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不妊治療の沼にハマり…結婚して10年で初めての妊娠。長年悩んだ不妊の原因は

私は、周囲より早く20代で結婚したため、妊活はのんびり構えていました。しかし、いざ妊娠を望んでも、なかなか結果が出ません。それまで生理不順もなく、健康そのものと信じていました。「なぜ?」と思いつつ、念のため婦人科で検査を試みますが、特に問題は見つからず。「そのうち妊娠するだろう」と言われる始末でした。その後、検査を重ね、30代半ばになったころ、意外な事実が判明。そしてたどり着いた結末とは……。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師駒形依子 先生
産婦人科 | こまがた医院院長

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
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不妊治療の沼にハマっていくよう…募る不安

30代になってからは、不妊を疑い、婦人科を受診。転勤族の私たち夫婦は、各地を転々としており、そのたびに不妊治療の病院を変え受診してきました。どこの病院でも、夫婦そろって、ひと通りの検査を受けましたが、原因が特定されることはありませんでした

 

初めのうちは、排卵のタイミングを見てもらい、決められた日に性交渉を持つタイミング療法をおこないました。その後、夫から採取した精子をダイレクトに子宮内に注入する人工授精へとステップアップしたのですが、それでも妊娠することはなく、不妊治療の沼にハマっていくような不安な気持ちでいっぱいでした。

 

このころ、私より後に結婚した友人たちも続々と妊娠・出産していくので、自分だけ取り残された気分になり、メンタルも不安定に。インターネットやSNSで不妊について検索し、良いと言われるものには片っ端から手を出し、試していきました。たんぱく質多めの食事に見直し、体質改善のための高額なサプリを購入したこともありました。

 

希望と覚悟を持ち体外受精…しかし撃沈

人工授精までは、案外あっさりチャレンジできた私ですが、いよいよ体外受精を検討する段階になると、かなりの覚悟と勇気が必要でした。当時は保険適用がなく、自費になる治療費が、それまでと比べものにならないほど高額になるほか、採卵に伴い自己注射をすることも欠かせなくなるからです。これまで大きな病気をしてこなかった私には、医療行為を受け入れること自体に抵抗感があったのかもしれません。

 

でも、そんなことを言っていられないほど、行き詰まっていたのも事実。すでに私は35歳になっており、一般的に高齢出産と言われる年齢に差し掛かっていたのです。覚悟を決めて体外受精にチャレンジ。前進していることに希望を持ち、つらい治療にも前向きに取り組みました。

 

ホルモン値を測定するため、こまめな通院が必要で、さらに毎日決められた時間におこなう注射や投薬。採卵には麻酔が使用されましたが、その後の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用に苦しんだことも。しかし、結果は惨敗。受精卵の移植を何度か試みるのですが、私の場合、採卵・受精までは順調なのに、着床に至らないのです。

 

 

気になった医師のひと言…CT検査の結果は

その間も転勤に伴い、転院をすることもありました。その中で、たった一度だけ、ある医師に言われた「卵管に水がたまっていて、受精卵を流してしまうのかも」との言葉が、ずっと引っかかっていました。

 

他の医師に、「その可能性は?」と尋ねても「問題ないよ!」のひと言で済まされ、悩みは解消されません。結局、直談判し、なんとか紹介状を書いてもらい、総合病院でCTを撮影することになりました。

 

その結果を見た婦人科医師からは、「問題ない」と言われました。納得がいかない私は、そのCTの画像データが入っているCDを別の不妊治療専門の医師に見せました。そこで、なんと「卵管の詰まり」を指摘されたのです!

 

今まで何をしても妊娠できなかった原因が特定された気がして、すぐに手術を決意。手術してみないと、どの程度のものか特定されず、最悪、両卵管を切除する可能性もあり、その場合、自然妊娠の可能性はゼロになるとの説明を受けました。

 

結局、私の卵管は両方が詰まっていた「卵管水腫(卵管が炎症や癒着などで閉塞し、中に水分がたまって卵管が腫れる病気)」だったのです。卵管を切除した後、1度目の体外受精で見事妊娠。初めての妊娠までに、なんと結婚から10年がたっていました。

 

まとめ

どうやら、私の卵管の詰まりは、排卵周期によって確認できたり、できなかったりしたことで特定が難しかったようです。また、不妊の原因はさまざまで、まだまだ未知の部分が多く、医師によって見解が異なることも、原因特定までに時間がかかった要因のようでした。

 

私にとっては、遠回りだったように感じましたが、何人もの医師に関わったことで、「卵管水腫」を発見し、治療することができ、幸いでした。出産をした産院でも、熱心な助産師さんから、不妊治療について教えてと声をかけられ、自らの体験を伝えられたことも良い経験でした。不妊治療に対する社会全体の知識と理解がより一層深まることを願っています。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

著者:なか じゅんこ/40代女性。不妊治療の末、高齢出産した息子と娘の育児に奮闘中。現在、夫は単身赴任中。

イラスト/ほや助

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)

 

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