同居嫁のパニ子。夫の一郎と義両親の4人で暮らしています。夫と舅は穏やかな良い人なのですが、姑だけは好きになれないパニ子。結婚して以来、ネチネチとしたイヤミを言うのです。
「理想の嫁に取り替えたいわ〜」
今日も姑は嫌味ばかり。仕事が忙しいパニ子がお惣菜を買って帰ったら、「夕飯は手作りの一汁三菜が理想」「旦那様とその親に惣菜を食べさせるなんて嫁失格」と文句が止まりません。
「それなら自分がやれば?」と一郎が言うと、自分は忙しいと拒否し、「それなら再雇用で働いている自分が早く帰ってくる」と舅が言うと、「一家の大黒柱が昼間っから家にいるなんて、ご近所に知られたらどう思われるかわかったもんじゃない!」と絶対に受け入れようとしません。
姑は週2回自宅で書道教室を開いているだけでそれ以外は暇なはずなのに、協力する気がないのです。これには一郎と舅も呆れていて「母さんには何を言っても無駄だ」と諦めモード。
姑はお決まりの「取り替えられるものなら今からでも理想の嫁に取り替えたいわ〜」と 嫌味を言うのでした。
理想の嫁とは?
姑の考える「理想の嫁」とは、お茶・お花・日本舞踊のような古き良きお稽古ごとを子どものことから嗜み、学校を出たあとは花嫁修業にあけくれるようなタイプを指し、学生時代からバリキャリ目指して英語塾や予備校に通っていたようなパニ子とは真逆のタイプです。
姑のイヤミは結婚の挨拶に来たときから始まっていて、パニ子が年上であることや一郎と対等に仕事をしていることが気に食わない様子。
最初は猫を被っていたパニ子が「至らない嫁ですが、いろいろ教えていただければなと……」と言ってしまったのが運の尽き。「じゃあ結婚したら直ちに同居なさい」と言う姑に同居を押し付けられ、今に至るのです。
姑がとった驚愕の行動
どんなにイヤミを言っても堪えないパニ子にしびれを切らした姑は、ある夜、何枚もの写真を一郎に差し出してきました。写真にはきれいに着飾った女性の姿。姑が持ってきたのは、お見合い写真でした。
「俺はもう結婚してるんだぞ!」と言う一郎の話など聞きもせず「そんなの別れちゃえばいいのよw 今どきバツイチなんて珍しいことじゃないわ」と見合いを進めるのでした。
これまでも散々「理想の嫁と取り替えたい」と言っていた姑。まさかお見合いの話を持ってくるとは思わず、パニ子は呆れて何も言えませんでした。
そこで口を開いた舅。「やめなさい。こんな素敵なお嬢さんをバツイチ男の後沿いにするのは申し訳ない。俺が理想の嫁を連れてくるから、ちょっと待ってろ」
いつもパニ子の味方をしてくれたはずの舅のまさかの発言に訳がわからず、パニ子と一郎は何も言うことができませんでした。
舅が連れてきた「理想の嫁」
それから1週間後、舅はひとりの女性を連れ帰ってきました。
「理想の嫁を連れてきたぞ」
そこに立っていたのはいかにも大和撫子と言うおしとやかな女性。姑は大喜びです。
「この女性なら何の文句もないわ!これでパニ子さんは用済みね〜! 一郎、さっさと離婚しちゃいなさい!」
しかし、張り切って話を進めようとする姑を舅が遮ります。
「何を勘違いしてるんだ? この女性を誰の理想の嫁だと思ってるんだ?」
姑の顔にはてなマークが浮かんでいます。
「この人は俺の再婚相手になる人だよ。理想の嫁そのものだろ? 母さんと離婚して俺はこの女性と再婚する」
理想の嫁論を掲げていた姑は、実は書道教室の生徒の男性と浮気をしていたよう。それに舅も気づいていました。それに加えて、パニ子への執拗なイビリを見て愛想を尽かした舅は、離婚に向けて準備を進めていたのです。
浮気がバレた姑は渋々離婚を承諾。舅は連れてきた女性にその場でプロポーズし、晴れて再婚が決まりました。
新しい奥さんはとても良い人そう♪ これからの同居生活が楽しみになるパニ子でした。
理想の嫁像を押し付けれていた義母。そう言いながら、自分こそ理想の嫁像とはかけ離れた嫁でした。押し付けすぎた結果、自分を追い詰めていたのですね。
そもそも夫婦の形は人ぞれぞれであり、理想の姿は異なります。外野があれこれ言うのは筋違いと言う話ですね。