支店を救ったのに、返ってきたのは「無視」
配属された支店は、売上は低迷、社員の士気も底。空気がよどんだような場所でした。でも、商品力はある。やり方次第で立て直せると信じ、僕は動き出しました。
業務の無駄を洗い出し、紙ベースだったデータを一新。売れ筋分析や販促の見直しを進め、周囲に説明しながら、業務効率を高めていきました。
その成果はすぐに表れ、売上は過去最高に。本社から表彰され、新商品は全国展開。上層部からも高く評価されました。
しかし、喜んだのは本社だけ。職場では空気が一変。挨拶しても返されず、資料も共有されない。昼休みは孤立。次第に、完全に“無視”されるようになっていきました。
ある日、通路で聞こえた会話に耳が凍りました。
「調子に乗ってるよな、あいつだけ」
「いなくてもやれるって、分からせてやらないとさ」
誰かの手柄を横取りしたわけでもない。ただ、必死にやってきただけだったのに……。
限界を迎えた僕が放った「じゃあ辞めます」
それからも僕の提案は却下され、発言は無視され続けました。
そしてある日、先輩がこう言いました。
「無理しすぎじゃない? やりたいことに目を向けたら?」
まるで「辞めていい」と言われたかのようでした。
「では、お言葉に甘えて辞めさせていただきます」
静かに告げると、先輩たちは絶句し、「え、それは……」と慌てましたが、もう迷いはありませんでした。
僕を無視した人たちの“その後”は…
転職先に選んだアパレル企業では、これまでの経験や提案が歓迎され、チームも前向きで協力的。「ここに来てよかった」と心から思えました。
一方、僕のいなくなった元職場は、システムが扱えず売上は急降下。支店は閉鎖され、多くの社員が離職。あれほど強気だった人たちも職場を去ったそうです。
妬まれる場所で自分を押し殺すより、努力を正当に評価してくれる場所で働ける今が、何よりの幸せです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。