
久しぶりに会う母との時間が楽しみ!
出産後は母にわが家へ来てもらい、泊まり込みで2週間、手伝ってもらうことになっていました。
事前に姉から「お母さんが最近、私が赤ちゃんのころの話をしてくれたよ。ハイハイで段差を後ろから降りて、かわいかったって」と聞いてたので、「私の小さいころのかわいい話も聞けるかな」とワクワクしていました。
母が来てくれてから数日たったころ、「あなたが生まれたときはね……」と話し始めた母。「あっ、これが私の幼いころの話かな?」と期待して耳を傾けると……。
思っていたのと違う…!?
母の口から飛び出したエピソードは、予想外のものでした。
「あなたが生まれた2日後に、お父さんの借金がわかってね、2千万円」
「すぐに親族会議が開かれたんだけど、私は産後で参加できなくて、布団で泣いてたんだよ」
私は「ん? んん!? 思っていたのと違う……」と戸惑ってしまいました。
その後も「弟が生まれたときは、ミルクも買えなくてね」と、初めて聞く苦労話に私は「弟、悲惨……。どうやって育ったんだろう」と当時に思いを馳せました。
確かに、子ども時代に貧しかった記憶はあるのですが、自分が生まれた直後にそれが始まっていたとは知りませんでした。私が小学生になるころには父が働かなくなってしまい、母はひとりで働いて生活費を稼いでくれていたのです。
母の話に産後のメンタル崩壊
産後で精神的にも不安定だった私は、母の話を聞き「お母さんもつらかっただろうな」と悲しみが押し寄せ、夜になると涙が……。夫にも母にも気付かれないよう泣いてしまう日々が続いたのです。
そして2週間後、母は帰っていきました。正直、母の苦労話で気持ちは疲れてしまいましたが、掃除や料理など家事を手伝ってくれて助かりました。
その後、ワンオペでの育児が始まり、思うようにいかず自信が持てなくなることもありました。しかし、そんなときは母の話を思い出し「ミルクを買って与えることができる」「笑顔でわが子を抱きしめることができる」だけでも十分だ!と自分を鼓舞して気持ちを切り替えることができたのです。
母の話を聞いて悲しくなったけれど、そのおかげで「完璧じゃなくていい」と思えるようになり、育児のハードルが下がりました。
母は大変な中で私たちを育ててくれ、今は家族みんな健康で自立した生活ができています。「こんな立派な子どもたちを育てた私はえらい!」と自慢げに話す母を見て、私も今の生活に感謝しながら、あまり気負わずにゆったりとした子育てを続けていきたいと思います。
著者:本宮 りんこ/40代女性。2022年生まれの男の子ママ。高齢出産で体力ゼロの状態から息子に育ててもらっている。いつか体力をつけて元気になりたいアラフォーママ。児童養護施設で10年働き、現在は在宅ワーク。物語を読むのが癒やし。
作画:キヨ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)