結婚して1年ほど経ったころ、妊娠が判明しました。それまで家事はすべて私がひとりでしていたのですが、つわりが思っていた以上にきつく、これまでのように家事をこなすことが難しくなってきました。
結婚後、夫のマザコンが発覚
「共働きだし、つわりが本当につらいから、せめて家事はふたりで協力したい」
そう伝えた私に、夫はこう言いました。
「いやいや、女が家事するのが当たり前だから! ママは仕事しながら、家事も子育ても完璧だったよ?」
結婚前は「ママ」なんて呼んでいなかったのに、結婚後はすっかり“マザコン”になった夫。しかも義母は、夫が気になるのかしょっちゅうアポなしでわが家にやって来ます。
掃除も片付けもして、ごちそうを作っても、義母は「こんな料理しか作れないなんて、嫁失格ね!」「もっときれいにしなきゃ」と言うばかり。つわりで具合が悪いと伝えても、言い訳するなと怒られてしまいます。夫も義母の味方で、私を見下し、義母と笑い合う始末。私はもう限界でした。
「私、嫁やめます」家出したら
義母は「料理もまずいし、片付けもできないなんて、本当に不出来な嫁ね~!」と笑い、夫は「ママみたいな人が良かったな。嫁選びを間違えたよ」と言いました。
「不出来でごめんなさい。じゃあ私、嫁やめるね。もう無理だわ。離婚しましょ!」
私はまとめておいた荷物を手に取り、記入済みの離婚届を渡して、すぐに家を出ました。
「り、離婚なんて大げさな……!」と慌てるふたり。
でも私は、夫と家族でいることも、義母と関わり合うことも嫌でした。
変わりたいと願った夫と義母
実家に身を寄せていると、夫と義母がやってきました。事情を知っている私の両親は、夫と義母に対し、怒りが隠せない様子。
ただならぬ空気を察した夫はすぐに玄関口で謝罪。「仕事のストレスがやばくて……甘えていた。ごめんなさい」と反省の言葉を口にしました。
義母は、かつて自分も姑にいびられていたことを打ち明け、「すごく嫌な目に遭ってきたのに、気づいたら私も同じことをしていた」と涙ながらに謝罪してくれました。
つわりがひどい妻に対し、配慮もやさしさもなかった人とこれからも家族を続けるべきか……私は悩んだ末に、条件を突きつけました。
「これからは家事も子育てもふたりでやること。そして具合が悪いときは配慮してほしい。お互い、思いやりがなくなったら夫婦関係は終わりだよ」
「そしてお義母さん、今後は夫に家事を教えてあげてください。あと、私たちの家庭には、必要以上に口を出さないでください。突然家に来るのもやめてください」
ふたりは深くうなずきました。
私の両親にもきつく注意され、反省した様子。その後、私は再び家に戻りました。
夫は義実家で家事を学び、家で不器用ながら家事に挑戦してくれるようになりました。義母も少し距離をとって、控えめに見守ってくれています。
おなかの赤ちゃんと、これから始まる3人の暮らし。
ゆっくりでもいい――少しずつ、思いやりあえる「家族」になっていけたら、そう思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。