運動会に行けない「理由」
ある日「ママ! 運動会でリレーの選手に選ばれたの!」と娘が弾けるような笑顔で報告してくれました。私も嬉しくなって、「すごいじゃない! 絶対に応援に行くからね!」と声を弾ませました。
しかし、気がかりなのは夫の反応。 せっかくの機会だし、家族で応援したいと思って、帰宅した夫に声をかけました。早速私は「ねぇ、今度の日曜、娘の運動会があるんだけど……」と声をかけました。すると、夫から返ってきたのは「はぁ? 疲れてんのに帰ってきて早々、話しかけんなよ」という心無い言葉でした。ここ最近、ずっとこんな感じで、娘の学校行事の相談すらまともにできず、私のモヤモヤは募るばかりでした。それでも今回ばかりは譲れないと思い、続けて「娘がリレーの選手に選ばれたの。だから、一緒に見に行ってほしいのよ」と伝えました。すると夫はスマホをいじりながら、 「出張入ってるから無理。あとはよろしく~」 とあっさり。 それっきり、こちらを見ようともしませんでした。
ここ数カ月、「急な出張」や「休日出勤」が増えたのに、給料明細には反映されず家計は変わらないまま。 帰宅も遅く、連絡がつかない日もちらほらありました。「これは、ただの仕事じゃない気がする」 そう感じた私は、念のため証拠を集め始めました。 調査会社にも依頼し、夫の行動を記録してもらうことにしたのです。
リレーで大活躍した娘! しかし夫は……
迎えた運動会当日。 私は早朝からお弁当を準備し、娘と一緒に学校へ向かいました。娘はリレーのアンカーで大健闘し、見事1位を勝ち取りました。満面の笑みでゴールテープを切る姿に、思わず涙がこぼれそうになりました。
帰り道、娘が「パパにも見てほしかったな〜!」と呟きました。そのひと言が胸に刺さるなか、私は前日に届いていた調査会社の報告書を思い出していました。そこには、夫が「出張」と言っていた日に女性と親しげに食事をし、ビジネスホテルに入っていく姿がはっきりと記録されていたのです。もう、言い逃れはできない。 私の中で、夫との関係を見直す覚悟が固まりつつありました。
帰宅すると、ソファでくつろぐ夫の姿がありました。私が「出張は?」と聞くと、明らかに動揺した夫が「あー、急に中止になってさ。今日は会社で仕事してたんだよ」と言うのです。気まずい空気が流れるなか、娘が「リレーで1位だったの! パパにも見てほしかったな~!」と言うと、慌てた夫は「ご、ごめんって。じゃあ今度の休み、3人で遊園地行こう!」と提案したのです。娘は「えっ!? 行きたい!」と目を輝かせました。しかし、夫を信じきれなかった私は「今度って、次の日曜日でいいのね? チケット取るから、ちゃんと行くのよ?」と念押し。「はいはい、わかってるって」 と言う夫に、不安が拭えないままその日を迎えました。
娘の決意と、私の覚悟
遊園地に行く前夜。 夫は帰ってこず、連絡もつかず。 朝になりようやく帰宅した夫に私は「支度して。遊園地、行くんでしょ?」と声をかけました。すると夫は「無理だって。疲れてるんだよ! 1人にしてくれ!」と言い放ったのです。
その瞬間、私の中で完全に何かが切れ「そう……。じゃあいいわ」と言い残し、娘のもとへ向かいました。そして「パパは行けないみたいだから、今日はママと2人で遊園地に行こっか」と告げました。すると娘は落ち着いた口調で「なんとなくだけど……最近、パパが家族より大事にしてる人がいるんじゃないかって思ってた」とポツリ。どうやら娘も、夫の異変に気づいていたようで私は娘にすべてを伝えました。すると娘は「家族との約束を守れない人なんて、もういいよ」と強い口調で言うのです。
このひと言が、私の覚悟を決定づけました。荷造りをしていると、夫が慌てて「おい、なにしてんだよ?」と声をかけてきました。私が「離婚しましょ」と言うと、夫は「遊園地くらいで大げさだろ!」と激怒! 次の瞬間、娘が「私の運動会より浮気相手が大事なんだよね?」とひと言。夫は、何も言い返すことができませんでした。私は静かに、調査会社から届いた報告書を差し出しました。写真を見た夫は青ざめ、うなだれたまま何も言えず、離婚に納得せざるを得なかったのです。
その後、浮気の証拠をまとめ、弁護士を通して正式に離婚が成立。私と娘は、私の実家で穏やかな日々を取り戻しています。
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約束を守ること、思いやること、日々の積み重ねこそが家族の絆を育てます。家族を軽んじ、裏切る行為は、目の前の信頼も、未来の幸せも失うということ。家族を大切にできる人こそ、信頼され、心から安心できる家庭を築いていけるのです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。