駅でエレベーターを探して…
電車を降りて改札口に向かう途中、エレベーターが見つからず、構内を右往左往。やっと見つけたエレベーターはとても小さく、ベビーカーを乗せたら1人乗れるかどうかというような狭さ。
そして、エレベーター前にはすでに長蛇の列。ベビーカーで双子を連れている私は、列に並びながら「早く乗れますように」と祈るような気持ちで順番を待ちました。
やっと順番が来て「次こそ乗れる」と思い、ベビーカーを少し前に動かしたそのとき……。
スーツ姿の男性が現れ!?
突然、スーツ姿で片手にスマートフォンを持ち電話をしている50代くらいの男性が、私たちの前を何の迷いもなくすり抜け、当然のような顔でエレベーターに乗り込んできました。男性は電話の内容に集中しているのか、こちらには目もくれず……。
私はあっけにとられながらも、男性に何も言えませんでした。私の後ろに誰も並んでいなかったこともあり、弱気な私はあきらめてしまい、そのエレベーターを見送ることに。
双子たちが退屈してぐずり始める中、私はやるせない気持ちでただ立ち尽くすしかありませんでした。
エレベーターでこんなに待つとは…
やっとエレベーターに乗れたものの、列に並んでからすでに20分ほど時間が経っていました。体操教室の体験には遅刻してしまい、途中参加に……。
短距離の道のりがとても遠く感じられ、この日ほどベビーカーでの移動の大変さを痛感させられたことはありませんでした。
双子を乗せているベビーカーは大きいため、私ひとりのときはエレベーターを利用するのはやむを得ません。そのため、この日のように「申し訳ない」と思いながら並ぶ現実に、少しだけ寂しさと悔しさを感じました。ただ、こんな状況の中でも「譲ってもらって当然」ではなく、「ありがとう」の気持ちを忘れずにいよう、そして今後エレベーターなど限られた設備を利用する際は、より周囲を思いやる気持ちを持とうと思いました。
著者:野中 まゆ/30代女性。2022年生まれの男女双子の母。13年保育士として勤務。出産を機に退職し、現在は保育士経験や自身の子育て体験をもとに、在宅で執筆業務をおこなっている。
イラスト:ふー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)