引っ越して間もなく、隣に住むAさんが話しかけてきました。最初は親切な人かと思ったのですが、Aさんは噂好きのスピーカーだとご近所で有名な人物だったのです。
新天地での洗礼
Aさんは初対面にもかかわらず「旦那さん、年収いくらなの?」と質問してきました。私が「初対面の人にそんなこと……」と断ると、Aさんは突然不機嫌になり、勝手な妄想を語り出したのです。
「せっかく仲良くしてあげようと思ったのに! もしかしてあなた、夜の商売でもしているんじゃないの? だからそんなに大きな家に住めるんでしょ!」そんな根拠のない話を一方的に続けると、Aさんは勝手に納得した様子で、そのまま去っていきました。
そんなAさんと出会ってから1週間、近所の住人たちからの視線が妙に気になるように……。気にしないようにしようにも、Aさんと親しげな2人の女性が、私を見てはクスクス笑い、ありもしない話をしているのが聞こえてくるのです。
私に関する根も葉もない噂は次第にエスカレート。私が浮気している、子どもが少年院に入った、夫が逮捕された……などなど。そんな作り話は、なんとSNSにまで投稿されていました。不特定多数の人が目にするSNSにウソ情報をばら撒かれて、さすがに黙っているわけにはいきません。私はAさんに直接注意することにしました。
「このままウソの噂話を広めるつもりなら、こちらもそれなりの対応をさせてもらいますよ」そう告げると「できるものならやってみなさいよ」と鼻で笑いながら言い返してきたAさん。腹立たしい開き直った態度を取られ、私は反撃を決心したのです。
証拠を集めて反撃開始!
私はすぐに弁護士へ相談。証拠を集めて、反撃の準備を進めました。そしてある日、Aさんたちがいつものように公園で噂話に花を咲かせているところへ、私は弁護士とともに突撃。私たちの姿を見た瞬間、Aさんたちは一瞬ぽかんとしたあと、目を見開いて声を上げます。
「白昼堂々、男の人を連れているわ! やっぱり浮気していたのね!」
「ほらね、言ったでしょ? 彼女は刑務所帰りで、夫も最近捕まったって! だからこうして浮気相手と一緒にいられるんだわ!」
次々と飛び出す無茶苦茶なウソに、私は怒りを通り越してあきれてしまいました。すると、私の隣でAさんたちの言葉を黙って聞いていた弁護士が、静かに口を開いたのです。
「先ほどの会話は録音させてもらっております。また、あなた方のSNSアカウントも拝見させていただきました。依頼者に対する虚偽の投稿については証拠としてすべて保存しております。」弁護士はそう言って、Aさんたちに名刺を差し出しました。
名刺に書かれた「弁護士」という文字を見た途端、Aさんたちの顔は真っ青に。そんなAさんたちに私は「あなたたちのことを訴えます」と告げました。私の言葉を聞いてさらに焦ったのか、口々に言い訳を始めたAさんたち。
「う、訴えるなんて、やめてよ! そんなつもりじゃなかったの」
「私たちは、Aさんに言われてやっていただけなのよ!」
「はぁ? 何よ! あなたたちもノリノリだったじゃないよ!」
ついには、その場で仲間割れを始めるAさんたち。その光景を見つめながら、私はきっぱりと告げます。「いくら言い訳をされても、許す気はありません。数日後には内容証明が届くので、覚悟しておいてくださいね」泣き叫ぶAさんたちを置いて、私たちはその場を去りました。
迷惑なAさんたちに下った天罰
後日、Aさんたちそれぞれの旦那さんから丁重な謝罪があり、示談が成立。慰謝料もきっちり支払われました。
その後、Aさんとは離婚したと今も隣に住む旦那さんから聞きました。Aさんと仲が良かった女性2人も離婚されてしまったのか、家を追い出されてしまったのかわかりませんが、最近は見かけなくなりました。
私は、新天地での穏やかな日々をようやく手に入れることができて、今は楽しく過ごしています。気兼ねなく付き合えるご近所さんもできました。これからも、この場所で平和に暮らしていきたいです。
◇ ◇ ◇
ありもしない噂を面白がって広めることが、どれほど人を傷つけるか。それを理解しないまま他人をおとしめる人たちには、いずれ天罰が下るのでしょう。今回の件をきっかけにAさんたちは、自分の言動を見直し、誠実に生きてくれることを願うばかりです。
虚偽の噂を広めたりSNSに投稿する行為は、名誉毀損やプライバシー侵害にあたる可能性があります。今回のように場合によっては法的措置の対象となることもあるため注意が必要です。トラブルに見舞われた際は、証拠を保全し、弁護士など専門家へ相談しましょう。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。