産後すぐに母乳が出ず、夫のだいちさんからは「努力が足りないんじゃない?」と心無い言葉を掛けられ、サポートに来たはずの母親からは「甘ったれんじゃないよ」と非難されるばかり……。次第にわかなさんは追い詰められていきます。
母親の帰宅後、自分は「出来損ないだ」と落ち込むわかなさん。
次第にゆうりちゃんに対して「大っ嫌い」「産まなきゃよかった」という負の感情が沸き上がり、「もうだめだ」と悟ったわかなさんはすべてを終わらせることを決断。
自ら警察に電話をかけ、これから子どもに手を掛けると告げます。
警察に保護されたわかなさんとゆうりちゃん。迎えに来た夫は「僕たちは役所勤めなのに、児相なんて」と世間体を気にしますが、わかなさんは「連れて帰らない。私から守るにはこうするしかない」と言い、娘を児童相談センターに預けようとします。
「出来損ないの人間」というレッテルに苦しめられた妻は…
わかなさんは「ゆうりのことかわいいと思えない」と告白し、産後ずっと苦しくてつらかった思いを吐露。憎さのあまりひっぱたいたこともあったといいます。
「もう無理なの!」「子どもを捨てて全部やり直すの!」
そう叫び、ゆうりちゃんの保護を回避したいだいちさんと拮抗。どうにか話し合いを終え、児童相談センターでの一時保護が決まったのでした。
▼ゆうりちゃんの命を守るために、自分から遠ざけようとするわかなさん。その姿に、愛したいけど愛せなかった苦しみを感じ、思わず胸が締め付けられます。
誰でもいいから、わかなさんに「出来損ないじゃないよ、あなたも大切だよ、頑張ってる、すごいよ」と声を掛けてほしかったと口惜しさが募ります。
産後、誰もが幸せいっぱいでいられるわけではありません。ホルモンの変化や育児の疲労によって、わかなさんのように追い詰められてしまう人も少なくないでしょう。しかし、決してそれはママのせいではないのです。わかなさんには、これ以上自分を責めることなく、まずは心と体をゆっくり休めてほしいですね。
わかなさんのように心身ともに限界を迎えてしまいそうなときは、国や自治体の相談窓口へ連絡をしてみてください。
『よりそいホットライン』では、電話、FAX、チャットやSNSによる相談に専門の相談員が対応してくれます。悩みの内容は、わかなさんのような子育ての悩み、暮らしの悩みごとやDV・性暴力などの相談、と多岐にわたっています。まずは、0120-279-338(岩手県、宮城県、福島県からは、0120-279-226)に電話してみてください。
※産後うつ病はホルモンバランスの崩れを発端に、いろいろな条件が重なって発症するもの。マタニティブルーズが一過性のものであるのに対し、産後うつは2週間以上症状が持続します。産後うつはおよそ10%の方が罹り、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3カ月以内(早ければ産後2週~4週間ごろ)に発症することが多いです。発症の背景要因として、うつ病の既往のほか、パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています。確定診断には精神科医などによる検査・診断が必要です。治療としては、薬物療法とカウンセリングなどの精神療法が主体となります。なんでも完璧にしようと思わず、休めるときは休み、夫にも知識として産後うつのことを知っておいてもらうことも大切です。すでにつらい症状があれば医師に相談してください。
神谷もちさんのマンガは、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。