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近年、日本で子宮体がんにかかる女性が上昇中?!原因や症状、生存率は?

この記事では子宮体がんについて、医師監修のもと解説します。子宮体がんは近年増加している病気のひとつです。早期発見が最も大切な要素といえるでしょう。検診や日々の健康チェックを怠らないようにしたいものです。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師天神尚子 先生
産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長

日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
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子宮のイメージ

 

子宮体がんは婦人科のがんの中では最も多いといわれる子宮がんのひとつで、国立がん研究センターによると、年間およそ13,000を超える人が子宮体がんにかかり、子宮体がんによる年間の死亡者数は2016年で約2,300人となっています。近年、日本でも子宮体がんにかかる人の数は上昇していますが、子宮がんは早期発見によりその生存率は高くなるともいわれています。では、子宮体がんとはどのようながんなのでしょうか。詳しくお話ししていきます。

 

子宮体がんとは

子宮がんはできる場所により、子宮体がんと子宮頸がんに分けられます。子宮は風船のような形をしていて、腟から続く子宮頸部と呼ばれる細い管のような部分の奥に子宮体部は位置しています。

 

子宮体がんとは、その内部にある子宮内膜からがんが発生するため、子宮内膜がんとも呼ばれています。子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスの感染が影響しているのに対して、子宮体がんは女性ホルモンの影響を大きく受けるといわれています。

 

子宮体がんの原因

子宮体がんの原因としては、女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモン(エストロゲン)が大きく関わっているといわれています。このホルモンには子宮内膜の発育を促す作用がありますが、卵胞ホルモンの値が高いと子宮内膜増殖症になりやすくなります。

そして、子宮内膜増殖症が子宮体がんの発生につながるといわれています。特に、出産未経験者、肥満、月経不順、ホルモン療法を受けている方は子宮体がんのリスクが高くなるといわれています。しかし、なかには卵胞ホルモンの影響によるものではなく、がん関連遺伝子の異常によって起こる子宮体がんもあります。この場合は比較的高齢者に多く見られます。

子宮頸がんの場合にはヒトパピローマウイルスの接触感染がきっかけになりますが、子宮体がんに関しては卵胞ホルモンが大きく関わっていることからもわかるように、他人からうつることで発生するがんではないとされています。

 

子宮体がんの症状

子宮体がんの症状は何といっても不正出血です。不生出血は患者さんの約90%にみられ、比較的初期から症状が現れるといわれています。比較的高齢の方に多いため、閉経後の出血がある場合には特に注意が必要です。ときにはおりものに茶褐色の古い血液が混じっている場合もあります。

 

月経周期以外の出血や月経が長く続く、性交渉時の痛み、排尿痛や排尿困難、下腹部の痛みなどがある場合には産婦人科で相談されることをお勧めします。

 

子宮体がんの進行具合を表すステージ

子宮体がんは進行のスピードが比較的遅く、初期の段階で発見されることが多い傾向があります。

 

がんが見つかったときの進行具合や患者さんの既往歴などにもよりますが、初期の発見であれば生存率も約90%と比較的良好です。がんの進行度合いは、がんの大きさだけでなく、どのぐらいの深さまで到達しているか、リンパ節もしくはほかの臓器への転移があるかどうかによって判断します。

そして、その病期をステージとして表すことで区分します。病期は、手術でがんの状態を直接確認することで手術前の予測と異なる結果になることもあります。そのため、現在は2012年の子宮体がん取扱い規約で、すべて子宮体がんの手術進行期分類(日本産婦人科学会2011年.FIGO2008年)を用いています。子宮体がんの病期は、Ⅰ期・ⅠA期・ⅠB期、Ⅱ期、Ⅲ期・ⅢA期・ⅢB期・ⅢC期・ⅢC1期・ⅢC2期、ⅣA期・ⅣB期に分類されます。

 


Ⅰ期:がんが子宮体部に限局するもの

ⅠA期:がんが子宮筋層1/2未満のもの
ⅠB期:がんが子宮筋層1/2以上のもの

 

Ⅱ期:子宮頸部間質(上皮の下)湿潤のあるもの

 

Ⅲ期:がんが子宮外へ広がるが、小骨盤腔を越えないもの、あるいは所属リンパ節転移のあるもの
ⅢA期:子宮漿膜(しょうまく)ならびに(または)付属器を侵すもの 
ⅢB期:腟ならびに(あるいは)子宮傍組織へ広がるもの
ⅢC期:骨盤リンパ節転移ならびに(あるいは)傍大動脈リンパ節への転移があるもの
ⅢC1期:骨盤リンパ節転移のあるもの
ⅢC2期:傍大動脈リンパ節転移のあるもの

 

ⅣA期:膀胱ならびに(あるいは)腸粘膜に浸潤のあるもの
ⅣB期:遠隔転移のあるもの


 

子宮体がんの治療方法

子宮がんの治療方法は主に手術です。進行している場合には化学療法や放射線療法などを組み合わせておこないます。初期の子宮体がんであり、患者さんがのちに妊娠を希望する場合には、ホルモン療法を選択できる場合もあります。子宮体がんの手術療法は、がんの病期によって摘出範囲が決定されます。

通常、ステージⅠAまでの早期の子宮体がんに対しては、卵管と卵巣を含めた「単純子宮全摘出術」がおこなわれます。

ステージⅠ~Ⅲの場合には病期や患者さんの状態によって手術の方法が異なり、子宮、卵管、卵巣だけではなく周囲の組織や腟の一部も摘出する「準広汎子宮全摘出術」や「広汎子宮全摘出術」がおこなわれます。この際、骨盤内や腹部大動脈周囲のリンパ節郭清もおこなわれるのが一般的です。

ステージⅢで手術ができない場合や、ステージⅣの場合には、摘出手術をするのではなく、放射線療法や化学療法のみがおこなわれます。

 

まとめ

子宮体がんは近年増加している病気のひとつです。婦人科での検診も大切ですし、先にお話しした不正出血など、いつもと違う気になる症状が見られたら、婦人科の受診をおすすめします。

患者さんの既往歴や年齢などの背景にもよりますが、子宮体がん自体は早期に発見すれば5年生存率が比較的良好ながんであるといわれています。ですから、やはり早期発見が最も大切な要素といえるでしょう。検診や日々の健康チェックを怠らないようにしたいものです。

 

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