家族旅行をドタキャンした夫
社長の話が出てからというもの、夫は「忙しい」と残業や休日出勤を繰り返すように。 結婚記念日も「引き継ぎがあるから」と電話一本でドタキャンされてしまいました。 それでも私は、「いまが正念場なんだろう」と自分に言い聞かせていたんです。
そんな忙しい中でも、夫と一緒に「両親への感謝旅行」を計画していたのです。これまで何かと助けてくれた両親へ感謝の気持ちを伝えるため、旅行をプレゼントしようとしていたのです。ツアーの申し込みや手配は、夫がすべて担当してくれていました。 だからこそ、私は何度も「絶対にドタキャンしないでよ!?あなたがいないと成り立たないんだから!」と釘を刺していたのです。
ところが当日の朝、突然玄関のドアがバタンと閉まる音が聞こえたのです。私は「えっ……?まさか出かけた!?」と思った瞬間スマホに着信が!そこには夫からのメッセージがあり「今朝、どうしても外せない出張が入ってしまった」「これがツアースケジュールのスクショ。予約したホテルとか書いてあるから、これで問題なく旅行できると思うよ!」と書かれてあったのです。まさかのドタキャンに私は頭を抱えながら、母に電話で相談しました。すると母は「今回は、家族みんなで行くことが大事だったから、延期しようか」と言うのです。続けて、「今日は、私たちがそっちに泊まりに行くね!」と言ってくれたのです。
出張に行ったはずの夫が公園に……!?
その日の夕方、私の両親がわが家に到着。にぎやかな雰囲気に包まれながら、私は両親とスーパーへ買い出しに出かけました。近所の公園を通りかかったとき、どこかから聞き覚えのある声が聞こえてきたのです。
「え?この声……」と、声のする方に視線を向けると、そこにはベンチに座る夫の姿が!そして隣には、同じマンションに住む女性が寄り添っていたのです。私と両親が少し近づき会話を聞いてみると、夫は「義両親と一緒に旅行なんて無理だよ〜!それより、君に会いたいからドタキャンしたんだ!」と言うのです。夫の言葉に一瞬、時間が止まったような気がしました。父と母も、顔をしかめて黙り込みました。
私は意を決し、ゆっくりと夫の背後に近づき「ねぇ、ここで何してるの?」と声をかけました。すると顔面蒼白で私を見る夫、隣の女性も顔を真っ青に……。そして父が静かに「出張じゃなかったのか?どういうことだ?」と冷たく言い放ったのです。夫は脂汗を流しながら「申し訳ありません」と土下座!公園に、重くて気まずい空気が漂っていました。でも、謝られたところで許す気なんて、これっぽっちもありませんでした。
夫の“転落人生”スタート
父は夫の前にゆっくり歩み寄り、低い声で「お前に任せようと思っていた社長の話だが……なかったことにする!」と宣言! その言葉に夫はぼう然。さらに私は「離婚しましょう……。今回の旅行のキャンセル料はしっかり払ってもらいます!」とひと言。夫はガクッと崩れ落ちる夫。言い訳することもできず、離婚が成立しました。
その後、私は父の会社に入社しました。ゆくゆくは私が社長になるべく、勉強中です! 次こそは、大切な人たちと、心から楽しめる旅行に行きたいと思い仕事を頑張っています。信頼を裏切る人より、 一緒に笑って前を向ける人たちを大切にしていきたいと心から思っています。
◇ ◇ ◇
小さな裏切りが積み重なれば、やがて信頼は消えてしまう。それが、どれほど取り返しのつかないことか失ってから気づいても遅いのかもしれません。誰を大切にすべきか。
目の前の選択を間違えないようにしたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。