母親につかまれた腕と表情から伝わる恐怖
ナツキが中学生のときに父親が再婚し、継母となった今の母親。それ以来、今の母親から異常な感情を向けられ、誰にも言えずずっと我慢してきたと話してくれたナツキ。
過去にナツキが受けた、今の母親からの衝撃的な扱いに私は心が痛み……。
布団にもぐり込んできた継母に抵抗するため、足で継母を蹴り飛ばした当時高校生の蝉川くん。
「父さ……!」
蝉川くんは、大きな物音に気付き駆けつけてくれた父親に、助けを求めようとするも、継母に腕を掴まれ、『言うな』と言わんばかりの表情に圧倒され、口を閉ざしてしまったのです。
今振り返ると「言えばよかった」と思う蝉川くんでしたが、当時は「母さんを亡くした父さんからまた母さんを奪うなんて俺には……」と、父親を思う気持ちからひとりで抱え込むしかなかったと涙を流します。
興梠さんは、つらい過去を打ち明けてくれた蝉川くんを「よく頑張ったね」と目に涙を浮かべながら、やさしく抱きしめたのでした。
母親という立場を利用した、異常な愛情表現に苦しめられてきた蝉川くん。高校生だった当時は、恥ずかしさや後ろめたさ、父親への思いやりなど、さまざまな葛藤があり周りを頼ることができなかったのですね。
相手を思いやるがゆえに、話せないということはもちろんあるでしょう。ただ、自分の中に、その恐怖や不安を押し込んでしまっては、自分自身が苦しい思いを抱えて生きていかなければいけなくなってしまいます。「おかしいな」と思ったときは、自分の気持ちを伝えたり、周囲に相談したり吐き出すことも大切です。家族の問題で悩んだときは、匿名で児童相談所へ通告・相談することもできます。全国共通の番号は『189(いちはやく)』(児童相談所虐待対応ダイヤル)。家族や友人に話せないのであれば、専門機関などを頼って他人に話してみましょう。
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