ミント
「かっこいいよ」思い出の実母を重ねた言葉と現実
ナツキは、実のお母さんは亡くなっていて、今のお母さんは『継母』であり、さらに自分は彼女から恋愛感情を持たれていると打ち明けたのです。
継母とはいえ、母親が息子に恋愛感情……あまりに衝撃的な話に、私は動揺が隠せませんでした。
蝉川くんが中学生のときに父親が再婚し、継母となったのが今の母親。距離感の近さは親子として関係を縮めるためだと思い込み、蝉川くんは我慢してきたと言います。
「高校のときに……」
我慢し続けていたら蝉川くんが高校生のころのある夜、寝ていた布団の中、足元に違和感を抱き目を覚ますと、そこには継母の姿が……。
「ナツキ、かっこいいよ♡」
そして、母親から息子に向けられる言葉とは思えないような甘い言葉をかけられたのです。
小学生のころ、実の母親に褒められて「かっこいいよ」と言われた過去と、継母が性的な眼差しを向けて同じ言葉を発する様子が重なり、蝉川くんは身の毛がよだつ思いをしたのでした。
蝉川くんの継母の異常な行動は、今回のクレーマーの件に始まったものではなかったのですね。大人で、しかも母親としてやって来た女性から息子へと向けられた恋愛感情や性的な眼差しに、蝉川くんはどれだけ怖い思いをしたことでしょう。
多感な時期に母親との死別、そして父親の再婚。これだけでも子どもにとっては大きな負担となるものです。ひとりでは到底抱えきれない問題に直面したときは、誰かに相談することが大切です。家族の問題で悩んだときは、匿名で児童相談所へ通告・相談することもできます。全国共通の番号は『189（いちはやく）』（児童相談所虐待対応ダイヤル）。通話料はかからず相談することができます。
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