やる気満々の私に、冷たい洗礼
パート初日、「新しく入りました! 今日からよろしくお願いします!」 と明るく挨拶した私に返ってきたのは、ぶっきらぼうな返事と小馬鹿にしたような笑い声でした。
年配の女性パート2人から「よろしくぅ~。私たち、超ベテランなの!」 と冷たい返事が……。仕事の流れを教えてもらおうと尋ねても、「自分で考えたら?」と冷たくあしらわれる始末。そのうえ、2人はレジも品出しもせず、バックヤードでおしゃべりに夢中なのです。
後で聞くと、この2人はこの店の“お局様”。しかも社長の学生時代の先輩らしく、誰も注意できない存在なのだとか。店長も及び腰で、完全に見て見ぬふり。新入りの私はただ耐えるしかありませんでした。
耐えきれず、ついに爆発!
ある日、朝から忙しく、私は休憩にも入れず空腹でフラフラに。そんななか、バックヤードから「お菓子買ってこよ~っと」 「もう少しくらい休憩してもいいわよね!」とニヤつくお局2人組の姿が。 私は思わず「あの人たち、仕事していませんよ!」と店長に訴えました。しかし、返ってきたのは「社長に睨まれるのが怖いんだよ……。我慢できる人が我慢してよ」と情けないひと言。
怒りが収まらなかった私は、お局2人に「どうして仕事しないんですか?お給料もらってるんですよね?」と言ってしまいました。するとお局2人は「新人のくせに!」「店長に言いつけるわよ!」と逆ギレされ、私が怒られる始末。
その夜、パート先での出来事を母に電話で話していると、ふと、「そういえば、あなたのスーパーの社長って、私の親友なのよ。この前電話で話したとき来月、お店を見て回るって言ってたわよ」というのです。母の言葉に私は「来月、社長が来る……!そのときが、チャンスかもしれない!」 そう思うと、不思議と来月が来るのが楽しみになったのです。
因果応報!お局様に鉄槌を
1カ月後、店長がソワソワしながら「今日、社長がこの店舗に視察に来るんだよ」と言うのです。私は「ついにこの日が来たか」と、母の言葉を思い出しました。
そしてその数時間後、ついに社長が視察にやってきたのです。社長である母の親友が私に気づきニコッと笑顔を向けてくれました。私はお店の内情を知ってもらうため「社長、いつも仕事をサボっている2人がバックヤードにいます!」と声を上げました。社長は私の話を聞いてすぐさまバックヤードに直行し「あなたたち、今休憩中なの?」とお局2人に尋ねます。私が「この2人は、3時間も喋ってました!」と答えます。すると、これまで不満を溜めていた他の従業員からも、2人がサボっていたという証言が次々と挙がり、さらに防犯カメラの記録によって、2人の怠慢が明らかになったのです。
社長は毅然とした態度で2人を叱責。「お給料をもらっているんだから、やるべきことをやりなさい」と一喝! その後、2人は職場に居づらくなり、自ら退職することになりました。店長もまた、2人の行動を黙認し続けた責任を問われ、管理職としての適性を欠くとして降格処分に。
一方私はというと、まじめに頑張ったことが評価され、サブチーフに昇格!夫と母と旅行の計画を立てながら、平穏な日々を過ごしています。
◇ ◇ ◇
どんなに理不尽な状況でも、まっすぐに頑張る姿を見てくれる人は必ずいます。正しく働くことが報われる。そう信じられる職場でこそ、人は力を発揮できるのだと思いました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。