
巨大なクモの登場に仰天!
双子を出産してから初めて迎える夏、お盆に夫の実家へ泊まりがけで帰省することになりました。結婚してすぐに妊娠・出産し、双子はしばらく入院していたため、私も子どもたちも初めての里帰りです。
私たちが暮らすのは地方都市の住宅街にあるマンション。一方、夫の実家は山に囲まれた田舎の古い一軒家。その環境の違いに、私は少し緊張していました。
初日の夜、寝室として使わせてもらう部屋に布団を敷いていると、天井から手のひらほどもある大きなクモがスーッと降りてきたのです。
私は思わず悲鳴を上げ、双子を抱えて後ずさり。夫に助けを求めると、クモをそっと家の外へ逃がしてくれました。駆除しなかったことに安堵しつつも、「田舎の虫、すごいな……」と驚かされた夜でした。
しかし、本当の事件はここから始まったのです……。
ヌシの怒り!?虫たちの襲来
その翌日から、なぜか家の中に虫が目に見えて増え始めました。
「この時季は虫が多いけど、今年は多すぎるわねぇ」と義母も首をかしげるほど。
そして2泊目の夜、今度は夫の悲鳴で飛び起きました。何ごとかと夫の様子を見ると、「ムカデに刺された!」と半泣き状態。夫の背中には、たしかにうっすらと赤い跡が……。幸い軽症で、双子にも被害はありませんでしたが、私も恐怖で震えました。
翌日、義母に一部始終を話すと、「追い出した巨大なクモは、もしかしてこの家の“ヌシ”だったのかも……」とつぶやいたのです。私たちがヌシを追い出したせいで、虫たちが一斉に現れたのでは、という話に背筋がゾクッとしました。
私たちは予定より早く自宅へ帰ることに。そして数日後、義母から「ヌシが戻ってきた痕跡があった」と連絡が。天井付近に新しいクモの巣が張られていたそうです。それを聞いて、どこか安心した自分がいて、なんとも不思議な気持ちになりました。
田舎ならではの自然との共存は、都会育ちの私には慣れない環境でしたが、義母の言うように、“ヌシ”と呼ばれる存在が家を守ってくれていたのかもしれません。怖いような、感慨深いような、不思議な気持ちになり、忘れられない夏の帰省となりました。
著者:木下うめ子/30代女性。2018年生まれの双子ママ。自閉症の双子のサポートに日々奮闘中。管理栄養士の資格を持っており、食べることが大好き。
作画:まっふ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)