の繁殖を抑えられます。
8〜12時間かけてゆっくり溶かせば、ドリップも最小限。「明日はお肉料理にしよう」と思ったら、寝る前に冷蔵庫に移しておきましょう。
どうしても急ぎの時の裏技
「お肉を使おうと思ってたのに、冷蔵庫に移すの忘れてた!」なんてこともありますよね。
そんなときは、次の解凍方法がおすすめ。
・氷水解凍:冷たい氷水で解凍(2〜3時間)
・流水解凍:密閉袋に入れて流水にさらす(20〜30分)
・電子レンジ解凍:上記のコツを使って慎重に
時間があれば氷水解凍、急ぎのときは電子レンジと使い分けてみてください!
常温解凍はこれで卒業
何気なくやっていたお肉の常温解凍。
楽ちんですが、食中毒の原因になったり、せっかくのうまみが逃げてしまったり、デメリットがたくさんあります。
解凍方法を変えるだけで、お肉の美味しさが格段にアップします。ぜひ試してみてくださいね。