2人でランチに行ったときのことです。義妹は私の服装を見て、「30代の方もそういう服を着るんですね。お年寄り向けの服だと思ってました」と言ったり、私が最近のアイドルに詳しくないと知ると、「歳をとると若い人の顔の区別がつかなくなるって言いますもんね」と笑ったり……。会話の端々に、私をさりげなく見下すような棘を感じたのです。
義妹の行動はどんどんエスカレートしていき、アポなしでわが家に押しかけてくるように。先日は、義弟が出張でいないからと、手作り料理をたくさん持って来て、「ひとりでは食べきれないので、食べてください」と言って、わが家に上がり込み、夫や子どもたちに振る舞っていました。夫や子どもたちに「おいしい!」と言われて、照れてうれしそうにする義妹。私は何だか少し嫌な気持ちがしてしまいました。
実は、私はあまり料理が得意ではありません。それに比べ、義妹はとても料理上手。義実家でも腕前を披露し、親戚中から褒められていました。兄嫁として立つ瀬がなく、気まずい思いをしたこともありました……。
義妹からの嫌がらせがエスカレート
家族で出かける予定だったある日、家を出ようとしたそのタイミングで再び義妹が押しかけてきました。出かける予定があると言うと一緒に行きたいと言い出す義妹。私がやんわり断ると、「私は邪魔ってことですか? せっかくお義姉さんと仲良くなれたと思っていたのに……」と悲しんでみせます。私が悪いかのような口ぶりに困惑しつつも、義妹に断り、出かけた私たち。
すると今度は、義母から電話がかかってきました。「あなたに冷たくされて、あの子が泣いていたわよ」と義母が言うのです。義妹から義母に私が悪者のように報告されていました。私が事情を説明し否定すると、義母は「あら、じゃあ勘違いね!」と納得し、義妹にもそう伝えておくと言ってくれましたが、私はこれからが不安になりました。
そして、その不安は見事に的中。ついに事件が発生しました。週末に、義実家で親戚の集まりがあったときのことです。その日の料理は、義母が中心となって準備を進めてくれていました。私は義母から買い出しを頼まれ、スーパーへ。すると、義妹から私に「煮物の材料もお願いしますね」とメッセージが届いたのです。
しかし、煮物は義母が前日の夜に作ってくれていました。不思議に思いながら、私が煮物はすでに準備してあると義妹に伝えると……。
「お義姉さん、料理下手ですよね」
「マズイんで全部捨てました!」
あまりに衝撃的な内容に、私は言葉を失いました。義妹は、私が料理が苦手なことを知っていて、嫌がらせをしてきたのでしょう。しかし、私は冷静に返信しました。
「私、作っていないけど……?」
スーパーに出かける前、私は義母に頼まれ、煮物の鍋に火をかけ温めていたのですが、義妹はそれを見て、私が煮物を作ったと勘違いしたようです。義母が前日の夜から、味が染みるよう作ってくれていた煮物を、全部捨ててしまった義妹。大事件です。
「え?」
私が真実を告げると、義妹は激しく動揺していました。
衝撃の真実、義妹は…
私は、この機会に、今まで我慢していたことをすべてぶつけることにしました。私が義妹の嫌がらせに気づいていたこと、そして、義妹が私の夫を狙っていることも……。
実は、義妹は夫と連絡先を交換して以来、「電球が切れた」「家に虫が出た」などと言って、義弟の不在時に何かと理由をつけて、夫を呼びつけては2人きりになろうとしていました。義妹が夫へ送るメッセージもどんどん過激なものになっていき、2人きりで食事をしないかと誘ってきたり、下着が見えそうな写真を送ってきたり……夫も困り果てていて、気味悪がっていたのです。
夫に気があるような義妹の振る舞いには困っていたものの、義弟を傷つけまいと私と夫は義弟にこのことを黙っていました。しかし、ここ最近の義妹の言動は、明らかに異常で、恐怖すら感じていた私と夫。さすがにもう……そう思い、数日前に、義弟の家を訪ね、義弟に事実を告げ、相談していたのです。
夫を誘惑するメッセージの数々を見せると、義弟は涙を流してショックを受けていました。そんな中、夫が突然「え……」と絶望した表情で部屋に干してあったTシャツを指差したのです。
義弟によると、個性的なプリントのそのTシャツは義妹が部屋着として毎日のように着ているものだそう。しかし、そのTシャツは夫がよく愛用していたもので、最近なくしてしまったと思っていたTシャツ。私たちは全員、嫌な予感がして義妹のクローゼットを調べたのです。
そして、クローゼットの一番奥にしまわれていた箱を開けると……夫の私物がいくつも出てきました。最近、夫の服や下着などが気がつくとなくなっていることがよくあり、義妹がわが家に来た際に、盗んでいたのだとわかったのです。あまりの恐ろしさに私たちは背筋が凍りました。
窮地に立たされた義妹は…
義実家に戻った私は、夫と義弟にアイコンタクトを取り、意を決して親戚一同の前ですべてをお話ししました。義妹が私への嫌がらせで義母の煮物を捨てたこと、そして、義弟の妻でありながら、私の夫を誘惑しようとしていたこと。あまりの衝撃に親戚一同が言葉を失っている中、義妹は泣きながら「誤解です」と訴えました。しかし、それを信じる人は誰もいませんでした。
もう楽しく食事をしましょうという空気ではなくなり、親戚の集まりは中止。その後、義弟は弁護士に相談し、もう二度と私たちも含む家族に近づかないという念書を義妹に書かせ、義妹と離婚しました。
2人が離婚して、私たち家族にも平和な時間が戻りました。壮絶な経験をした義弟も夫も、今はもう前を向いて、幸せに暮らしています。
◇ ◇ ◇
義妹の正体を知ったとき、どれほど怖かったことでしょう……。義弟のショックも相当なものだったに違いありません。しかし、別れることができたのは、逆に幸運だったかもしれませんね。これが、次の幸せへの第一歩となるといいですね。
【取材時期:2025年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。