うれしい報告のはずが!?
「ただいま戻りました!」
この日私は、満面の笑みで帰社。努力のかいあって、大手商社から大型契約を勝ち取ったことを報告したのです。半年間、毎日地道に通い続け、先方の会社の掃除のおばちゃんとおにぎりを食べる仲にまでなった営業が実ったのでした。
先輩たちも「すごいよ!」「表彰もんだよ!」と称賛してくれました。ところが……。そこへ現れたA部長が、嫌みのオンパレード。「中卒のくせに……」と心ない発言をしたのです。
もともとこのA部長は、学歴重視の偏屈人間。家庭の事情で中卒だった私のことをいつもターゲットにしていました。しかしこの日は、嫌みだけでは済みませんでした。
「契約書を渡せ! 今後、締結までの流れは部長の俺がやる! 中卒は引っ込んでいろ」と言いだしました。
こうして、この件からすべて外されてしまった私。その後正式に締結される予定となっていた契約の最終商談場所や日時はすべて知らされないままとなったのです。
契約締結日に?
契約を奪われた悔しさを抱えて、私は家に帰って泣きながら母にすがりました。
「お母さん、聞いて……」と泣く私に母は、「学歴で人ははかれないよ! あんたは今まで誠実に頑張ってきたんだから、これからもそのやり方を貫けばいい!」と励ましてくれました。
こうして数週間後。他の会社への営業活動を続けていた私のもとに、社長から怒りの電話がかかってきました。
「君、なぜあの大型取引の商談に来なかった? 契約はオジャンだぞ!」
私はビックリ仰天。「あの件は、A部長から手を引けと言われて……」と、ことのてん末を説明すると、社長もビックリ。「とにかく急いで会社に戻ってきてくれ」と告げられました。
こうして帰社したところ……。なんとそこには、契約を交わすはずだった相手方の会社のB社長がいらしていたのです。
真面目に頑張れば報われる!
B社長は、「私は君が担当だから契約しようと思ったんだ」と明言。さらに驚いたことに、今日の契約締結日までの間にA部長が勝手に書類を改ざんし、私が苦労して相手方と決めていた条件などがすべて偏ったものになっていたというのです。
おまけにA部長は、B社長が怒りをあらわにしたとたん、「本来の担当女性社員が無理だと泣きついてきて、仕事を放棄。だから中卒はダメなんだ」と根も葉もない話で責任を転嫁したようです。そこでわが社の社長が慌てて私に電話をかけてきた……というわけ。
さらに「君は、わが社の掃除のおばちゃんと仲良くしているね? 実は彼女、私の母なんだよ」というB社長の言葉に私は目が点になりました。「母は、清掃をする年寄りとも気さくに話をする君の人柄がえらく気に入ってね」と笑顔になってくれました。
一方、わが社の社長はその場にA部長も呼び出しました。「部下の功績を奪い、勝手に書類を改ざんし、挙句にその部下のせいにするなどありえない!」ときつく叱ったのです。
その後、A部長は平社員に降格。一方の私は、B社長のおかげで最終商談を仕切り直し。大型契約も無事締結でき、社内で表彰され、昇格もしてもらいました。これからも私は、学歴を恥じることなく、いろいろな人たちと信頼関係を築きながら成長していければと思います。
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人と人とがつながる社会では、学歴や肩書きより中身が大切なのかもしれません。コツコツ頑張る人はしっかり報われるのですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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